缶チューハイ二本で秋意の顔つくる
式部の実きらいだけれど愛してる
トナカイの隣に座るうちの猫
秋の蝶少女のごとくうずくまる
屋根のない自転車置き場冬支度
....
泣き濡れて小さな光よこされている
不眠症、くすんだ心がひとつある
泣きじゃくるひとり閉じ籠ったままの空
さみしいうたかきあつめて夜明けの友とする
泣くだけは泣いて心ふやけるままに
捨て柿のよ ....
雲一つほんとはみっつ秋の蓋
朱い実に群がる鳥を囲う{ルビ廣洋=うみ}
いろづけば色づくだけのくさ{ルビ萌=めぐ}む
秋晴や洗い晒しのキッチンクロス
アールグレイにレモンを添えて午後を飲む
窓辺から隣の芝と草の花
わが猫と明日も在りたし秋の風
はばたいてどこへ帰るか秋のくれ
....
(自由律)
蝉の鳴き声もしない、蟻は蛇行する
あぜ道で蛙の合唱を聴く
街から逃げ、暗く笑った目
一息に冷水を飲んだ、窓に月
花を踏みつけたあとで気づく ....
路地裏の色なき風の通り道
コスモスの現れて消え君の町
栗拾いひとつぶ持って帰り道
草の絮あしたの風は明日吹く
冬隣電気ケトルが歌う部屋
虫鳴くや猫の目光るほどの闇
パンを焼く窓辺に今日も小鳥来る
信じてる明日が来ること星月夜
抱きあって傷なめあって冬支度
一人では聴こえなかった虫を聴く
魂の風うららかに萩の里 🍂
コスモスと一生暮らす{ルビ鄙=かたいなか} 🌺
人みんな父あり子あり街の秋 👨👧
会いに来て逢えずに海へ風一路 🌊
はから ....
九頭龍を鎮めし社へ迷い込む
ヒメシャラの林を抜けて砂浜に居り
少年の陰茎に似た虫降(ふ)りぬ
紅き鳥井をじっと見る砂
夕日さす湖畔の道は鮮やかに
馬酔木(あせび)ありヒメ ....
散った花のうすい日陰をゆく
迎えを待つ小さな雨にふられる
生きるつめたさを布団抱くよ
胎児のようにうずくまり朝の見たくない光
朝のつめたい便所をいったりきたり
帰りたい日々が朝のシーツくるま ....
餅くへば鐘が鳴るなり法隆寺
蟹くへば鐘がなります法隆寺
蕎麦くへば鐘がなるよね法隆寺
くへくへくへくへくへくくへくへくく
朧なる月は遠くにありにけり
蟻在りし真夏の夜の月 ....
{注石核という石器=打製石器の一種}ありうらめしや
大小の岩に{注{ルビ雪客=せっかく}=鷺の別称}千曲川
折角の{ルビ渡=わたり}も果てず{ルビ屍=かばね}{注狐狸=たぬきときつね}
....
キッチンの九月の透明なる床よ
屋根の上の秋に挨拶 How do you do?
流星よ若かりし日の軽音楽
時の海を漂い続ける木の実たち
雁渡し私の青いマグカップ ....
{ルビ死人花=しびとばな}たんとお食べと祖母の{ルビ咽=のど}
{ルビ娜=しな}やかに{ルビ山毛欅=ぶな}の樹相を駈けるいろ
睦んではすててむつんでふぐりの芽
低頭と{ルビ雖=いえど ....
{ルビ細雨=ぬかあめ}に{ルビ歯痛=はいた}治まる{ルビ一夜秋=ひとよあき}
鳥渡る湯気に手を遣る{ルビ好好爺=こうこうや}
露一つ転げてしなう{ルビ珠=たま}の膜
キッチンの窓白むまで十三夜
流れ星時計の無い国いらない国
虫鳴くや昨日のきみの温もりよ
{ルビ沼沢=ぬまさわ}の{ルビ鼾=いびき}迂闊なヒキガエル
淵源の{ルビ有=ウーシア}くゆらすぬらりひょん
古代はす{ルビ千歳=ちとせ}を跨ぎ{ルビ秋津=あきつ}{ルビ領=し}る
石 ....
{注銀漢=天の川の意}に蝕み出す雲の人知れず
{注死人花=彼岸花の別称}両手に享ける{ルビ贄=にえ}として
ただならぬ歯茎の{ルビ木通=あけび}影通る
虫潰す肩に気配の{注狐花= ....
屋根の無い外で虫鳴く午前四時
秋の朝白むくりやの明り窓
湯を沸かす音まで連れて九月ゆく
{ルビ初秋=はつあき}の床にメールの落ちる{ルビ聲=こゑ}
秋めくと紫いろもほの{ルビ蒼=あお}く
風すてて秋の彼岸の岸に付く
秋のひる裏返しの{ルビ儘=まま}外仕事
空澄んで ....
マハリシの真名も知らずに秋深し らどみ
屋根の下の終わらないうた星月夜
昨日来た手紙は捨てる十三夜
この星の果てをめざした秋の蝶
時の河の流れに浮かぶ木の実たち
「さよなら」と書いたお札でりんご買う
....
さしまねく何かにしたがいながらも{ルビ風車=かざぐるま}
炎天に自己愛もやしつくしきり雲の流れる
ロクデナシともなれず秋刀魚と菜箸
秒針ばかりが動き昼の爆撃
白雲が折り目無く{ ....
ごめんというがいうだけの曼珠沙華
液体のよう{ルビ月日=げつじつ}無碍ながらも初秋
薔薇の顔は神の刻限にはや棄てた
空をみてそらに対峙できずに
きづいたら何も無く泥だまり。 ....
あることがこんなにも白い昼の月
風鈴の音色の中で毒饅頭を食んでいた
みっともなく弛んだし笑う
いつしか朗朗と白髪混じり
誤読も正読もおそれず風のなか
あの葉っぱをにぎりた ....
一粒で雄弁になるマスカット
無花果をもぐことなしに終わるのか
昨日より今日が大切レモン買う
コラージュがわが家のポエジー天の川
わが猫の五キロの体躯秋うらら
ピアノ譜に林檎を載せてセピア色
秋の日に往日をしるピアノ一つ
林檎煮るフォークギターの鳴る部屋 ....
八月の靴で家路の最後の日
冷たくて甘酸っぱくて八月よ
キッチンで林檎を磨く午後十時
父さんの手つきを真似て林檎剥く
ロンドンの枕が統べる林檎かな
白地図に街ではなくて林檎描く
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【俳句】季語を含む17音律「5.7.5」の俳句と、その形式を崩した自由律俳句、無季俳句などの俳句作品のみ受け付けます。俳句批評は散文のカテゴリへ。
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