顕微鏡の中で人工のひかりをうけて
雪片が光る
結晶が無言でのびてゆくのを
ぼくは視ていた

浅くつもった雪の中を
きみを迎えにゆく
ローカル線の駅は雪につつまれ
こどもの夢のように光っ ....
愛犬ガラス戸に>―<の字に飛び掛り はかなきはI love you



ぬくぬくと陽だまりに眠りを包みをり 若さすら包みをり猫は



襤褸(ぼろ)で作りし偽物(つくりもの)か 戦場 ....
映画館で私は単なる映写幕に過ぎない。 
私の皮膚の上をひかりとかげが交互に駆け巡り 
さまざまな色彩が躰じゅうを舐めまわす。 
しかしそのことによって陶酔することはない。 
なぜならひかりの舌 ....
永い壁は続き
終わりに辿り着く者はいない。
風と水とにより朽ち穿たれた穴があったとしても
そこから不可視の世界を視る事はできない。
正午の光に照らされよ。
一切の抒情を嫌うものが網膜の裏に口 ....
わたしは あなたのすべてをしっている
あなたは わたしだから

「貴方は私の王女
かわいい玉座の王女
だから私は貴方の前で
畏れながらも武勇伝を語るのです

貴方は私の小鳥
 ....
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造船家の仕事部屋は紙と鉛筆と分割器が置いてあるだけだ
そして窓の夕暮れの光  ....
北風にはこばれてくる
除夜の鐘の音
をはじめて聞いたおどろき
きみをせかせて
午前零時十分
外へ出たのだ
深夜の新年を祝うため
遠い振動
からだをつつむ時間
おわりとはじまりの相反す ....
クリスマスの準備に忙しいのは、   
雪だるまだって、同じ事です。   
飾り付けのための樅の木、プレゼント、   
おいしい食べ物やおいしいお菓子。
だから雪だるまはこっそり脚を伸ばして?  ....
眠っていやしない   
酔ってはいるけれど   
聞いている 君の話しの続きだね

星が降って来ては 炭酸水のように消えてゆく話しや
星のとんがりが 山に刺さった話
聞いているよ   ....
ぼちぼち夜空も透明になってゆく
そんなことを考えながら歩く
田舎の道は
陽射しの衰えを感じさせない。
秋風に道を失ったのではない
私はただコスモス咲くなかを
君を訪ねるのだ。
コスモスと ....
北斗七星をはじめて見たのは
最近のことだ
ぼくが少年期を過ごした街は
空が区切られて
オリオンの三ツ星しか知らなかった
きみの家にいそいで
枯草の道を歩いているときだ
眼前にあらわれたの ....
24時を撃て!
5分前ではいけない
5分過ぎてはいけない

ピアノソロ始まって
その時刻
最高に高まるはずが
いつも不満だ
音に文句は言いたかないが

24時の音は何とかしてくれ
 ....
はじまろうとする
あらゆる終りに贈る
季節たちの語りは終わった
わたしたちは手をはなし
時間のものがたりではなく
空間のものがたりをつくる
これからわたしはここ以外をめざし
ここ以外の土 ....
愛するわたしは愛するあなたのように語り
愛するあなたは愛するわたしのようにつまずく
わたしはあなたを愛するから帽子を脱ぎ
わたしはあなたを愛するから最初の皿を割った
あなたはわたしを愛するから ....
わたしは男の帰りを待つ。
待つ時間こそわたしを
存在させる。
つまり待つことによってわたしは
男への愛情を確認している。
しかしそのことを誰にも悟られたくない。
そのため日常の動作は速く  ....
ふと あなたに呼びかける声がある。
あなたはコーヒーカップを置き
(あるいはオンザロックグラスを置き)
戸口を出てゆく。

   外はあなたにとって
   いつも意外な季節だ
   たと ....
森々と山は深く
陽は木々と雨滴を漉して降りて来るので
幾重にも衣に包まれたような暗さが
しかし夜ではない暗さがもうずっと続いている

歩いても歩いても行着く処はない
行き着いたとしても留ま ....
考えることない足の裡に
沸き立つ筋肉がある
氾濫の予感に皮膚は青ざめ
狂おしくアキレス腱は悲鳴を上げる

陰画に刻まれた冬のランナーよ
スタートの位置を決めろ
地べたに奇妙に指を突き立て ....
幾分の恥じらいを含んでランナー
右足を上げる
拒みもせず微笑みすら浮かべてランナー
左足を上げる

心弱きものよ運動を直視せよ
ランナーは運動している
恥じ多きものよ停止を知れ
ランナ ....
子供という子供の
誕生の胡散臭さ
ったらない
しばらく田園風景を走れば
必ず男どもに会うが
あのバカバカしさったら
ない
それだから孕むのだ
微笑むランナーは
凝り固まった睾丸の確認 ....
(キリギリスやコオロギに似るが、成虫でも翅をもたず専ら長い後脚で跳躍する。その跳躍力は非常に強く、飼育器の壁などに自ら激突死してしまうほどである。「Wikipedia」)


カマドウマは笑う  ....
歳経てその泥亀が石となったのは三世紀の事であった
アレクサンドロス大王がしばし馬を休めてチグリス川に憩うた時
その亀は大王の右足の傷を認めたのであった
亀はたちどころに卜し、大王の死の近い事を知 ....
悲劇、というものがあるとすれば
ミルクの乾いたコップや
公園で逆立ちをする男や
尻を突き出し注射に怯える少女が考えられる

喜劇、というものがあるとすれば
冬の朝の凍ったパンとズボンや
 ....
そそとして差し出される菊花
苦しみを経たのちの安堵のように
わたくしのからだの深みから
心の深みからも香りは立ちのぼる

気がつけば時雨
寒さ益す時雨の屋根打つ音が
薄闇をつつむ部屋の隅 ....
白昼 女である私は女である
にもかかわらず 童貞の硬い××××トなって近松の町に停つ 
すべての人に向かって存在理由を述べる すなわち 
私は恋人を待っている!のである ト 
待たされる時間は ....
らっきょ  の  め
らっきょ  の  かわ
らっきょのしん
らくあればくあり
とはいうけれど
らくてんてきにいきていこう
おれはなんにもかわらない
らっきょがひとつぶ さらのうえ
我々は我々のもっとも好む方法で詩をつくるが
死はつくり出せない
我々は泡を吹く蟹のように
横這いになり哀しむ

詩人の憂鬱について
我々は充分に討議し合った
しかし死人の快楽については
 ....
香田さんがなくなった。
僕たちには、ふざける時間すら残されていないかもしれない。
「戦後」に生まれた僕は、戦争という言葉は物語の中にしかなかった。
わかってくれるだろうか?朝鮮戦争はすでに終 ....
古代ではしばしば吟遊詩人の虐殺が行われた。
吟遊詩人の言葉は「水鏡より真実を語り、猿より虚偽を述べる」とされたからである。
しかしこの事実は吟遊詩人の言葉を後代に書き記した文献から判ったのであり、 ....
町とは いとおしい場所だ
私にとってなくてはならない
大量の糞と尿の場所
大量の吐瀉物の臭う場所が町だ
私もまた多く排泄し
多く飲み込むのだ

町とは 怖ろしい場所だ
僕にとって忌まわ ....
音阿弥花三郎(76)
タイトル カテゴリ Point 日付
二月自由詩408/2/16 10:29
愛玩・動物短歌108/1/30 19:25
映画館で私は自由詩1*08/1/26 21:44
壁  M.Hさんへ自由詩008/1/16 14:36
結婚の頌Ⅰ自由詩008/1/10 14:38
造船家自由詩108/1/7 13:16
12月-1月自由詩207/12/31 17:53
Christmas fantasy自由詩1*07/12/28 17:39
In the starbright bar自由詩407/12/27 15:23
十月 コスモス自由詩2*07/12/15 4:33
十一月自由詩0*07/12/15 4:31
24時を撃て自由詩107/12/14 18:02
十二月自由詩1*07/12/3 9:03
新しい生活自由詩007/11/30 22:58
日常自由詩207/11/28 20:11
ふと あなたは自由詩207/11/27 2:48
かむなび自由詩007/11/26 11:38
冬のランナー自由詩007/11/25 21:26
ランナーを試みる自由詩007/11/24 22:57
妊娠するランナー自由詩007/11/24 0:45
カマドウマ自由詩107/11/23 2:01
自由詩207/11/18 2:03
喜劇悲劇自由詩007/10/25 16:35
秋に-時雨の秋に自由詩207/10/13 2:18
近松門左衛門の町自由詩007/10/13 2:15
らっきょ自由詩007/10/10 8:04
詩人の憂鬱自由詩007/10/8 2:05
「俺も子供も殺すわけにいかない 」散文(批評 ...104/11/8 9:35
自己紹介未詩・独白104/8/12 17:52
ある町へ ⅳ未詩・独白004/6/24 7:28

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