「ブラウン管の向こうから」
PULL.

モグモグと朝起きて、パブロフの犬みたいにTVをつける。
NHKのアナウンサーが誰かが死んだってしゃべってる。
死ぬほど悲惨なニュースなのに、アナウンサーの顔はどこか嬉しそう。
一人死ねば、何パーセント視聴率が上がる?。

ヘッドラインニュースはクソばかり。
「さあ続いては、新鮮な死体のニュースが世界各地から届いています!」
「イラクでは一般市民の命がブッシュ大統領の爪の垢ほどの価値もない事が確認されました」
「アメリカでは反米主義者の死体を有料で買い取るサービスが始まりました」
「不自由金権党の党首、小泉首相の大根息子がNHKの朝の連続TV小説に出演する事が決まりました」
「さて、続きましては、愛らしいタマちゃんの映像です。癒されますねぇ〜」

耳を澄ませば、ブラウン管の向こうから阿呆の呼び声が聞こえる。

死体を売りさばいて国を作ろう!。
奴らに出来るのなら、俺達にだって出来るはずさ。
おもちゃの軍隊ごっこにはもう飽きたんだよ。
そろそろ実戦をしょうぜ。
石原都知事だって言うはずさ。
「退屈だから戦争がしたい」って。
「太陽の季節」は過ぎ去った。
「狂った果実」は腐っちまった。
あいつに出来るのは、差別を広げて、戦意を煽るだけ。
で、テメエの立場が悪くなったら、こう言ってまた逃げるのさ。
「あれは作家として文学的に言った事で、都知事としては責任はない」
龍之介が泣いてるぜ。

金正日の頭にヘッドホンをつけて大音量でシェイクしたい!。
聴かせるのは勿論アメリカンロック!!。
「ボーン・イン・ザ・USA」
ついでに、ブッシュにも「アリラン」を聴かせよう!。
そうすりゃ、あいつのファザー・コンプレックスだってマシになるぜ。

「新しい教科書」を作って子供達を洗脳しよう!。
「清く正しい教育勅語」
美しく他民族を差別する事を教えよう。
歴史を都合良く修正しちゃえ!。
あった事をなかった事に、なかった事をあった事に。
ゴキブリが卵を産むみたいに、子供達の頭の中を乗っ取るのさ。

ボタンを押してイヤな奴を殺しちゃおう!。
太平洋を飛び越えて、日本海を飛び越えて、世界中で火遊びがしたい!。
地下で実験しているだけじゃ我慢できない。
ある物は使わなくっちゃ。
悪夢を現実にしたいんだ!。

プロパガンダのためのプロパガンダ。
戦争のための戦争。
自衛のための大量虐殺。
引き金を引く理由なんて、なんだっていいんだ!。

民主主義のクソッタレに、
専制君主のクソッタレ!!!!。
どんなにキレイに着飾ったって、クソはクソ!。
みんな頭がイカレてる。

耳を澄ませば、ブラウン管の向こうから阿呆の呼び声が聞こえる。
TVを叩き壊して、現実をぶっ壊せ!。
奴らじゃない、俺達が世界の現実なんだ!。




「ブラウン管の向こうから」
12/14/2002 【PULL.】
04/03/2004 一文字推敲。


自由詩 「ブラウン管の向こうから」 Copyright PULL. 2004-04-03 20:33:55
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