「 あーそーぼっ。 」
PULL.







一。



昨日はちょっと、
あたしが言い過ぎた。
…のかもしれない。
でも、
あやまらない。
あやまりたくなんてないもん。
あんな言い方なかったもん。
あれじゃ、
あたしひとりが悪いみたいだもん。
(実際そうなんだけどさ。)
まだ怒ってるかな?。
もうあたしと話してくれないかも…。
やだな、
それやだな。
来月のチケット取っちゃったし、
キャンセル料払うのやだし、
あたしと話し合うの、
あいつだけだし、
あやまろう、
かな?。
でもどうやってあやまろう。
またあの手、
…しかないかなぁ。

なんだか小学校の頃に戻ったみたいだよ。
そういえばあの時もこうやって、
仲直りしたんだっけ。
あの時はカナジマくんが、
あたしとあいつ、
どっちを好きかで勝負して、
あたしが負けて、
泣いたら、
なぜかあいつが怒って、
カナジマくんをぶっ飛ばして、
それでカナジマくんも泣いちゃって、
あたしはカナジマくんの仕返しに、
あいつをぶっ叩いたんだっけ。
でも、
今回はあの逆で、
あたしがあいつの…。

あいつ泣いてるかな?。
うん。
絶対泣いてる。
泣いてるよ。
あいつはああ見えても、
すごく涙もろいんだ。
それをあのバカオトコが、
あたしによそ見なんてするから…。
身の程知らずのクソバカオトコめ!。
あいつはいいオンナなんだ。
あたしなんかよりずっと、
いいオンナなんだ。
だから、
だからあのバカいいオンナには、
あいつだけを見てるバカいいオトコじゃなきゃ駄目なんだ。
そうじゃなきゃ相方のあたしが許さないんだ。


こっちに、
あいつの好物のやきいも。
こっちには、
おそろいのパジャマと、
あたしの好きな焼酎。

深呼吸して、
勇気はいらない。
気持ちがあればいい。
大丈夫。
あたしとあいつは大丈夫。
このボタンを押して、
あの時みたいにこう言えば、
きっと大丈夫。
さあ、






二。



リホちゃん怒ってるかなぁ…。
うん。
きっとまだ怒ってる。
許してくれないよ。
やだなあ。
やだ。
リホちゃんいないとあたし、
さみしいよ。
やだよ。
あやまらなきゃ。
話してくれなくても、
お家に入れてくれなくても、
あたしリホちゃんにあやまらなきゃ。
こんなのやだもん。


こっちの手には、
リホちゃんの大好きなやきいも。
肩のリュックには、
おそろいのパジャマと、
あたしの好きなハーブティ。

深呼吸して、
さあ…。

ああだめ、
勇気が出ないよ。
でも、
しなきゃ、
こんなのやだもん。
このままでいたくないもん。
もう一度深呼吸して、

うん。
大丈夫。
仲直りできる。
だってリホちゃんは、
あたしの一番の友だちだもん。
このボタンを押して、
いつもみたいに言えば、
きっと、












           了。



自由詩 「 あーそーぼっ。 」 Copyright PULL. 2007-04-05 09:31:08
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