「 夜はぴちょん。 」
PULL.







夜はぴちょん。
月はぬくぬく眠りこけ、
ぽっかりお口を大きく開けて、
しずくを垂らして、
ぴっちょんぴっ。

月のしずくはほろほろほろろ、
夜をすべって、
ぴっちょんちょん。
春のめだまが目を醒まし、
ぎろりと睨んで、
月は知らぬと、
そっぽ向く。

めだまはころりと瞼を脱いで、
ころりぎろりと転がって、
月を追いかけ、
ころぎろり。

一目散に逃げ出して、
月は隠れていないふり。
だけどそのうち三日月ちょろり、
見えてはみ出て、
こんばんは。

めだまはそろりと転がって、
月のお尻に噛みついた。

噛まれた跡は今夜も残り、
くっきり。
ほら、
あそこのお尻がそうですよ。












           了。



自由詩 「 夜はぴちょん。 」 Copyright PULL. 2007-04-02 17:48:00
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