妖精の振りまく鱗粉が
鍵盤の上に優しく振り落ちる
それは聞いたこともない和音
はらはらと
ポロン、ポロンと

和音に合わせて妖精は歌う
声は和音をかするすれすれの高さで
 ....
いい天気だね

一人の紳士が尋ねます

低気圧が男の足にすがりつく愛人のように
いつまでも停滞している空を見ながら
紳士が言います

私にも

なんだい?

私に ....
舌の味がしました
血が発する鉄の匂いを感じながら
けれどまたその味を嗜みたいと思いました
何度もしたいと思いました

その夜は眠れませんでした
胸の高鳴りがいつまでも止まず
 ....
ジェリーフィッシュ、ジェリーフィッシュ
そのままでいいか
そのくらいが丁度いいか

ジェリーフィッシュ、ジェリーフィッシュ
世間をたゆたう
邪魔な奴あちょいと突刺してやりゃいい  ....
戦争と戦争の隙間で
私は生まれ、死んでいくので
それを平和だと気づくことは
当然ありません

だから暴力に飢えます
だから革命を欲します
無い物に欲するのは
人間の性なの ....
虹色のガラスの破片が
眼に突き刺さる
痛いよ
痛い

満開の花に
宇宙が包み込まれる
花は形を変えながら
宇宙を挑発する

眼を突き刺すガラスの破片は
きれいだよ  ....
なんでも見通す
なんでも見通す
ママの秘密
あの子の秘め事
隠れてるものは全部、全部

だから神様は嫌い
なんでも見通す悪魔が嫌い
自分の秘密
世界の秘密
隠し事 ....
青色のがいい
赤色のがいい
取替えっこしよう
取替えっこしよう

死んだら同じ
どの色乗っても
死んだら同じ
輪っかの色は関係ない
神様の識別はその日の気分

 ....
シーラカンス
なんてお馬鹿さん
まずそうな肉に覆われた体
誰も食べてくれないわ

シーラカンス
そうやって
太古、過去、現在を生きる
本当なんてなんて
お利口さんなの ....
魂を食らう胃が荒れる
混ざり合った酸い物が
食道を逆戻る

出てきた魂は
新たな人間を形取る
右目はあの子
左目はあいつ
婆の鼻と
臭い紳士の口
戯言を聞くための ....
魂は啼いている

魂は啼いている

私はその啼き声に耳を澄まし
淹れたての紅茶に舌を焼く

魂は、ふと哂い出す

魂は、ふと哂いだす

私はその哂い声に驚いて
冷 ....
【一つ】

あんた動物愛護団体の人の様だね
一度自分の首を絞めてご覧よ
そこにいるのも動物さ
きっと一番どうしようもない生き物だよ

【二つ】

自転の軸を引っこ抜いたら ....
神様が間違って作った逆さ虹
空に閉じ込められた天使と悪魔が
我先に、と七色の橋に群がる
左の空に棲む天使
右の空に棲む悪魔
下の世界には何があるだろう
人間とはどんな生き物だろ ....
子供の頃おねだりして買ってもらった棺桶に
私は宝物を詰め込みます
等身大のお人形
お気に入りのドレス
ママが毎晩読んでくれた可愛い絵本
最後に私が入る場所を空けて
焼かれ灰にな ....
何かの儀式の様に開かれる
この暴動は
一つの革命を起こす
それは成功しようとも
失敗しようとも
どちらでもいい
どうせいつか、また暴動が起こって
今の正を逆にするだけだから ....
わっしょいわっしょい
今宵は祀り、お祀りだ
田舎のじっちゃんが死んだ日だ
知らないばあさんが死んだ日だ
嗚呼やんや、やんや
今宵は祀り、お祀りだ
朝まで呑めや、謡えや、お祀りだ ....
彼女は薄い
皮肉の様な衣を纏う
彼女の小さな唇は
早く咲きすぎた椿のように
真っ赤

醜い者はそれを見て
自分は反対にいると知る
そこにあるのは神の本音
彼女が持つの ....
湿った線香花火
火はすぐ消える
そんなのないや
勝手に夏を終わらせた

思い出橋の上で
歌を唄って
お上手ね
彼女は確かにそう言ったのに

ぽとりと落ちた火の玉に  ....
あのね
あそこにいるひとがね
ままはあしたしぬから
そのことをつたえておいてねって
いってたよ

しらないひとについていっちゃいけないって
まま、いってたから
おはなしだ ....
少年たちは少女の入り口に立って
中を覗き込む
奥の方の最後の門の前で
番人が笑いながら立っている
少年たちは怖くて
そこまで行くことができない
少女は愛想をつかして
勢いよ ....
雨が雪になって冷たくて
心の中まで染み渡って行く様で

風がはらはら雪を運んで
僕の息に解けて地面に墜落する

愛は
哀は
Iは
逢い

それは鮮やかな光を差し込 ....
おやすみロボット
今日も一日ご苦労さま

朝におはようと言って
昼にこんにちはと言って
おやつの時間にお疲れさまと言って

おやすみロボット
お疲れ様ロボット

きっと ....
女は天使を生み
女は悪魔を生み
神はただそれに
種を与えただけ

天使を生む女は
優しい微笑を称えて
絵画に収まる
悪魔を生む女は
火祭りにあげられるその姿を
キ ....
あなたを殺し終えた朝
太陽は眩しくて
そして雲は白かった
空は本当の色を取り戻し
空気はただの透明だった

私の目はそれらを映し
私の口は空気を飲み込む
やがて排出された ....
あなたを殺すわ

お前を殺そう

私はあなたを
殺すのよ

赤い果実が熟したら
それをあなたは口にして
小さな呻き声を上げ
ささやかな死を迎えるでしょう

お前 ....
白い薬、白い薬
飲むと皆が幸せになる

僕は彼女に、彼女は僕に
二人で口を交わしながら
一緒に飲む

世界中の人が
その儀式を毎日のように行って
みんながみんな幸せにな ....
雨が降るよ
こんな深い夜に
追い討ちをかける様に
雨が降るよ

雨音は単調な二音の伴奏
群がる音符は
飛び散る水しぶきと
破裂する

真っ暗闇の薄明かり
電灯は雨 ....
太陽を覗く
開いたばかりの瞳
裏側にあるものが見えるか

嗚呼眩しすぎて
嗚呼霞む真実
行方知らぬ
惑星の証を
辿る足を掴め

響く声
宇宙が耳を塞ぐ
消失 ....
一人の女
残す素足の跡が
雨路に流れる

長い黒髪
滴る水音に
そっと耳を澄ますのは
女がまだ止まぬ証か

一人の男
年老いた男
女の後姿に
己を重ねる
 ....
絶望感から私は解き放たれました
私は軽やかに
腐りかけていた薄い羽を大きく広げ
飛び出します
大空高く飛び出します

体の中に沈殿した
重い枷たちが枯れても
私はきっと大 ....
なかがわひろか(427)
タイトル カテゴリ Point 日付
妖精の声自由詩5*07/3/24 16:31
きれいな天気自由詩3*07/3/24 2:07
はつ恋自由詩6*07/3/23 0:41
ジェリーフィッシュ自由詩2*07/3/22 1:44
仕方のない未来自由詩3*07/3/22 1:22
万華鏡自由詩5*07/3/21 1:46
悪魔の眼自由詩2*07/3/21 1:24
天使の輪自由詩2*07/3/21 0:56
シーラカンス自由詩1*07/3/20 0:47
吐気自由詩1*07/3/19 2:16
魂の啼き声自由詩2*07/3/19 0:59
つぶやき自由詩3*07/3/18 2:20
逆さ虹自由詩1*07/3/18 2:03
お気に入りの棺桶自由詩0*07/3/17 1:34
眠る世界と繰り返し自由詩1*07/3/17 0:58
幸せな祀り自由詩4*07/3/17 0:17
赤い血を持つ、醜い者自由詩1*07/3/16 0:43
線香花火自由詩7*07/3/16 0:20
そこにいるもの自由詩0*07/3/15 1:28
少女[group]自由詩2*07/3/14 1:06
キヅキ自由詩0*07/3/13 23:03
無限ロボット[group]自由詩3*07/3/13 10:43
母となる女[group]自由詩4*07/3/13 0:19
あなたを殺した朝に自由詩1*07/3/12 0:59
沈丁花自由詩1*07/3/12 0:38
白い薬自由詩2*07/3/12 0:01
雨降り夜自由詩4*07/3/11 0:38
生まれ見る現実自由詩0*07/3/11 0:12
お百度参り自由詩2*07/3/10 0:15
Flying自由詩2*07/3/9 0:07

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