雨を切る車の音を聞いていた 眠られぬ夜ひつじにも飽き
かくれんぼしてるわけでもないのにね、見つけて欲しい。ここにいる吾
落葉の季節眺めてはっとする 散らないで、まだ青い一枚
{ルビ故 ....
きらめくシャンデリア
天蓋つきベッド
ガラスの靴と、
コルセット
そして庭にピンクのバラが咲いていたら
わたしはお ....
母に似た男と
父に似た男と
子供のような女がいた
母は子を愛し、
父も同じように子を愛した
両親の愛を一手に受けて
幸せだった子供は
ふと、それが成しえないことだと気づき ....
「またね」と言えば
また必ず会える気がして
かたくなに「さよなら」を言わない
わたしは25歳になったけど
まだ、おまじないを使ってる
久しぶりに行った
動物園
檻のなかでまどろむライオンが
君に似ていた
こんなところにさえ
まだ君は現れるのか
終わってくものを追いかけ、すり抜けるもの繋ごうと逃げていた{ルビ吾=われ}
桃色のうろこ雲、空一面に 腫れたまぶたをやさしくなぞる
新しい空を見上げてなんだかもう(これでいいや)と風に舞う ....
話がしたいって
笑顔で言った彼女の
話したいことをもう知ってる
それに備えて
シミュレーションしてみても
なんて言ったらいいのやら
きみとわたしのこと
きっとわたしたちのうちどち ....
「それにしても
きみ、
よく眠るよね」
と、
わたしが寝起きであるたび、
きみはそう言った。
タオルケットにくるまれて昼間
DVDをBGMにしてしまう ....
油断して、つい恋の歌詠んでいる。{ルビ三十一文字=みそひともじ}に仕組まれたワナ
「ぁいたいょ。」ハヤリ言葉に馴染めない。会いたいのなら全角で言え
{引用=川柳を書きたかったのそれ ....
夕焼けに気づかないまま過ぎてゆく 道ゆく人の暗い横顔
あんな{ルビ表情=かお}するようになる必然を怖いと思う 立ち向かう前
ニュートラのままでアクセルおもいきり踏んでるようなままならぬ日々 ....
永遠に続いてくはず。不確かなふたりの日々を疑いもせず
真夜中の“着信あり”は君からの聞きたくもない別れ話で
さよならと言ってしまってよかったの?自問自答の朝日が昇る
この恋のリセット ....
やさしい歌うたいは
やさしい歌をうたいながら
なみだを流す
やさしい歌うたいは
自分のやさしさを知らなかった
ひと山に切り離されし髪の毛の時の長さを横目で計る
これ以上ないってほどに慎重な手つきで髪を洗う君。その耳たぶに揺れるピアスが
リセットの仕方分からぬ不器用な私にできるひとつの手段
必 ....
噛みしめた砂に零れしひとすじの涙は見ないことにするから
震えてる広い背中が小刻みに お休みしよう強いあなたを
肩を抱くことさえできず君の部屋そっと出て行く帰路は土砂降り
雨音がか ....
瞬いては
{引用=きらり}
音もなく
*
走って逃げた
現実の 届かない距離まで
息を切らして
顔をあげたら
きみの目と
そこに映った ....
薄墨を流したような目の下の溶けるマスカラ 涙じゃないわ
難しい顔をしながらバーボンを語る男に惚れてみた夜
たまに出す声が真紅にそまる時 青白き夜明け 雲を見ていた
トレゾワの香りを君 ....
率直な言葉を
避けきれなくなって
たとえ、
言葉の海に沈もうとも
このままでいいと
誰か一人でも訴えてくれるのなら
わたしはそれでいいと思った。
それでいいと、泣いた ....
「短くなったから」
と、
捨てられて
もみ消された
タバコの火が
まだ、 消えてない。
明滅を繰り返し
やがて
{引用=ふわりと} ....
頭上に
たった今、生まれた雲は
どうやって消えてゆくのだろう
どこを通り
どこにたどり着くのだろう
10月の
晴れた日に生まれたきみは
どうやって生きてゆくのだろう
....
この線の向こう側
何があるの
向こう側では
何が起こるの
越えようか
越えよう
怖くても
ふたりで
秋風が当然の{ルビ様=よ}に頬を撫で、しまっておいた想いひきだす
衣替え そろそろせねばと思うのに、また身に纏う去年の恋を
“秋”という文字が勝手に“飽き”になる変換機能がわたしにあれば
....
あの明け方の近づく感じ
夜が行ってしまう悲しみ
健全な朝がやってきて
自分のなかにあるか細い、でも重要な何かが
勝手に構えてしまう
このせつなく甘い一瞬に
きみといることを望み
すぐに否 ....
雲に少し
切れ間が見えて
そのむこうは
天国なのかもしれないと
思った
2階建て、駅徒歩5分、良物件。ふたりの日々をここで始める
とりあえず引越しソバは大事だと取り急ぎ湯を、みどりのたぬき
少しだけ心細いねまるでここ ふたり閉じ込められたかのよう
未来へ ....
秋がきた
季節はめぐる
変わらないように見えていたものも
本当はこっそりと変化を
取り残されていると
感じながら
きっとわたしも 変化を
とどまることのない
流れが
この世界を取り巻 ....
ローテンションで日々を
嘘すらも横目で見逃し
些細なことで驚かなくなった
一喜一憂は遥か彼方
淡い恋などさらにその先
それでも
泣いたり笑ったり
同じこと ....
斜めにモノを見る
という言葉を
初めてきいたのは
いつだったか
気がつけば
斜めにモノを見ているような
最近の自分
灰皿で甘く焦がされゆく髪に いつか去り逝くこの身この世を
帰りたい。
思い浮かぶあの場所に
あそこに帰ってきたい。
発光ダイオードの青白い光が
紫煙の流れを浮かび上がらせたあの場所
幸福な孤独のなかで
それをそうとは知らず
ぼんやり ....
絶対に届かない
ためいきぐらいの小ささで
タバコのけむり
朝焼けに向かって
のろしのように、上げてみる
この思いが届いても届かなくてもいい
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