ファンタジー、ファンタジーって鳴いている鳥が僕の細胞になった仲間の弔いをしている。
　

彼女は減点法で採点すると０点なのだが加算法では１００点を少し越える。
　

全て忘れようとしながら却って思い出してしまうので、もう全部覚えている事にしたら全ては覚えていられなかった。
　

パンはワインに浸してどうこう、というレシピを読んだことがあるのを思い出してしばらく浸していたら、はちみつ色の芽が出てきた。
　

僧侶になると家出した祖母が入れ歯を手に持って腹話術でお経を読む「いっこく堂のモノマネ」という芸をマスターし一躍時の人となりお小遣いをくれる。
　

昔贈られたＣＤを川へ投げたら15回くらい水を切った。
　

買って来たトビウオの羽をぱたぱたやって遊んでたら「キュウ」と鳴いたので食べずに飼う事にした。
　

死よ、何故わたしを愛してくれない、と嘆いて、詩人は死んだ。
　

物語を物語る物語の老婆の皺は、物語が物語られるたび、物語を物語るものになってゆく。
　

もう夜はこない、闇黒はない、二度と来ない、そう悟った彼女は明るい笑みを浮かべ、明るい海に、ひらり、身を投げた、絶望のあまりに。
　

あやとりをする子供の指が釣り針のように曲がっていて糸はパクパクと口を開けたり閉じたりした。
　

バック転をしながら目の前を通り過ぎていく少女の名前を呼ぶたびに、少女は「クシコスポスト！」と言って近所の親父を怒らせた。
　

時を刻むと涙が出る。
　

沼から手が出るの、と母親に怖い昔話を聞かされて育った男が、沼から突き出た死体の手を発見した。
　

一日だけのバイトと言われ2tダンプを運転しているところを警察に捕まり積荷について尋問されたが答えられずバイト契約先の電話も繋がらない。
　

地下鉄に乗りこむと自分以外のすべての乗客が死体だったので運転士と車掌を探したらどちらも死んでいた。
　

「都道府県全部に住んでみるなんてあなたはしないのよ」と出会い頭に指摘された。
　

スーツ、ネクタイ、シャツ、靴、腕時計、全部黒いので揃えてから身の回りのものを一つずつ買い直した。
　

「飴ちゃんあげる」と誘われていつの間にか鉛筆工場で働いている。
　

夜を引っかけば裂け目から綿が見え、繊維は些細なことでできていた。
　

もう限界だ！と勢いよく玄関を飛び出した男と同時に向かいの家から飛び出した女が道の真ん中で力強く抱き合い、お互いの耳の裏の匂いを深く吸い込んでいる。
　

拾ったマツボックリのために心休まる事はなかったのであるがなんとなく植えられずに閉鎖された海の家に来た。
　

彼は一生このままなのだ、と納得した彼女は彼の胸に伏して泣き、彼はその重みと暖かさを懐かしく認識することができた、そのときは、まだ。
　

クモの糸先に餌もなく食いついた魚はやせ細った僕であった。
　

塩をひとつかみ、黒糖を小さじ一杯、あと何か必要だったのだけれど、どうしても思い出せないまま鍋に夕日が落ちてくる。
　

その日の祖父は、いつもの昔話のようでいて、とても大事そうにつらそうに、金髪で盲目の少女の話をしながら、遠くを見ては時々声を詰まらせて、大きな深呼吸のようにため息をついては、私の頭をなでて、夕陽をまぶしそうに見つめると、眠るように息を引き取りました。
　

「空を」と呟いて去った少年に虹が射す。
　

翼が花になった天女はその治療のために海へ飛び込み迷った挙句深海魚と結ばれる。
　

モズク酢ばかり食べていたために体が柔らかくなり中国雑技団に入るも大陸の空の色があまりにも寂しかったので胸に穴が開きそこにカッコウが住み着いた。
　

やわらかい声を練習していた少女は、１日に１センチメートル床に沈んでいった。
　

真似ばかりしている少年は、臆病な風に吹かれているが、観客は少年を強いと勘違いしたまま、舞台に立たせ続けた。
　

蛇口から出てきた透明な少女は、コップの中にいなければ流れてしまうが、ガラスが邪魔で、恋人と触れ合うこともできない。
　

失敗作の札をつけた箱の中では、たくさんの小人がすやすやと寝息を立てていてその寝息を聞く僕は、焼却炉へと歩かねばならない。
　

この中に、水平線と水平をなしている線はいらっしゃいませんか？と婦警が走り回る。
　

家のものが目を離した瞬間に、干していた毛布は雲の上へと遊びに出かけ、遊びつかれた毛布は太陽の香りを引き連れて、家のものたちと眠るのだ。
　

この工場では、缶詰スイートコーンが少女の掌に流され、それを少年が舐めることで熱エネルギーを生み出しています。
　

あ、2004年12月14日18時35分01秒が死にますよ、今。
　

おしまい。
　

透明なCDプレイヤーの中にハムスターが迷い込み、そのままCDプレイヤーを縦に置いたらハムスターはいつのまにかCDになっていた。
　

君への贈り物としてリコーダーを一生懸命練習したが、いざ本番となると君への思いが詰まって、何一つ音を出せなかった。
　

クラス中の女子たちが一斉に立ち上がると上着とブラウスを脱ぎ捨て、「あなたたちはいったい何がしたいのか」と男子たちに回答を強く求めている。
　

ポケットの中にはビスケットが一つ入っていて叩いてみるたび、いてーなこのやろう、という声によりいっそうのエコーがかかっていった。
　

音符が夜になると踊りだすのだと、ある有名な作曲家が言っていて、その作曲家の家には、靴作りに飽きた小人が三人住み着いていた。
　

「高校の制服はセーラーじゃなくてブレザーだから、ネクタイの結び方がよく分からないの」と、彼女はようやく彼を誘い出す言い訳を見つけた。
　

怪盗ルパンアルカリ性が仲間の四次元大介と石川ポエモンとともに山の古城に閉じ込められた峰ストローネを救うべく崖を登っているが、ルパンアルカリ性は崖の上から降ってきた酢酸に中和されて溶解し、四次元大介は誤って時間軸方向へ登っていって視界から消え去り、石川ポエモンだけが崖の上に立ち詩を朗読し（「石川には/金沢がある！//金沢には/兼六園がある！」）、偶然兼六園マニアだった城主はひどく心を動かされ門を開くのだが、峰ストローネはすでに城主によって食べられてしまっていました。
　

やれやれ、期末が終わったぜぃ…と思ってたら、あぁ何てこったい夢ぢゃぁねぇか。
　

神様の声が聞こえる気がしまして、誰かなと感じたのですが、振り返ると猫が塀の上で、クシャミしてました。