ナイトジャスミン
未有花

窓辺に頬杖ついてひとりぼっちの夜に
どこからか漂う甘い誘惑
私の胸はざわめいて夜を彷徨い始める
忘れていたせつない愛が今宵蘇る

白い花に抱かれながら
失くした愛を嘆き続けるわ
あんなに深く人を愛したことはないと
あまやかな痛みに震えるの

ナイトジャスミン
愛に裏切られた夜は
泣いて泣いて朝まで涙が枯れるまで
悲しみに溺れてしまいたくなる

明るい太陽の下では忘れられたまま
人知れず夜になると咲く花は
そのあやしげな香りで私を縛り惑わせる
忘れていた悲しみの夜がまた訪れる

白い花をみつめながら
ひとりきり愛を偲び続けるわ
もう戻らない幸せだったあの日々
ささやかな通夜をしてあげるわ

ナイトジャスミン
愛を葬った夜は
甘い香りが夜通し私を苦しめる
悲しみを忘れさせはしないと

咲き誇る白い花びら
また今夜も嘆きの夜がやって来て
この頬を涙で濡らすの
悲しみは終らない永遠に


自由詩 ナイトジャスミン Copyright 未有花 2011-06-07 08:56:04
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