朝のスケッチ
乱太郎


ひとつの優しさ
今日の朝振り向いて
ひとつの喜び
今日の朝テーブルの上にそっと



あたたかな温もりに抱かれるように
背中から朝は訪れた
おはようと
ちいさな声であいさつすると
朝はにっこりほほ笑んだ



美しく輝く朝の訪れに
ほほ笑みを返すと
あちこちで光がいっせいに詩となって
海が花が野山が
陽気に
しゃべりだす



朝は昨日の夜の顔を知っているのだろうか
そんなやつのことなんかさっさと忘れてしまえ

言っているみたいで



朝は突然やってくる
夢の世界から
不安や恐怖を消去するために



いろいろな色の朝が
その日の始まりを染めて去っていく
僕らはそれに一喜一憂して
その日に色を塗っていく



子供のころ
朝と友達になれたら
と思っていた
いつも
いねむり小僧に邪魔されて



朝が差し出すコーヒーの香りは
ほんのり思春期のような甘さ
このひとときを
胸ポケットにしまっておこう
そして
ときおり取り出して
今日を過ごそう


自由詩 朝のスケッチ Copyright 乱太郎 2008-05-21 20:51:16
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