俯瞰
山中 烏流

 
 
 
 
 
 
水玉の反射光
少しだけ、離れた目線
 
水滴が頬を打つ
その、一瞬くらい前
私は私より
ずっと私だった
 
 
足元が脈を打つ
それは轟きであり
咆哮であることを
誰かが、囁いていた
 
そして
いずれのときも、
私は何処までも少女だった
 
その後ろ姿に
小さな手のひらと
足跡が、
重なる
 
 
俯瞰で見つめる瞳は
いつまでも逸らすことはない
その視線に、
私や私に等しいものは
貫かれているのだろうか
 
指先がなぞる
その軌跡は、何もかも
 
自由だ
 
 
一つ、
離れたときに
爪痕が語るものは
繰り返し流れる
静寂のようだ
 
見下すあの瞳は
何よりも私である気が、する
同時に
何よりも私でない気も、
している
 
 
確かめる感触は
遠くなる程、明らかになる
 
その余韻を引き摺るように
私は限りなく
近付いてしまう
しまうから、
 
そして
 
 

 
 
箱庭の中は
捕らわれることなき、
牢獄に似ている
 
歩き回る影は
何処までも私に似ていた
しかし、
それが私であると
誰が言えるだろうか
 
 

 
 
嗚呼、また
 
見詰め合っている。






 


自由詩 俯瞰 Copyright 山中 烏流 2007-12-29 23:26:00
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