「平 衡」
菊尾

バランスを無くしたのは
片側が傾いたから。
飛行船は空の果てを航空中。
上手に舵をとって
進んでいきます。

見下ろした景色が綺麗だと君が言う。
見上げた景色は遠すぎて実感が湧かないんだと僕は言う。
気付かないまま
見えないまま
空の青さだけが二人に見える全てです。

鍵はポストに入れておきます。
知っているのはあなただけ。
いつか誰かが手にしても
使い道を知らないのなら意味もなく。
鍵だけでもドアだけでも
意味はないのです。


晴れが降る。
僕は撃たれて
真正面には君の顔。
今が葬られて
鉄壁な悲しさにも穴が開く。
いつも何かが降っている。
穴を通して僕を抜けていく。


芽吹いたら咲かすだけ。
咲かしたら散っていくだけ。
もう終わりだと君が言った。
僕はそれを信じない。


循環していくのは
君も僕も一緒だよ。


自由詩 「平 衡」 Copyright 菊尾 2007-11-29 17:49:44
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