鳥と煙突
サトリイハ

電車の中の年老いた鳥、ランコさんランコさんあたし胃カメラ飲んだのよ、ベージュのレース、そう、田島先生、優しかったワお上手でね、しわがれた声、ううん、つらくはなかったワ寒天みたいでねチュルっと、 揺れ、え、ランコさんお店に出ているの足はもういいのあらそう、止まり、そうね色んな方としゃべると若返りますしね、揺れ、ランコさんランコさん、年老いた鳥は電車の中から外を指さす、煙突、煙が出ている、線でつなぐ、その煙突には白く白い羽が生えている、ランコさん、年老いた鳥の煙突、もう行くの、おびえるように空へ、ランコさん、生暖かい風が吹く、ランコさんもう降りるのねそれではね気をつけて、くもり空との曖昧な境界線、はいどうもごちそうさま、彼方へ、お元気で、羽を、さようなら。


自由詩 鳥と煙突 Copyright サトリイハ 2007-11-13 00:06:15
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