虚軸天秤
悠詩

目の前に横たわる死体から
なにを手に入れた

喉を縊ったその手は失ったはずだ
束縛を解いたその心は手に入れたはずだ

保存エネルギーを


電柱の上にとまった黒い少女
クスリと笑って黒球を落とす

落下物をニュートラルにニュートり
雑貨物をニートらにヘロドトす

馨しき方程式とやつれた視線
どちらが重いかしら?


エネルギーがどこかへ消えたというのなら
行く先を二十文字以内で説明せよ
これは不可逆だ


土中から顔を出した白い少女
クスリと笑って黒球を呑み込む

甘くて
せつなくて
忌々しくて
足しげくて

どちらの味ももったいないことよ


答えろ
摂理を



答えられるわけないじゃない


ふたりの少女
天秤を蹴飛ばして消えていく







自由詩 虚軸天秤 Copyright 悠詩 2007-10-03 23:07:07
notebook Home 戻る