「 かなしみ未満。 」
PULL.







もう思い残すこともないようなあるようなまだ「そこ。」にいるきみへ、






「はじめまして。」をくり返しようやくぼくらは他人になってゆく。


ドーナッツのように半分にかなしみ別けてしまえばいいのにね。



失恋写真はやく色褪せるように雨ざらし(ナイテナイモン。)


赤い風船のおんなのこもの欲しそうに唇舐めて「あげないよ。」




夜のカーテンはどんな罪だって隠してくれるとイツコ(処女)が言う。


一ダースのレモン列べてもまだ足りない甘酸っぱい性欲。



忘れたふりして指先でまたあなたの名前さがしてる(ナンテネ。)


星の王子の星のお家は流れて燃え尽きてしまいましたとさ。






スプーンの上で揺れる月をひとくちで飲んでそれでさよならをした。












           了。



短歌 「 かなしみ未満。 」 Copyright PULL. 2007-09-11 10:57:38
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