オトナ
umineko

きみの憎んでいるオトナに
私は
一足お先になってしまった

オトナはずるいよ
オトナは嘘をつく
オトナは平気で裏切る
オトナは権力にひれ伏してしまう
オトナはいちいち言い訳をする
オトナは都合よくすりかえる

だから
きみがオトナになったとき
そんなオトナにならなければいい
私は
嘘だってつくし
言い訳も多いけど
私はきみを裏切らない
私は
たぶんきみより早く逝くけど
そのとき
楽しかったありがとうって
心から言える

我慢することも多いけど
いやなこともそりゃあるけれど
そんなことは
ささいなことだ

私はもうオトナになった
だけど
うまく世界に馴染めない
それはたぶんきみと同じだ
きみが世界を見て途方にくれるとき
私は朝がこなければいいと思う

それでも
朝はやってきて
私は
何を探しているのかわからない
私は朝がこなければいいと思う
きみの絶望と
少し似ている

きみよ
オトナになりなさい
オトナになって世界と戦おう
私は

クラスとか試験とか
たいしたことない

オトナになって世界を戦おう

ベルが鳴っている
遠くで
 
 
 
 



自由詩 オトナ Copyright umineko 2007-06-11 23:33:03
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