雨だれシンコペーション
渡 ひろこ

どんよりとした午後
気だるくジャズを聴きながら
ふと コーヒー・ミル引く手を休めると
ポツポツと出窓を鳴らして合図する
気まぐれな訪問者がやってくる

いつのまにか
部屋にながれるジャム・セッション
ワン・テンポ遅れのリズムをきざむ

降りつづくティアドロップのパーカッション
メロディにうまく溶けようと
ミルク・クラウン描いて踊る


グレーの空

しぶきをあげて走る車

雫をまとった街路樹


窓にうつる景色は
思うままに染めようとも
軽快なリズムに馴染んでゆけない
雨だれシンコぺーション

今日もまた
ポツポツと舞い降りる
悪戯な訪問者
出会うものはすべて打楽器


古びたトタン屋根

くるくる回る赤い傘

ひび割れたアスファルト


そして



ワタシの乾いた心に打ち響く




























自由詩 雨だれシンコペーション Copyright 渡 ひろこ 2007-03-25 02:15:32
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