SATP.Vol.9,「 簡単に、おやすみなさい。 」
PULL.







簡単に。


作品がそれを欲するのなら、
それが作者にとって、
どんなに嫌なことでも辛いことでも、
なんでも書く、
書いてしまう。
それで消耗して苦悩して、
耐えきれなくて、
書きたく書けなくなったなら、
それはおれが、
その程度ものだということ。


ほんとうに耐えきれなくなったら、
逃げればいいし休めばいい。
文藝や音楽、
げいじゅつなんて、
恋人や家族友人知人に比べたら、
全く価値のないもの。

だから、
しんどいときは、
しんどい季節。
休めばいい。

いつか次の季節が来る。


書きたいものたちを、
生かす術も殺す術も。
みんなみんな平凡なのほほんな、
日常の中にある。

例えばそれは、
美味しい肉じゃがを作るときの、
味醂の加減であったり。
キーボードを打つときの、
小指の密かな反乱であったり。
「きみの恋人がキスをするときになぜ目をつぶらないのか?。」
その理由と原因であったりする。


気付いて書けることがあれば、
気付いて書けないこともある。
それは作者を築いてゆく上で、
避けて通れない道ではないか。

こんなことはわざわざ書かなくても、
誰しもがもうすでに感じていること。

それを承知の上で、
ここに書いてみました。












           了。


Sex And The Poetry.Vol.9,
「 簡単に、おやすみなさい。 」



散文(批評随筆小説等) SATP.Vol.9,「 簡単に、おやすみなさい。 」 Copyright PULL. 2007-02-13 11:57:28
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