稲妻を待つ少女が

剥がれかけた空の下で

呟く言葉は

何年経っても此所まで届くことはない

雷鳴を背に

削がれた夢の舌と

嘆く空と

流れる普遍的で退屈な音楽に
 ....
隣の家に住んでいる女の子は

赤服の不法侵入者を待ち望み

縮た髪にまだ残る香りと共に

やさしく冷えたベットに潜り

窓の外で手を振る電飾を眺め

無防備な空想を並べた時間を
 ....
蛇行した道を

ただ車に乗って眺めているようで

反芻する言葉は

上着に突っ込んだ両手の震えを

幾分も楽にしてくれない

街は雪で白くかすみ

遠くに見えるビルの頂は

 ....
獰猛で

狡猾で

臆病で

暗闇で

血がにじむ左足は引きずって走れ

傲慢で

厄介で

不潔で

空腹で

欲しいものは奪って逃げろ

無情で

貧弱 ....
街を彷徨う蒸気と共に

白熱した悲しみが車をよける

手をつないだ恋人たちは

知らない土地の話をしている

七色に輝くスーツのポケットには

小さな戦争の火種が入っている

 ....
排水溝に水が流れていく

無関心なざわめきが街からきこえ

ぼくは窓の外を眺めている

通りを徘徊するばばあの持っている

乳母車の中身はしゃれた靴下が一足で

足音を消すには物足 ....
部屋の壁に

窓からもれた街灯のあかりが

色のない夜を映す時間に

路上で叫ぶ人影は

ざわめく静寂を打ち破り

揺れながら走る鼓動を示す

微かによどみ火照った体は

 ....
弱い僕は常にぼくらで

大きな流れの中でしか生きられない

光り輝く大河の中で

知ってる顔は知らない顔ばかり

文字と一緒に流れていく

時間は時代を消費する

熱気と称した ....
太陽が血を流し

邪悪な夢をばらまいている

裸の夜は孤独を空に

亡霊の昼は日陰で眠る

虚ろにみえる遠くの人影は

思い出の中とその外を行き来し

手を振る過去は泥の舌で
 ....
結局のところ純粋さってやつは
いちばん惨めでいちばん滑稽なんだよ
君がそれを否定しても
すぐに誰かが証明しちゃうんだから
たとえば遠くに見えてる明かりが
ぼくのお気に入りのやつだとしても
 ....
怪物が生きている

光輝く彼の歯は

ぼくらの目の前まで延びてきて

触手のようにでろでろと頬をなで回す

ペッペペペが時間を移動する

阻止はできない

絶対出来ない

 ....
炎に包まれた車の中で

絡み合う最後の優しさ

弾ける音は皮膚の音で

流れる油に血が混ざる

口づけする二人の姿が

最高潮の音楽にも似た

黒く悲しい歪みの様で

彼ら ....
宇宙服を着ている

砂漠のどこかを歩いている

汗は服の中にたまり

暑さは極度の疲労をうむ

ぼくはもうだめだ

先に行っておくれ

彼女は何も言わずに手を差し伸べる

 ....
街の光が流れる

光は束になってどこかへ行く

ぼくらは夢をみてる

加速する失速の終わりはない

失うものは何だろうか

夜は叫ぶ

深い無音の闇だ

どこかで繋がろう
 ....
赤く濁った水の中で

泳ぐ気力は尽きてきて


揺らいでいるのは君なのか

霞んでいくのはぼくなのか


深く潜った海の中で

肌は冷たくなってゆく


おぼれているのは ....
電気でできた僕らは

吐き気と目眩の海の中で

青白い体を横たえて

血を吐き

その血を夢に透かしてみては

奇麗だとうなずく

そして

波しぶきを散りばめた街の

 ....
恐ろしい文字が天井にへばりついている 上空フォフォフォフォンがやってきた

それは!

やってきたと言うより

上空フォフォフォフォンは木綿豆腐の香りがする

そして

髪をかきあげる

上空フォフォフォフォンの音 ....
幾千もの電球がその家の周りを照らしていた

そのどれもが小さく弱い光を放ち

それはとても暖かく

そしてよそよそしく個々を消失させ

一つの個をなす静のようだった

緑の芝生は黄 ....
新しくポストを建てました

これで十二本目です

今のところはお手紙はいただいておりません

悲しくはないです

心配は

近所の子供が悪戯に石を詰め込むことです

さきほど七 ....
遠くで黒い煙突が三本ぼくらを眺めている

カラスが夜を迎えにいく少し前に

船の汽笛が鼻をかむ

ポロー ポロー ポロー


遠吠えしている喪服の野獣は

煌めく闇を愛すと叫び
 ....
暗がりの中手探りで部屋の中を歩く

足が一つ欠けている机が言った

もうすぐ星がつく

二脚の椅子は

それは違う、理由がない

と言った

形だけの窓枠はあくびをしながら
 ....
緊張しているせいか

街に匂いがあることを思い出す

それは

呼吸を止める存在の

まっとうな足跡の

あるいは

絶望の

その中にある

親しみの

赤い血の ....
騒音の中にいた

僕の気に入っている子を目で追う

少しの間ふらふらと部屋を彷徨った後彼女は

裸電球が周りに幾つも並んでいる大きな鏡の前で

化粧を直し始めた

僕がもたれている ....
陸に上がって

雨の味を確認する

鳥が鳴く

銃声が響き

拡散する

夜の光と

昼の星が

その役割を思い出し

夢を稼ぎだす

その擦過は

すでに終わ ....
ドレスの裾から火をつけて

跳ねる音の隙間を縫って

一気に駆け上る

白い布が炎に包まれ

街の明かりを消してゆく

取り残された感覚が

遠くで聞こえるサイレンが

闇 ....
空中分解(26)
タイトル カテゴリ Point 日付
閃光自由詩112/2/1 15:11
電飾の月、仮設の星自由詩111/12/25 5:03
白い時間は闇の中で自由詩111/12/23 16:40
ハイエナの下着自由詩211/11/9 17:34
虹の中自由詩6*11/11/8 14:19
黒色の格子の中の人影の自由詩211/11/3 17:55
滑走路に並んだ灯は青と緑と黄色と赤と自由詩311/11/2 15:59
失われた世代自由詩1*11/10/28 13:51
夜の始まり、昼の終わり自由詩211/10/27 0:32
マイクテスト自由詩011/10/23 16:17
踊り子とジーザスみたいな奴ら自由詩311/10/23 1:09
午前二時に炎上する車のバックライトは点滅を繰り返す自由詩5*11/10/21 13:45
足跡自由詩311/10/20 14:16
光の海に潜り続ける潜水士は朝を知らない自由詩011/10/19 16:20
遠泳するぼくらは永遠の幻をみる自由詩411/10/19 2:24
白いクジラ自由詩3*11/10/18 12:27
目ゆゆゆゆ目自由詩4*11/10/17 13:03
上空フォフォフォフォン自由詩3*11/10/14 15:37
夜のプールに沈む憂鬱は透明な笑顔をぼくらに向ける自由詩211/10/11 15:12
割れた鏡と英国風のカーテン自由詩4*11/10/10 12:53
青い夜は孤独を装う自由詩211/10/9 3:27
ドットを追って自由詩2*11/10/7 9:58
交差点で足を止め、空をみる自由詩311/10/6 6:08
夜を静かに自由詩111/10/5 7:52
一昨日の夜の電気で出来た吐静の自由詩211/10/2 0:09
もうそこには居ない自由詩111/9/30 12:45

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