今朝から重く
かたむけたあたまは
いつのまにか耳から後ろが
スズメバチの巣になっていました
どうりで
何をするにも
こめかみの奥で聴こえる
羽音が止まなかったはずです
視界 ....
昨日まで
思い出せていたことが
今日になって
本棚から消えていて
そのわりに
十六巻
二冊持ってるし
売りに出そうか迷ってそのまま
どちらを読んだってかまわないのだけど
片方だけ ....
洗濯物を
とりこんでいるとき
すこしだけ
おだやかな気持ちになれる
風を吸った
タオルを
何度か折りたたんで
この先三ヶ月間の天気を
気象予報士が
(あくまでも予想だ)としたうえ ....
軒先のブルー
冷えた指を
挿し込むポケットがない
生活感のないひと
第一印象から
いまだかわりありません
ココナッツミルクの匂いがする
ラブラドールを先頭に
腕ごとひっぱられる ....
コップの外側に付いた水滴の
均衡が崩れた瞬間を
ただ首を傾けることしかできず眺めているとき
別になにかがうまれるわけでもなく
なにかをうしなうわけでもなく
そうしたすぎゆく時間に
ひやりと ....
頭痛薬がきれかけていて
何かうれしい事件があったとしても
あまりおおきくはしゃげない日々が続いている
バッグインバッグに手を入れて
錠剤が指にあたる感触を確かめる
その感触だけで
すこ ....
残念な目的を果たすため乗ったバス
次の停留所を伝える声が
なんだか常世のひとみたいだった
このままあちらの世界へ
引っ張っていってくれてもいいのにと
願いかけたのに降ろされた現世
....
ふきすさぶ風のなかで
わたしは落し物を探していました
ロマンチックなはじまり
ではありません
財布がないのです
携帯も
さっき買った
にがりのきいた豆腐も醤油もレシートも
メモ帳もモバ ....
朝食の支度を
大急ぎで終えた
顔もまだ
洗ってなかった
台所で
そのまま食べてもよかったんだけど
ただのエネルギー
身体に充電
してるわけじゃないから
ごちそうさまの
その後
....
ごめんなさいを言うように
雨粒がボンネットの上にたどりつく
別に謝る必要はないよ
アーティスト名を手繰りながら
探す曲がみつからない
もしかしたら
入れ忘れたのかもしれない
カフ ....
キツネかなあ
空からふる
陽射しと水滴に
わたしと傘は迷っていた
せっかくの予報を
信用しないで
折りたたみをバッグに
放り込んでいてよかった
シンボルの前で足踏みする
こどもと ....
電気を落とした
湯船に入り
じぶんの顔をまじまじとさわる
こんなところに
骨
あったっけ
どれだけいきても
わからない
ことは
どれだけしんでも
わからないのだろうよ
暗 ....
Tシャツの
袖がほつれている
机の上に
うっすら埃が積もっている
髪の毛が床に数本
散らばっている
タコ足配線の行方が
どれも
わからなくて
ちいさな油断は
部屋に隙間を生んで ....
アラームは既に
スヌーズたぶん二回目
め
をあけても
すべてあけられない
からだぜんたいが
ひとしくねむい
む
無理やり
上半身をおこし
腰をひねる
ひねる
ゆるいあたまで ....
揺れる炎をみていると
なんだか
昨日のことを
思い出してしまいそう
なのに
目が離せないでいる
それは突然
空から降ってきた
おおきなトカゲ
翼の生えた
おおきなトカゲが火を吹 ....
整いすぎた飛行機雲と勘違いしたのは
電線に反射した一線の太陽
その奥に流れていく雲のはやさで
風向きと速度を予測する真似事
手元の時計は
一時をすこし回ったところ
乗りたかった電車は
....
急に来た
スパイスのつんとくる
どこから?
たぶん記憶から
わたしはこの匂いを
覚えていて
わたしはこの匂いを
覚えているし 知らなかったりする
それは(十円玉)を
覚えてい ....
午前四時
デスクライトに集まる仄明かりを
指でつまんでは
窓から捨てた
けれど
捨てても捨てても
それらは群がり
夜は徐々にまみれてしまう
冷えている
二度目の底で
私は起 ....
セミの上半身だけが
おちていました
体内に抱えていた
音は開放され
世界が
せかいのすべてが
共鳴室になったのです
ふるえるのは木々
波はゆらぎ
やがて雨を降らすでしょう
....
スニーカーを脱いで
靴下を丸めて
砂に埋まる指は
すこし
つめたい
服は着たまま
視線はとおくへ
からまった滑り台が
何本もうねうね
バッグの底の
イヤホンみたいに
沖の ....
キーボードのエンターとバックスペースの間
をみつめて三十秒、二十秒、十、五、時間の
感覚がのびていく、のびて、のびてのびて閉
じ込められる、閉じ込められた時間の中でわ
たしは泉の前に立つ、あな ....
封筒の端をハサミの片方で割いて
中身を確認すると
手紙の束が入っていました
一枚一枚丁寧にさくさく切っていくと
文字の欠片だけが残りました
あとはノリと台紙があれば
なんだって盗めそうなく ....
あなたは今
森の中にいます
薄暗く
湿った空気の中
どこかほこりっぽく
うまく息ができません
枝を折りながら
ぬかるんだ靴を前へ 前へ
あなたは今
森の中にいます
....
朝おきたら
すべて
なかったことになってますようにって
いのりながら
ねむるんです
なかったことになんか
なったことないんですけど
書き置きにしては長いメモ
一度くしゃくしゃにして ....
しろい床に置かれた名札付きひとつのハコ
そこにはふたつのいのちそれぞれが
部屋を出るほんとのほんとの直前に
それじゃ
余韻を残し振り返ってセルフィー
ルネへひとこと
そして雷鳴
つめたい ....
イコライザいじりすぎて低音キツイね
って
思いながら気温ひとけたの中をよろよろと
何もないところでころびそうになって
何かほんとうはあったんじゃないかって
何かのせいにしたくなるのやめた ....
ついて間もなく
ダブルクリックすると
まだ
なまぬるくて
どこかのだれかを感じた
空はつながっているって
たぶんほんとう(ですかね)
すこし
淀んでいるけど
ベニヤ板一枚
隔て ....
という一文が一字一句正確に
記載されていたかどうかは
覚えていないんですけど
とにかくなんだかそういう意味の言葉を
どこかのインターネットのページであるいは
どこかの図書館の片隅の何ページか ....
赤い夜が来る
来ている
窓の外
サッシの隙間から
ぬるり
じわじわ
入ってくる
壁をつたい
床をすべり
絨毯の下にもぐり
中心から
表面に
染み出してくる
見ているし ....
ふゆうするkawaiiを集めるには
どれぐらいおおきい虫取り網が必要なのでしょう
商店街をうおうさおうしていても
それらしいものはみつからなくてなんだか
ゆいいつの収穫といえば今
目の前の店 ....
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