ゆるい水枠に
日常が
切り取られていく
何もかも
光をよそに
不確かさを帯びて
透けている
取り壊されてしまうと
そこに
どんな家があったか
わからなくなってしまうように
....
あと何分
同じ事 話し続けるんだろう
向かい合わせで
喋るなんて
テーブルを発明した人はデリカシーが足りない
雨に叩かれる窓
明かりが強すぎる店内
雑然と
雑念が
入り交じる ....
音が
消えた
僕の好きなうたが
どこかへ逃げ出した
口笛は
明るく
響くけど
本当はつらい顔をごまかしたいから
行ってしまったんだ
ほっぽらかした
僕のギター あのこ ....
痛みはすぐそこにあったのかな
勇気が要るね
地平の向こう側 踏み出すときが来た
なのに 足がすくんで
一歩も動けない
誰か手を貸して
帰りたいよ My Home
今はもう焼 ....
at 4:00 PM
渇き疲れた 繭の空
絹糸が
照らす
遊歩道
南の国の
入口を抜けると
幼いわたしが
立っていた
冬に咲く
紫陽花のような
ちぐはぐな気持ち
....
夜からは逃げられない
街に降り注ぐ 煙草の吸いガラの雨からも
見上げて立ち止まる人の 夢を汚す
雨からは逃げられない
傘を差してすれ違うときの 憂うつなドラマからも
なぐさめにもな ....
駅でモノクロが笑う
見逃してしまいそうな一瞬の隙に
夕暮れに口紅を塗りたくる
張り詰めた不安を化粧で隠して
私は女
悲しいくらい弱くて
切ない
切ない
と
ただ馬鹿みたいに繰 ....
朽ち果てた向日葵と
咲き乱れる彼岸花
柔らかく
過ぎていく
日々の中で
取りとめのない考えから抜け出せなくなっている
秋に実る
豊かな音楽のループ
fall in me ....
太陽は
雲に隠されてしまうけど
光だけ
火花のように洩れている
絵筆を持った少女が
街を見下ろして言う
「そのビル一つ塗り替えられないくせに
人の心一つ塗り替えられないくせに
....
私の
白い爪の先を
撫でる
あなたの大きな
親指
電車の隅に座って
人目を避けて
生きてきたのに
手鏡を見つめる
自分の顔と
その向こうに流れる
車窓の景色
懐かし ....
私の小さな声が聞こえますか?
この小さな息づきが聞こえますか
心臓を
守って
眠っている
今にも落ちそうに
大きく揺れている 鈴の音は
広すぎる世界の隅々まで
響き渡らせるには ....
凍える体を暖めてくれる
そんな 一杯のコーヒーにもなれない僕は
冷え切った君の手をさする
どうにかして
暖めてあげられないかと
癒されない痛みがあることを知る
閉じては開く 傷跡がある ....
“本当の私なんていない”
切り分けた
グレープフルーツを
かじりながら
ふと思う
Who am I?
キッチンの小さな窓から
果てしない世界が見える
すこし肌寒いこころ ....
割れたコップ
壊れた冷蔵庫
彼女はいつも苛々してる
こぼれたチョコチップ
鳴らない電話
唇を噛んで
その場をやり過ごす
いつだって
繋がってたいんだって
毎日笑って
....
風の弱い 祭りの日
千代紙で折った鶴を
そっと巾着に忍ばせた
少し早足で あなたと並ぶ
慣れない下駄に
つまずきながら
漆黒に
赤や青の屋台が
眩しくて
熱気に
....
言葉を抜き取ったら
私は
空っぽに
なってしまうのだろうか
愛情を表す表情は?
哀情を表す表情は?
こんなこと誰にも訊けないよ
胸の中に
タイムカプセルを埋めたの
お菓子の空 ....
あなたが
後ろからそっと私を抱きしめる
せせらぎが流れるように
肌を滑る冷たい腕
蒼白い月明かり
私はまるで
羽衣を纏った 一晩の天女
シーツの波間を漂う蓮
水草の絡まる細 ....
「おもちゃは卒業ね」
そう言って
取り上げた
三角の積み木
ねえ ママ
わたし笑えてる?
上手に笑えてるかな?
腕に痛いよ
羽根が生えてきた
天使に似合わない
{ルビ鈍 ....
遠慮がちに
欠ける月を見た
半分も満たすことができず
けれど決して消えない
いつまでも
見ていたい
月だった
ワイヤーを巻かれた幹
黒く浮かび上がる建物
携帯に落とし ....
安らぎの意味も忘れるほど
孤独を噛み締める夜
走り去っていく
あなたの夢が
繰り返し浮かんでは
消えていく
幸せな夢を見られないなら
眠る意味って
ないのかな
朝日が街の ....
小さな弓矢に込められた
小さな想い
幾たびもひるがえる
風の子たちのはしゃぐ声が響いて
始まったばかりの午後は回り出す
カーテンとカーテンの ....
ゆっくり溶けていく
わたしのからだを するりすり抜けて
なまぬるい温水のなか
ふつふつと 哀しみが込みあげる
広がる波紋 透けた泉の底に
あの日とは違 ....
懐かしく
甘い
夜
風が無く
声も無く
静寂に包まれた
街の奥で
ただ
確かに
愛されていた
故郷にも似た
広い心
澄み切ったような
正直さ
喋った言葉も
....
夕焼けを迎える前
乳白色に染まる空
その色がまるでホットミルク
凍える冬を終わらせるための魔法
芽吹き始めた桜
風に震えるつぼみ
その色はまるでホットミルク
長い冬を眠らせるための魔 ....
まどろみの中で目を覚ます
スパイスの風 起きぬけのカレー
わたしの心は溶けてゆく
絶え間なく形変える 水のように
行き交う船は涙を乗せて
遠くの海へと消えていく
聞いて ....
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