ここは
とうめいな
牢獄の中
交差点を 行き交う人々は
誰も
ビー玉のなかの 僕に
気づくことはない
声を嗄らして 叫んでも
誰の耳にも届くことはない
つぶやくように 生 ....
オルゴールの音が止んだ
世界は 静寂と暗闇で満たされた
行き場を失った悲しみは
僕の中で ぐるぐると巡る
『あの高い塔に登ろう』
君が好きだった
この街の景色を
もう一度見よ ....
学校からの帰り道
ごみだらけの家に住む
ひげだらけの臭いおじさんが
居間で背を向けて
テレビを見ている
『ガガー……ピーッ……』
灰色の砂嵐が映るだけ
やかましくノイズが鳴り響く ....
なぜ 走るのだろう
肉体は悲鳴を上げ
精神は潰れかけていながら
なぜ 休むことなく
前に進むのだろう
スタート地点の仲間は
もう 傍にはいない
友の励ましも
家族の祈りも
....
交差点に来た
私を中心に
たくさんの人が行き交う
たくさんの人が
入れ替わり 立ち替わり
私に笑顔を向けてくれる
私もそれに応える
(誰も 私の
本当の顔は 知らない)
....
ずっと後回しにしてた、
ほつれかけてた
コートのボタンを付け直した。
ずっと前から、
ずっと会いたくて、
ずっと会えなかったあの人に、
ずっと言えなかった「ごめんなさい」と
ずっと言 ....
真っ白な壁にくるまれて
身じろぎ一つしない 彼女の
静かな寝息が こんこんと響く
そこは いつも
扉に囲まれていた
円い扉、四角い扉、
ぶ厚い扉、簡素 ....
眠っていたい。
もう 少し だけ……
目覚めると いつもと同じ。
また、朝を迎えた 自分ニ気ヅク
ご飯を食べて、
歯を磨いて、
顔を洗って、
髪をセットし、
着替えて 出かける ....
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