小さな羽根で
飛んでゆける範囲の
小さな幸せしか知らぬ
円満な人生の理想
私はその設計図を
この世に生を受ける代わりに
安値で売り渡した
波荒む大海に
耐えられるほど強くない
む ....
僕らなんて所詮
古き良き時代の残滓でしかない
生まれたときから
正しさも切なさも知らず
ただ数式と活字の中で
ぬくぬくと生えただけ
自立せぬ考える葦
立ちすくむ足
手と手 目と ....
狭いベッドで二人
さくらんぼみたいになって
朝が来るのを待っていた
外は花散らす雨
目覚まし時計の針の音
グロー球の淡いオレンジ
微かに残る朝のシャンプー
数奇な運命でも何でもな ....
人間的な温かみには
人間的な御礼を
非人間的な仕打ちには
非人間的な仕返しを
パーソナルパーソン
自分だけの世界など
どこを探したって
見当たりそうにない
センセーショナルな会 ....
巧みな話術
タクラマカン砂漠
ラジオスターの悲劇
リンゴ・スターの打撃
豆腐一丁
一丁目の銀杏
ちょうちょ捕まえて
情緒不安定
束の間の夢
伝う馬の船
つま先立ちの毎日
....
サンドバッグの砂
世界は見えずとも
その厳しさを知る
バラボラアンテナ
世界は聞こえずとも
その広さを知る
美容師のハサミ
世界と話さずとも
その多様さを知る
水族館のイ ....
遅かれ早かれ
僕らはきっとダメになる
それは突然やってくる
いつまでも目を背け
笑えるだけの図太さを
持ち合わせていないから
押し潰されそうになる
私的な会話
詩的な開花
視 ....
うなぎであり
カメレオンであり
人間でありたい
気の遠くなるような年月を
生きていく覚悟なんて
これっぽっちもない
窓の中のアルタイル
鍋の底をサルベージ
しがない男のふりをし ....
寝て起きて食べて
時々ジンジャーエールを飲んで
また寝てまた起きて
繰り返しの中に潜む
倦怠と安心と拘泥
恐ろしくもあり
いとおしくもある
宇宙飛行船は
静かに飛んでいった
....
グミを食べているときは
世界で何が起こっているかなんて
考えもせず
ただ幸せな気分に浸っている
「必要とされ 必要とする」という
かくも疑わしき言葉に
涙を流したこともわすれ
ただ ....
吐く息の白さと
鳴り止まないアラーム
泳ぎ疲れた夢の中
出ない声で出るモーニングコール
堕落へつながっていると
知っていても手を伸ばす
ジャングルジムの攻防戦は
まだ続いているよ ....
夕方六時 トイレの鏡
掛け違えた コートのボタン
気づいた僕 疲れた顔
虚ろな目が 見透かす心
求めているものは
休息なんかじゃない
五里の霧を晴らすような
頭の中の革命
開い ....
コーヒーのミルクが
溶け合っていくようすが
宇宙の神秘みたいで好き
何も変わらない朝も
時々 好きだったりする
生まれ変わってゆくだけが
進化ってわけじゃないんだね
ああ うん ....
役立たず 役立たずと
無言で罵られては
泣きそうになって
それでも強かって
こんなときに
気を紛らわすために
口笛のひとつでも
吹ければいいのに
自ら沈んでゆくのを
暗い時代 ....
宇宙はきっと真っ暗で
僕らが思っている以上に
光は寂しい存在で
正しさなんて儚くて
足元につくばう蟻と
天井から落ちた雨
雲泥の優劣なんて
誰が決めたんだろう
取り残された星に ....
玄関を開ければ
工事中のタワーが見える
無機質にそびえ立って
うまく世界から浮いている
ピンクのアーチは
今もあるだろうか
環七通りの廃棄ガス
たまに吸いたくなって
夜風の吹く ....
キリンと戯れたい
軽く叩いてみたり
あだ名をつけて呼んでみたり
紋様をなぞってみたり
同じ目線に立ってみたり
たまにリンゴを与えてみたり
鼻と鼻を合わせてみたり
背中に乗っかって ....
発行しました
こんな紙切れ一枚で
私の何が判るというのか
記入しました
こんなインクの偶然だけで
私を何と見なすのだろうか
撮影しました
こんな光沢の笑顔から
私の悩みなどわか ....
生まれながらにしてセミは
飛び方を知っているんだ
人間はもう忘れてしまったよ
しがみつくだけの脱け殻だ
子供の頃の僕らは
光に群がっていた
あの太陽のそばまで
飛んでいけると思ってい ....
この上なく晴れた
心は膨らむだろうか
冷たい雨が降った
心は滲むだろうか
強い風が吹いた
心はなびくだろうか
大きな音がした
心は震えるだろうか
強い光が差した
心は ....
飛べないのも開き直って
ボールを遠くへ蹴り飛ばして
ただ単に僕らは
重力に逆らいたいだけ
ちょっとやそっとじゃ
流されたりしない
周りの景色がみるみるうちに
変わっていったとして ....
正直者が馬鹿見る時代に
素直に腹の底から叫ぶこと
すでに凝り固まった頭には
これほど難しいことはなく
これほど恥ずかしいことはなく
これほど悩ましいことはなく
これ ....
めまぐるしい流れの中
歪んで見える景色
傾いていたのは
僕のほうだった
重力はいつでも
僕をこの堅い地面に
縛りつけて離さず
飛ぶなんて到底叶わず
掃き溜めのような
淀みきっ ....
一日二回
同じ時刻を針は差す
空に穴がぽかりと空いて
金色の真円を描いた
木曜日のジュピター
金曜日のヴィーナスに
勝ち誇った顔で笑われる
一日三回
大量の糧が喉を通る
....
片隅なんだけど中心
主役なんだけど脇役
アンバランスな舞台の
アンビバレントな立場
近いんだけど遠くて
つないでるけど切れてる
アンバランスな状態の
アンビバレントな電波
軽い ....
誰かの名を呼ぶ君の声は
ごく自然に聞こえるんだ
まるで一つ屋根の下で
過ごした家族みたいに
それは僕の名についても
同じことが言えるだろう
使い古されたように
何の変哲も無いように
....
絶望を信じてたって
何にも変わらないんだ
僕らの前にあるのが
巨大な壁だとしたって
使い古された未来に
希望なんか抱いてみたり
まだ追い付けない過去に
訣別を迫ってみたり
大海 ....
善が何かも解らぬまま
偽善と踊る午前二時
秒針の音と心音が
同期して居心地は最悪
身体の奥の違和感
麻痺してる嫌悪感
引っ張り出せず焦燥感
背景だけは壮観
貴方たちに場をあげよ ....
買い物ん時は飼い主に
ポールに繋がれアンラッキー
道行く人がブザマな俺を
憐れんでくれるみたいだぜ
尻尾を振って愛想立ててりゃ
大抵愛には困らない
こいつら片手間だろうけど
こちとら ....
自ら輝けないとしても
淡い光を放っていたい
誰かのお陰だとしても
夜空に浮かんでいたい
ウサギが餅をついてるだろ
かぐや姫も待ってるだろ
六分の一の重力で
空中散歩もできるだろ
....
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