月のきれいな夜の森に
すすけたランプがひとつあって
マルグリットはその蝋燭の灯で
読書するのが好きだった
手帖の裏側から
ロオリエの葉が匂っている、 ....
あけがた
つらい夢をみた
あたしは英国製の
いいいろの髪かざりをして
コオヒイをいれながら
ちいさな受話器をゆっくり眺めたり
たぶん
7 ....
最愛の司書は
ある日いなくなり
こわれにくいおもちゃの列車に
かれ一人がすわっている
ところで
かれは9月の犬の
裸体の靴音が聞こえないほど ....
あの娘は、ブルウで
電話線の
むこうにいる
なみだがでるまできらって
と言うので
やさしくしたくなる
だれかで埋める
さびしい夜が、もしきみにもある ....
プラスチックの涙腺が
焦点をにじます
ミニマルな
からだのうえでは
チェスタアコオトが重みだけになっている
春よ、早めにきておくれ
フェンネルの香るさなかに
正直でやさしい小鳥を
....
ぼくたちは
霧の深いなかを出かけていった
みどりときいろの
あたたかいマテリアルの服を着て
うたかただった
電話がかかってきた
すぐれたいたずらだった
天国のくらやみで
3 ....
かれは眠るために
夜のシャワアルウムに横になる
指と指のあいだでほそい煙になった
あの、現代的なルックのガアルを想い
ユウモラスをたっぷりふくむ
気だるい音楽のなかで
吊るした ....
きみはもう
灰色で、
さわれば冷たかった
キャンドルを
ふきけそうとするたびに
きのうの感触がのこるなら
もうそれより先にあるもの
そのすべての秘密を知るのは、せつない
いとし ....
ケイト・トムソンの彫刻に
奇怪な地図がうつり
病んだルネサンス文学が
こころの甘さをのぞかせる
やわらかく、やさしい殺人のように
手織りのヴィンテエジキリムのうえで消えた
かけがえのな ....
吐き出したいきでつくる
まあるい世界があって
けわしい亜熱帯のまんなかを
半ば溶けた自動車が走る
虹に飾られたハイウェイ
信号はすべて青
彼女はリンゴを ....
リンネルを着たバイオリン弾きが
ゆったりとフォオクを取って月をうかべてゐます
ああ、
そうしてきょうも月が出て
そのぼんぼりのやうな薄明かりが
わたしとわたしのミニマリズ ....
シェルブウル風のゆがんだ建築に
ひっそりとかれはいる
あたしは
すこし疲れていて
思うやうにコトが運ばない
それでも
かれのときめくなまえをはつおんしてみると
....
だれよりも先に
世界がなくなって
ジミイチュウのバッグから
あたしのみじかい想い出があふれて
あたしの部屋を飾る一輪の花にもそのインクがにじんで、
あの様に
赤いの ....
その
ながい煙突は
をんなのまるい腕のやうで
その
やはらかい踊場は
灰色の砂糖のやうだった
あたしは
去年の今ごろも
この路をひとりでとおっ ....
憂鬱
は
ひよこ豆
の
スウプ
で
ある
と
ママ
が
教えた
ここでは
何もかも
フェイクファア
で
....
遠く月の裏側で生まれた双子は
痩せたブナの木の下で深くお祈りをする
夜にぶら下がったみずみずしい雨は二度上がり
翌朝 ひとつの名前が届いた
世界は叙情で出来ている
....
去勢した食用のオンドリは
オリーヴオイルの池で泳ぐ
魚釣りをしている少年が二人
その日はまさに歴史に残る日だった
およそ半世紀ぶりの雨が降ったし
デパートの子供服 ....
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