貴方のかく絵に想う所があって、
ぼくは、泣きもしないが、どうとも動けなかった
夏の名残る、セミの抜け殻を秋の木の葉にかくして埋めるように、
すりつぶして、どれがどれだか分からなくしてしま ....
せーの、の掛け声で ふたり は飛び出していけなかった
一斉に駆け出した白いシャツたちは何処へ行った?
追いかけようか
いや、やめよう
ああでもやっぱり、いこうか
登りかけの坂の向う ....
朝顔の蔓をのばして、電話線
花を耳にくっつけて、受話器にした
沢山の花に見つめられながら、僕達は秘密のお話をしようと、
青い花の僕から、赤い花の君へコールをしました
一 ....
君の、言葉なんか
毒にも薬にもならないんだよ 君の言葉なんか
俺のこと、貶めるなら貶めるで
励ますなら励ますで
それなりに心を傾けてくれないと、どれも
結局無価値さ
....
鳥かごに迷い込んできた蒼い薄翅に、
向こうの空が透けて見え、少女は息を呑んで手を伸ばした
まるで、天鵞絨かオーロラのように煌く翅が、小さく羽ばたいて
鳥の児らの鼓動を早めさせる
加 ....
さん、と僕の身体を抱きとめた草が音を立てた
風に撓る青い草原の
むせ返るような草いきれを感じて
濃密でしめやかな匂いにくらりと倒れたい
羊雲が速いペースで視界の上を飛び越える
....
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