ボタンを押すものの
今日はもう終いの表示
朝日に号泣したあの子を偲ぶ(しのぶ)
片方の靴が脱げている
吐息が焦げくさくなるまで
愛してやろうか
奴の指先つま先を
化学変化 ....
リビングの床に自分の影がまるごと抜き取られて映っている
薄暗がりの公園にぽつんと突っ立っているようだ
半径2メートルの背景が迫る
真新しい洗面所は
修学旅行の時みたく扱いにくく
....
あぁ、そこから自生するのか
君が手に汗握ったその瞬間
生命線の根っこから
泰然とした風貌で
嘘八百の芽が生えている
緑陰に目をこらしても
あるのはハンドメイドみたいな葉と
縫いかけの葉脈だった
ぼさぼさポニーテールの女子高生が
自転車で脇を通りすぎた
うなじからラム酒のような香りが
ひとつの束となり ....
ぶつかるならば消して消されて
チェス駒を進めるよに
規則的に混雑を闊歩したいよ
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時間が間延びしてしまったので
一刻一刻を回収している
処方された薬があまりにちっ ....
壁画に眠ったままの物語をいまこそ{ルビ解=と}かそう
子守唄にのせて伝え授けるには今が好機なのだ
塗り重ねられた油絵のように
深みをたたえた一筋の線
その{ルビ一片=いっぺん}にどれだけの ....
「ん」の書き途中
ペン先が滑り
始点にもどってしまった
その一瞬の間に回転し
くしゃっと崩れてしまった
ルービックキューブ状の
心のマス目を
見届けた者はいない
頭を駆け巡って ....
雨音はうるさく感じない。
胎内にいた頃の音に似ているのだろうか。
本を片手に聞き流すラジオのように
傍らでそっと邪魔をせずに正座している。
垂直に降る水の簾をかい ....
へその緒をつけたまま
時間のボールを追い
坂道を駆け下りる
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自分を囲み、なぞる線が
濃く太く変わるまで
パタリといくわけにはいかないんだよ
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日中
....
夕方5時、泣いている子供に出くわす
私は
甘い声を出してあやすほど
手馴れた大人ではない
でも私は
大音量で泣く音源を
置き去りにするほど
子供でもない
うろうろと周囲 ....
雨雲が忙しなく押し寄せて
射し 歪む 光の空
ケイコウトウの如く怪しげな
雷の前兆
家々が粗雑に窓を閉め
その響きに面をあげた
私以外の全てが
ヒューヒューと流れる
一 ....
夏の虫 怒らないから 鳴き止むな
等身大でいられる服を
地元のセールス品の中だけで探してた
シフトチェンジしなければと急かされて
それでもまだ
軌道修正できるきっかけが訪れるのを待ってる
ただの少女だったあの ....
環境に優しい天然ガス自動車
を運転ながら
窓を開け 口から煙を吐く トラックドライバー
「良い頭は、良い食事から成り立つ」
そうは言うが、なかなかこれが難儀なものなのだ
気付いたら凹んでいた後頭部の絶壁
頭の悪さはこのせいなのだと、母を恨みがましく思う
しかし今更骨格を変 ....
ネズミもどきの尻尾を付けて
尻を振る お遊戯会
一人だけ身体の色が違うからと
恥ずかしながらも 引きずり出される
何を歌えばいいかわからない
というよりこんな歌は知らない
だから
....
道路に捨てられた タバコ
雨で濡れてふやけて溶けた
日々吸収してゆくコンクリートは
ついにニコチン中毒となった
それは
お祖母ちゃんが乙女だった頃の 地面のハナシ
私は縁側 ....
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