遠い山の向こうへと繋がる
七色の虹を
その人は背負っていた
重くないですか
と尋ねると
その人はすこし微笑んでから
紺色を私に手渡し
故郷の虹は六色でした
と寂しそうに呟いた

空 ....
きみは激しく泣いていた
初めて背負う肉体の重さと、
もう止まることのない時間の速さに怯えて
予想もしていなかった祝福と、
手荒い歓迎の痛みに驚いて
きみは激しく泣きながら産まれてきた

 ....
同期の桜が散ったから、夏
些細な変化は時計によく似ている
受付の女の子は
朝からずっと
体温計を口に咥えたまま
お客さまの顔を忘れ続けている
(ところで、その娘の名前が思い出せない)
喫 ....
先生をビーカーに入れて
塩酸で溶かすと
同じだけの虚しさが
胸の中に生まれた
誰かが
質量保存の法則だ、と叫び
それはたぶん正しいことだった
その日
トスカーナ州の子供たちは
ピサの ....
水平線に帽子を被せている人を見た
世界と対等に向き合うということは
それほど
難しいことではないのかもしれない
子供たちに蹴飛ばされた波が
海の向こうで
砂浜に描かれた絵を消している
 ....
庭の土を耕して
人差し指で穴を掘り
ヒマワリの種を植えたのが五月

まいにち
土の湿り具合に神経を尖らせ
やがて
いくつかの芽が出ると
お気に入りの芽を一つ残して
あとは全部引っこ抜 ....
あなたの花言葉は「誠実」です
と、言われた人が困っている。
それも無理からぬことで、
彼はこれまで
人並みに嘘をついて生きてきたし、
時には、妻以外の女性と
ベッドを共にすることもあっ ....
なぜそこに居るのか分からなかった
気が合う仲間たちから離れて
早く一人になりたかった
そう思えば思うほど
一人になることが怖かった
通いなれた八王子の雀荘に
喪服姿の若者が四人

「最 ....
戦争が終わって
俺は窓辺にサボテンを飾ってみる

戦争が終わって
俺は愛のあるべき形を知ったのだ

戦争が終わって
俺は誰も彼も愛しまくる




 フィルピンパブで働く女を
 ....
お仕事は何ですか、と
聞かれたので
コピーライターです、と答えたら
あなたは不思議そうな顔をしました
そこで、コピー機の説明書を書く
仕事なんです、と付け加えると
ああ、と少し理解 ....
5人目のマリオは
川に落ちて死にました
4月の暖かい日曜日でした
私は庭の片隅に小さな穴を掘り
真っ白いノートに「やりなおし」と書いて
ビリビリ破って埋めました
あれから毎日、
 ....
子供の頃は
大人になったら
お嫁さんになりたいと思っていました
けれど、大人になった私は
気が付くとお母さんになっていました
子供の頃の夢は叶わないもの
空を飛ぶ夢を見なくなったと ....
好奇心が連れて行く
マカロニの穴の向こう側
あなたが筏を浮かべる海は
塩っ辛い
涙のように溢れ出し
沸き立つその中へ
マカロニを放り込む
あなたの胃の腑めがけて
必要だとか
必要でないとか
そんなことではなく
辺りいちめんを
もう思いっきり吸い込んでみる

日々にやさしいものは
いつでも君の近くにある
目を凝らして
耳を澄まして
鼻を利かせ ....
新しいページを開くと
本は一羽の白い鳥となり
窓の外へ
飛んでいってしまった
カーテンを揺らす
やわらかい風に吹かれながら
日曜日の公園へ集まる
たくさんの本たちのことを考えてみる
羽 ....
エレベーターの中で
「開」というボタンを押すと
涙が止まらなくあふれ出た
何かを受け入れるということは
何かを拒絶することと同じくらい難しい
一人またひとりと乗り込む人を
か細い指で支えな ....
戦争のあとにはいつも
殺されなかった死体が転がっている
それが君の言うところの
正しさなのだろう

ぱたりと本を閉じる
車窓の外へと目を移せば
淡い色の田畑が広がっている

「次 ....
目覚まし時計が
三時限目のチャイムを鳴らす
慌てふためき玄関ドアを開けると
見慣れた砂漠が広がっている

決められた席にきちんと座り
勢いよく手を挙げてみたが
指さしてくれる人はいない
 ....
バケツにいっぱいの青空がはじけ飛んで
退屈そうに時間が揺らめく
五月の原っぱに日曜日が溢れ出てくる

子供達の笑い声が響く
きっちりと慣性の法則に従いながら
ゴムボールが飛び跳ねる ....
詩人は死人によく似ています

夜、詩人のベットは

右脳の花々で埋め尽くされます

どんな色の花なのかは

夜がこないと分かりません



詩人はよくよく盲目です

 ....
九月三日、僕は死んだ
メキシコのティファナで

 黄色い風は心をすかし
 物売りの少年は
 人生を今だと言う


二月十日、僕は死んだ
ポルトガル領マカオで

 外国の顔 ....
ジャック・ダニエルは7歳だった
ジャック・ダニエルは産まれてしまった
ジャック・ダニエルは7歳なのにもう産まれてしまった

世界は一つではなかった
だが現実はいつも一つだ
ジャック・ダニエ ....
ぐるぐる果てしないエンドロールの中に
僕の名前がながれてきて
そんなことには誰も気付かなくて
誰かが気付いたとしても
次の瞬間には忘れてしまうけど
僕はせめて
最後に登場するこの世界の ....
「私には何もない」と絶望して言う君には
「私には何もない」という言葉がある
なんて言葉の綾取りよりも、
ずっとずっと大切な夕食が君には残っている
君のために飛び切り美味しいパエーリャを僕が作る ....
今日、拾ったんだ

あの川の輝くあたりで

あの空の疼くあたりで

あの山の轟くあたりで

幾つかの種を拾ったんだ



今日、種を植えたんだ

この氷のような胸に

 ....
いっぱい掴もうと

目一杯、手を広げたら

指の間から

ボロボロと

涙がこぼれていきました
海と空の境界線は

いつだって本当と嘘に似ている


マリファナ中毒者のような顔つきで

微笑みかける老人に

アホのような笑顔で答える私がいる

この島の時間が止まって ....
Tsu-Yo(87)
タイトル カテゴリ Point 日付
考察 〈野原にて〉[group]自由詩907/7/4 2:06
今日、産まれたきみへ自由詩8*07/6/24 4:43
考察 〈会社にて〉[group]自由詩407/6/12 2:19
考察 〈理科室にて〉[group]自由詩12*07/6/7 22:55
考察 〈海辺にて〉[group]自由詩2007/6/4 21:02
バス停自由詩1307/5/28 1:39
花言葉自由詩407/5/22 21:20
麻雀自由詩2007/5/14 22:50
終戦自由詩1307/5/14 0:21
優劣自由詩507/4/27 21:43
ゲーム自由詩207/4/27 21:32
子供は空を飛ぶ夢を見ない自由詩507/4/25 15:52
マカロニ自由詩407/4/24 15:53
深呼吸自由詩407/2/17 9:07
鳥かご自由詩807/2/10 0:00
エレベーター係自由詩1807/2/9 23:45
1両編成自由詩2006/12/26 11:05
解答自由詩406/12/3 1:42
五月の原っぱで自由詩305/7/27 3:22
詩人自嘲[group]自由詩405/7/27 3:18
生と死のリフレイン自由詩405/7/20 1:11
ジャックダニエル自由詩405/3/18 15:59
エンドロール自由詩205/3/14 16:00
ラ パエーリャ パラ マニャーナ(明日のためのパエーリャ)自由詩605/3/2 4:35
人間の種自由詩405/1/2 21:07
手づかみ自由詩404/12/23 15:27
バリ島自由詩304/12/16 17:27

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