Think small
ワイドショーでは
毎日ひどいニュースが流れている
母親を殺した父親を殺した息子が
たった今殺されました
なんて、心寒い時代なんだな
だけどそんなこと
君を傷つけた ....
【こころいき】
映画のチケットを買おうと
列に並ぶ私の前に
「心意気」が割り込んできた
実にけしからんことである
文句を言おうとして
口を開きかけた私を
「心意気」は睨みつけてくる
鼻 ....
【きがあう】
家の庭に「気が合う」が生えた
そういうこともあるんだなあ
生まれたものは
育てなければならない
私は100円ショップに
ゾウさんじょうろを買いにいく
ミドリにしようか
ピ ....
古いアルバムのような部屋で
調律師が鞭を振るうと
ピアノは彼を乗せたまま
一目散に走っていってしまった
置き去りにされた妹は
泣きながら
何かの楽器になろうとしいている
ジャジャジャジャ ....
子供は暴力でいっぱいだ
頭のてっぺんから
足の爪の先っちょまで
暴力という暴力で
満ちあふれている

ほら、引っ掻いちゃうぞ
それ、踏んづけちゃうぞ
やれ、押し倒しちゃうぞ
よし、放 ....
失恋したら髪の毛を切る、
なんて古風な習慣は持ち合わせていないけれど、
髪を切らずにはいられない日は確かにある。
例えば、傘をさして歩いても心が雨漏りしてくるような日。
例えば、通いなれた一本 ....
   1
野原を駈け抜ける
モノクロテレビの遙かうえ
空が上手に飛んでいく
秋だな
と誰もが呟きたい秋に
ベースボールは歌わない
アウトとセーフの間を
走るのはイタチ
追いかけるもの ....
高い所から見下ろした街には
やさしさ みたいな光が
たくさん走っている
その一つひとつが
ゆっくりと目蓋を撫でて
今日の寒さを忘れさせてくれる
どうしてだろう
遠く離れてみた方が
 ....
追憶の草むらに少年が一人佇んでいる
阪神タイガースのキャップを目深に被り
みすぼらしい水筒を肩からぶら下げて
自分の人生よりも遠い場所を
睨み付けながら少年は佇んでいる
水筒の中にはジャック ....
久しぶりに地元に帰り
ふらっと立ち寄った飲み屋で
幼なじみの電信柱と会った
人なつっこい笑顔は相変わらずで
そんなことが妙に嬉しい
カウンターに腰掛け
街や人や時間の流れ、それから
その ....
冷たい雨のあがる日を
釣り人のように
じいっと待っている
暮れ続ける日々のなか
片足でリズムを取りながら
秋雨が途切れた瞬間
ここぞとばかり
洗濯機へ
汚れ物を放り込む
後はまた
 ....
真夜中に突然、玄関が開いて自分が帰ってくる
という光景を、ベッドの中から眺めるのは
とても不思議な気分だ
ああそうか、俺死んだんだよな、昨日の朝
死因は自分でもよく分からないけれど、
きっと ....
「遠い親戚です」と呟きながら
脂ののった秋刀魚を食べる
身を骨から器用に削いで
大根おろしをちょんと乗せて
神経質に醤油を垂らして
「遠い親戚です」と呟きながら
秋刀魚の塩焼きを食べている ....
偽物の夜がきて
偽物の星空のした
仄暗い記憶の海に
釣り糸を一本垂らすと
偽物の魚がかかる
その場所から
本物のおとぎ話が
はじまる

  *

今まさに
事件は暴かれた
偽 ....
空っぽのお弁当箱のなかでは
今まさに
恐ろしい怪物が
成長している最中である
という事実を
知らないまま
男の子も
女の子も
小さな両肩に
リュックサックを食い込ませ
重たい足取り ....
鳥カゴに串を一本入れときたいな
小鳥がいないことの理由を
誰が見ても分かるように
飛び散った羽もきれいに片づけて
「青い鳥」って書かれた
プレートだけを張りつけて
鳥カゴに串を一本 ....
色とりどりの携帯が
九月の小川を泳いでいく
電話口から溢れ出る声は
次々と不器用に溺れて
川はさながら
どこか遠い国の雑踏のようだ
風邪は人にうつせば治る
という嘘を知らない子供たちの
 ....
三番線のホームを獣が通過する
知らなかったなあ
いつの間にか世界は
こんにも美しくなっちまったんだ

二番線のホームに到着した
足の長い甲殻類の殻から
沢山の人間が這いずり出して ....
*
澄んでいく記憶の端から
水色の汽車が走り出します
ため息や欠伸といった
水によく似たものたちを
揺れる貨車に詰め込んで
透きとおる空の下
滑らかなレールの上
どこまでも
どこまで ....
見慣れた夏が来て
また、あの少年が
車に轢かれて死んだ
死に続ける者も
生き続ける者も
同じグラウンドのうえで
確かな約束を探していた
かつて
連れて行って欲しい
と願った場所は
 ....
群青の森から
逃げてきたものたちを
ひとつずつ捕まえる
白くやわらかい部分に
サインペンで名前を書き込み
(神聖なものはすべてKではじまる)
ありふれた雑踏の中へと
放り投げていく
グ ....
あるいは、青春とは生贄のようなもの
だったのかもしれない
私たちが、終わりの終わりまで
上手に歩いていくために捧げた
血なまぐさい生贄
それが美しいものだったなんて嘘を
眉一つ動かさずにつ ....
朱夏を流しに
秩父の渓流へと向かう
蛇行しながら伸びていく
山間の道に
カーナビは沈黙する
助手席では赤い女が
道を間違えないでね
と声をあげて笑っている
いったい
何処に行けという ....
クジラは人間の
小便が好きだった
防波堤の影に隠れて
小便をする人間を見つけては
そおっと近づいて
その慎ましやかな水の流れを
うっとりと眺めた
 もしあそこに
 小さな虹が架かったら ....
窓辺に置いていた
ベゴニアの鉢から
ベゴニアが生えてきたので
窓の外へ投げ捨てた
こうあって欲しいと望んだことが
そうなってしまった悲しみ
小さな風がカーテンを揺らす
窓辺が少し ....
机の引き出しに
ピストルを一丁しまった
これでよし

ピストルは人を殺めるために存在する
けれどそれを他人に向けることはなかった
滑らかな重みを持った銃口は
いつでも自分自身の頭に向けら ....
いくつもの停留場が
いっせいに
羽を広げ
南の方へ渡って行った
停まるべき場所を
失ったバスは
大人たちの口から口へと
走り続けている
高層ビルが突き刺さった
地平線の向こう側
 ....
〈海辺にて〉
水平線に帽子を被せている人を見た
世界と対等に向き合うということは
それほど
難しいことではないのかもしれない
子供たちに蹴飛ばされた波が
海の向こうで
砂浜に描かれた絵を ....
霊安室には
色とりどりの車が安置されている
存在とは形ではなく
温度で定義されるものらしい

すでに
どんな夏の思い出も
語ることのない麦わら帽子の穴に
誰かがキーを差し込む
ギアを ....
「ヘンリーってのは
 どこの国のサッカー選手だい?」



ねえ、母さん
ヘンリーはアイルランドの選手だ
ヘンリーはアイルランドのカレッジのチームで
今日もベンチを温めている
ヘンリ ....
Tsu-Yo(87)
タイトル カテゴリ Point 日付
Think small自由詩407/11/26 19:49
言葉日記2自由詩507/11/8 17:32
言葉日記1自由詩807/11/6 20:34
気まぐれ自由詩107/11/2 16:59
暴力自由詩407/10/31 1:08
散髪未詩・独白107/10/29 2:20
人間、その他大勢自由詩407/10/26 23:36
やさしい人自由詩507/10/11 1:21
草むらの記憶(あるいは水筒の中の現実)自由詩107/10/7 4:18
人間らしさ自由詩307/10/7 1:44
秋空自由詩407/10/4 18:19
擬態自由詩4*07/10/2 23:39
親戚の欠片自由詩5*07/9/26 20:07
偽物について自由詩407/9/26 17:39
遠足自由詩407/9/25 10:57
不在自由詩407/9/20 23:27
会話自由詩007/9/20 14:05
ホーム自由詩207/9/19 3:06
水色について自由詩1407/9/3 21:46
甲子園で連れ去って自由詩3*07/8/29 23:15
自由詩407/8/27 23:43
生贄未詩・独白607/8/27 1:25
道を間違えないで[group]自由詩207/8/23 18:30
クジラの小便自由詩17*07/8/20 20:38
ベゴニアの鉢自由詩4*07/8/20 19:38
ヘッセの拳銃自由詩307/8/18 12:50
のまど自由詩407/8/7 15:44
考察[group]自由詩5*07/7/29 16:57
考察 〈駐車場にて〉[group]自由詩107/7/26 3:11
HENRY自由詩10*07/7/8 4:56

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