その指の先までも貴方に届く事はなく
虚しく空を画いて地に落ちるだけ
貴方の顔を想い浮かべるだけで胸が締め付けられ
痛みと期待が入り交じる滲む血の味は
鉄錆と苦味が入り交じる
深い深い後悔 ....
晴れ渡る空に茶色い靄がかかり
澄んだ蒼が穢く濁る空気はまるで突き刺さるかのように喉を刺激し
噎せかえる異物感と圧迫感に思わず咳き込む
瞳の奥は砂と化合物で詰まり
止めどなく溢れる涙すらそれらを ....
星は堕ちた
泥濘のなかへ
月は嘲笑った
雲間に紛れて
冷たく光る涙は雨となって地上を濡らし
湿った風が哀しみを運ぶ
曇った煙を燻らせて
ざわめく影が暗く啼く頃
湿り気帯びた生暖 ....
薄暗がりの騒がしい街はそのまま闇に包んで締め付ける
震えと涙と諦めとやり切れぬ思い
手のひらを伸ばしても何も掴めず溜息は白く翳む
薄ら寒い空気が私を嘲笑い雑音を撒き散らして取り囲む
陽射し ....
深まる闇に誰も気付かず
忍び寄る足音にも誰も耳を傾けようともしない
偽善の仮面を被った悪魔は聖職者の身形で白々しく
神の言葉を説いて回る
まるで我こそが真の聖職者なりと虚栄心を募らせながら
....
「ごめんや」
虚ろな眼差しで
そっと握る祖母の手は
ほっこりと温かくて
懐かしい香りがした
独裁者が命を絶ち狂った世界が終わりを告げて
世の中に平和が訪れると信じていたのに
違う形の独裁者が再び現れて横暴を振るう
もし本当に世界が変わるなら
意味もなく人を傷付けたり
ひとつのモ ....
冷たい肌で引き裂いた滲んだ鉄錆の味が苦く口に残った
まるで罪を罵るかのように
あゝ、どんなに振り返っても君はいない
君の醒めた横顔が瞼の裏に映る
見込み違いの幻が僕を責め立てる
どう ....
慰めさえ効かないぐらい哀しいときは泣いたらいいの
我慢するときほど悲しいことったらないわ
ただそばにいて寄り添ってくれるだけでいい
背中撫でて頭撫でて何も言わないままで
時間すら忘れてひと ....
雨露な濡れた葉を止まり木に羽を休める揚羽蝶
何を考えているのか
何をしたいのか
騒ぐ風が大きな羽をユラユラと揺らしても
不安定な足場の上でか細い脚を踏ん張らせ必死に耐えている
仲間が近くを通 ....
灰色の空にも光が差すことがある
しかし、いま立ち止まったこの場所に光はあるか
どす黒く舞い上がる排気ガスの鼻の奥まで汚れてしまいそうな世の終わりに
ふと振り返れば道は途切れ
ちぎれた破片が ....
体を刺す鋭い痛みは皮膚のより深くへ
まるで太陽の攻撃だ
一斉に放つ光は眼の裏を焼き尽くす
滲み出る汗は止まることを知らず
次々と生まれては肌と服を濡らしてゆく
髪の毛を挟んで黒い ....
蛇のように長い文章の羅列
指でなぞって大きく欠伸する
その開いた口の奥から退屈という言葉が飛び出した
意識を集中させて読み込もうとすればするほど
その無理に見開いた目は傷みと疲れを我が身に ....
車窓から揺れる街の灯
四角い光のなかに幸せが眠る
時には笑い時にはケンカし
日常に閉じ込められたドラマ
私の知らない私の求める
ごくごく平凡であたたかな夢のカタチ
詩の選考委員にとって必要な詩は選ばれる
しかし必要ではない詩は消される
これは詩の殺人だ
言葉は無視され
初めからなかったコトにされる
むしろ言葉の殺人事件だ
華やかに本誌に飾られ ....
傷跡裂ける
めりめりっと
亀裂から溢れる赤い体液
静かに眺めたまま堕ちゆく雫舐め掬う
舌の感覚柔らかく
途となった跡を指で辿る
生温かな触感に怯えながら屈折しつつ伸び上がる
....
下唇噛む
血が滲む
喝采される声
私の頭の中で絡み合う
糸と糸
胸のうち溜まる
ドロリと穢れた液体のような
頭の上に伸し掛かる重石
もはや取り除くことできず
ただ私は手を動かすの ....
無機質な翼に覆われて
耳をつんざくような轟音に侵されて
辺野古は美しい珊瑚も海も空も奪われる
街を営む人々のコトバすらヤマトには届かず
ただアメリカの思うがままに
これで《美しい日本》だ ....
後ろ振り返り私が辿ってきた道を眺めた
長く遠く後ろに続く道
大小様々な石ころと泥でぬかるんだ凸凹道
躓きながら転びながら歩いた未来へと続く道
今日は何を書こうか
白紙のまま閉じようか
泳ぐ文字の赴くまま
僕は筆を動かす
踊るよ言葉
もやもやもやもや
灰色の霧に包まれて
うたうよ謳う
静かな激しさ内包し
詩(ウタ)と ....
短い言葉に想いを込めよう
長々と多くを語らず
ただコンパクトに伝いたい言葉だけを語る
密着しあった言葉と言葉があなたの胸に届くまで
声なき声に耳を傾けよう
あえて大きな声は挙げず
ただ ....
誰が好きかと聞かれて戸惑い感じた
今まで勝手に詩を書いてきた
好きな詩人など分からない
そう正直に答えると決まって相手は
小バカにしたような態度をとる
「ふぅ~ん」とか
「へぇぇ~」とか
....
微睡のなか
みた真実は果たして真実か
吹き消された橙色の尾っぽのように後は一筋の煙と化し
目の前で展開された走馬燈は煌びやかな夢
緞帳をめくり舞台裏覗けばそこはコンクリートの壁肌
冷たい灰色 ....
後ろへ伸びたまま繋がらない影
毎夜空を見上げ星を数えながら
失いし日々を懐かしむ
曇りガラスの向こう
目を凝らしながら睨みつけ
意味のない詩を唱え続ける
時の権力者はいつも横暴で気まぐれ
どんなルールも色んな言い訳をしてぐちゃぐちゃに壊してしまう
周りを自分の思い通りにさせるためにあらゆる言葉で惑わし
今あるルールがあたかも悪法であるかのように思 ....
柔らかな微かな香りが鼻を掠めたら
少しずつ少しずつ
君を過去の記憶から消していこう
共に過ごし
苦さも優しさも初めて知った想い出を
君はもう僕とは違う道を歩んでいく
新しい道を
....
僕らはまだ寝惚け眼
人間の作った時限爆弾の恐ろしさを知らない
自然の力が発火装置さ
地下に眠る大蛇が縦横無尽に大暴れすれば
たちまち大爆発を起こして
死の灰を撒き散らす
それでも人 ....
投げ入れろ小石
深くて暗い水面に広がる波紋
だんだんと大きく
まるですべて覆い尽くすみたいに
黒い叢は謳う
靄の掛かった疑問を隠す膜
薄く深く僕は纏い
夢うつつの海の中を航海する笹舟
白い虫が騒がしい音符となって飛び廻る
縦横無尽に休む事なく攻撃的に急降下してはぶつかるように
まるで羽音は騒音
そうただ虚しく響く中味のない夢
私は一人立ち止まり耳を塞ぐ
意味すら持たぬ ....
争いの国へビジネスのために命懸けで出かけた邦人を
すっかり頭の中から取っ払って
皆が目の前にある快楽にばかり躍起になって追いかけている
ご当地の美味しいグルメを芸能人が食してご満悦だとか
....
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