蒼く白く浮かび上がる斜面を手のひらで滑り降りて
ごわついた皮膚の冷たさを知る
まるでゴム毬のような乳房をわし掴みしてその谷間に暗い頭を挟み
これが生きている証拠だと誇張する
あぁ、生きてい ....
祖母ひと言わたしも老いて恋しよう
幾年の想い変わらぬ面影は
心休まる祖父の微笑み
今はただ空しき想い胸にして
在りし日の夢祖父と願わん
黒き眼のはたと閉じたる様まさに
花びら閉じる音に似たり
祖母の誕生日
母からこっそり
祖母が大好きなお花を聞き出しておいて
仕事帰りに買いにいく
水仙にフリージア
祖母がこよなく愛する花ばな
ねぇ、どこにあるの?
花屋を探し回っても
近 ....
晴れ渡る空に茶色い靄がかかり
澄んだ蒼が穢く濁る空気はまるで
突き刺さるかのように喉を刺激し
噎せかえる異物感と圧迫感に思わず咳き込む
瞳の奥は砂と化合物で詰まり
止めどなく溢れる涙すら ....
詩の合評をすると決まって
〝名〟よりも〝迷〟の付く
探偵のほうが多い
時は残酷で波に揺られて流れ去る
血を流した痛みも愛も
死んだように忘れられて無機質な笑いに還る
涙は乾き
深刻な真実は意味なき嘘になる
あぁ、掃き溜めに脱ぎ捨てられた私の脱け殻
くしゃ ....
知らなかった世界を知ることができた
小さなことから積み重ねてゆけば
頑張って生きてゆけば
月は満ちて己の思いのままにできる
何も思い悩むことはない
軒下で震えていた猫も
曾ての夢を実現しよ ....
暗闇に光る炎
愛しいひとの頬をオレンジ色に照す
どうかいま俺の傍で眠るこの恋人と
これからも共にいられますように
ずっとずっと一緒に
手を取り合って人生を歩めますように
祈らずには ....
哀しんでる他人観ながら嘲笑い愉しむ
所詮人間
隣人に同情し憐れむなんて出来ない
自分より高いところへ
手が届きそうな奴がいれば
仲間と蔑む瞳向けて嫉妬に胸焦がす
所詮人間
己の罪を自覚し ....
振り払っても
振り払っても
追いかけてくる
ぽっかり開いた暗い穴
闇はすぐ傍まで迫って来る
どんなにはしゃごうと叫ぼうと
光は駆け足で逃げて行く
そうだ
希望は失望から絶望へと ....
生暖かな膜に覆われ赤い紅い血を流す
その痛みは秘かに仄かに私の膜を破り
その反抗に少しばかり涙する
チクチク
ドクドク
ドンドン
痛みは哀しみとない交ぜになって私を誘う
ピンク色 ....
公園のベンチに腰掛けて
柔らかな緑の叢の中で笑う人々
胸が締め付けられて
頭の先からズンと錘が落ちる
軽やかに舞うような話し声も微笑も
幸せを纏っている
男も女も子どもも赤ん坊も
....
地下鉄の入り口付近
巣を作り羽根を休めるツバメの親子
親は子を巣の内側に入れ
自分は外側端っこの不安定な場所で
羽根を羽ばたかせ
必死に巣と子供達とを守っている
黒いつぶらな瞳を時折瞬きさ ....
周りを見渡して何も変わらない日常
ひとりぼっち
私は取り残されたまま
ぽつねんと佇む道の端っこ
ため息も涙も出ない
さようなら
さようなら
描いたはずの未来
夢なんか夢で ....
ことばは不思議だ
受け止められかたによって
深く傷ついたり
深く響いたりする
ことばは不思議だ
人によって
鋭いナイフともなり
時にはこころの拠り所にもなる
滔々と流れる川の水 ....
柔らかな衣のような波間が私をとらえ
夢をさらってゆく
それは束の間の安息
絶え間ない静粛の音
安らかに眠る赤子の笑顔のように
嵐のない幻を視る私の過去
いますぐ君に電話して
「逢いたい」って伝えたい
連絡すら途絶えた糸
辿ればきっと君に辿り着くから
君と仲良く酒を酌み交わし
たわいのない話をして君と心通わした夜
もしまた巡り逢えるなら僕は ....
現実から逃避して精神世界に逃げ込んだ
言葉遊びは得意中の得意
線と点とは結び合わず
まるで宙に浮くように
辻褄合わずの言葉が浮かび上がる
こんがらかった脳みそに
鋭利な刃物のような真実 ....
物心ついた時から親からは
たわいないことでも頭ごなしに叱られ
どんなに反省しても
「何度言っても何の理解もしていない」と無能扱いされてきた
私もそうして叱られるのが当たり前だと受け止め
自分 ....
僕らは惑星(ほし)に乗ってやってきたの
運命という名のもとに
君と出逢うずっと前から君を知っていたよ
黒髪の美しく耀く宝石みたいな瞳の君を
何千何億年も昔から
壮大な夢を描いてやって ....
一粒の光りが無数の輝きとなって彼を包んだ
ろくに寝てないんだと彼は言ったけれど
無数の彼を励ます声に彼は応えた
ああ、それこそ彼なんだ
いくつもの難関乗り越え
堕落という道を選ばなかった
....
日々の営みがたとえ遠くになっても
ロウソクの炎がたとえ揺らいでも
無敵の魂である事を信じている
野に咲く一輪の花が雨風に耐え忍ぶように
彼も今の苦境を耐え忍ぶことを
楽な道ではない事は知って ....
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