表札が「木戸」とある
 ここで きみはご飯をもらっていて
 今日も玄関先で眠っている

 この間は玄関ドアの傍に並んだ鉢植えに身を寄せて
 うずくまり日なたぼっこ
 きみの瞳が小路へ向い ....
 沈丁花の香しさ
 小風に誘われて
 こころが遠い場所へタイムリープしてしまう

 「ここから見ると。」
 海沿いは照り映える鱗波がどこまでとなく続き
 うっすら空に霞がかる

  ....
 会社の正門を出ると横断歩道を渡って右折する
 そこに
 名前も知らない神社がある

 給料日に銀行へ寄る時だけ利用するようになった
 神社の境内のわき道
 一人通れる足幅の草だけが禿げて ....
 ロレツの回らぬほど酔った男が
 何度も同じ事を怒鳴りながら
 女に絡みついている

 能面の様に 厚ぼったい女の顔は
 何の感動も示さず
 唯 その口だけが別の生き物のように笑ってい ....
 休日前に同僚と
 行きつけの飲み屋で飲んだくれ
 翌朝なって食う茶漬け

 これが、美味い

 冷や飯に梅干し乗っけて
 塩昆布とぬか漬け胡瓜
 紅生姜に沢庵添えて
 熱湯かけると ....
 どんなに望んでみても
 あの懐かしい潮風の吹く
 岬まで
 翔べるカモメには
 出逢えません

 京の都で鴨川に
 架かる橋桁くぐり抜け
 川縁を舞う
 ゆりかもめ見て思います ....
 こんな話、どこかで誰かにもしてみたい

 心臓の鼓動と
 もう一つ
 人には心に脈拍があるのです

 意識していないとき
 心臓がそうであるように
 いつも揺れているメトロノームの振 ....
 月がゆらりと舞い上った

 色染める今宵十六夜の月

 東山に
 恋をしたのか

 傾いてゆうらりと動き出す

 あてどなく ああ
 僕の月よ何処へ

 さまよいゆくのか ....
 
 おじいさんカメラアングル探る朝
   ドブ川沿い咲く芙蓉の前で


 公園で歪に割れる泥団子
   柴の散歩の落としモノかと


 あす降るか 雲間の月に遠い声
   貴男の ....
 湯豆腐の店が恋しくて
 南禅寺に出かけてみた
 松の葉に
 雪の子が降る
 池にも雪の子が降る

 戸をかたく閉じる
 まちの白い舗道に降る

 車の走行音にも降る

 誇 ....
 何時なのか
 知るつもりもなく
 近すぎず遠すぎもしない
 道路工事の音が耳に心地よい

 薄地なカーテンシェードで遮られた
 街路灯の漏れ込むワンルーム
 あそこの窓が
 月明かり ....
 日傾いた小運動場で
 ノンちゃん
 フー子
 ユウちゃん
 なよ風に赤いランドセルが笑い
 さざめき合っていた

 あんた今日も、先生に怒られてたやん授業中
 ちがうねんフー子、あれ ....
 カップ麺に熱湯注いで待つあなたの
 お耳を拝借できますのなら
 こそっと お話してみたい

 京都駅から地下鉄に乗り四条駅で降りて
 阪急電車に乗り換えます
 地下鉄の改札を出た駅構内に ....
 花を生けずに
 花瓶に水をはる

 絵を入れずに
 額ぶちを吊る

 そうして

 北向きの六畳間の窓を開け
 風だけを 入れる

 雪光る 比良の山稜と
 湖の流波に
  ....
 晩の嵐の止んだ朝
 どっぷり濡れた
 舗装道路を進み行く

 街路樹の折れた枝が煉瓦の上に
 太さのちがう枝を見る
 散り落ちた若葉が煉瓦の上に
 柔らかな緑は目に強く
 レンガ色と ....
 肌を刺す 比叡おろしの朝の道
   猫と会釈し駅はもうすぐ
 僕の瞳にはオレンジだけど
 君の目には何色なのか

 そよぐオレンジの群れに
 君はお尻を向けて移動中
 ちょうど僕の胸の高さに居て
 翅を広げる
 胸部と腹部の背中がはっきり
 見 ....
 うずくまる白い象かな 伊吹山
   夕日背にして息吹く山肌
 
 線路沿いの路肩に這う茂みは朝顔らしき
 蔓と葉に花を二輪つけていた
 花は控えめでいて澄んだ紫陽花色
 歩み寄る私の指先に
 四枚羽の片側二枚つままれて
 運ばれてきたトンボ

 ....
 巨大な鳥の白い胸と足が見えた一瞬だった
 
 幻の富士山トンネルが掘られている
 南西斜面は陥没
 土砂崩れで山頂までが崩落した
 山はもう不二と表現される元の形を
 とどめない
 ....
 

 危な気で 振り返り見たベビーカー
   パパ急ぎ行く雪道の朝
 ラッシュアワーを過ぎて車輌には
 まばらな乗客
 停車したその駅では誰も席を立たない

 低い土手が迫る人影ないホーム
 竹の混ざった雑木が金網で仕切られていて
 絶え間無し 葉を落とし ....
 焼酎の お湯割りチビチビやりながら
   彼女とラインで ふけるひととき
 京福電鉄嵐山本線が近くを走る
 右京区の街の中
 名前も知らない小道を二人で歩く昼下がり

 小道には金網の張ってある敷地に沿って
 大型プランターが路端に並び
 主枝を伸ばし茂る葉と
 ....
 暖簾のむこうに彼がいて
 いつも私を待っててくれた
 あの頃
 
 石鹸の匂いするあなた
 寄り添って
 絡める腕のまだ熱る
 そうやって
 歩いた夜道の風を覚えてる

 洗い髪 ....
 入場券だけ一枚買って
 立ち入ってみたプラットホーム

 あなたが好きな場所だと
 教えてくれた
 京都駅の新幹線のプラットホーム

 鉄道駅でもここにいる
 人たちの雰囲気、
  ....
 或る日 小高い丘の草の間で
 空まで貫く
 甲高い叫び声がしたのです

   「七十番と八十六番と九十八番が
    逃げたっ!」
 牧場の牛舎から飛んで出た
 ファームのマスター ....
 冬空の 街で消えゆく 虹を見る
 束ねた髪が七色の女
 それは悪しきわけでもない朝だった
 腹下しの胃袋には一杯の
 ホットミルクだけ

 唯 出勤に気乗りしない私を乗せる
 駅の上りエスカレーター
 改札口を通り抜けた時
 気持ちを掠 ....
 
 大阪南港から三人でタクシーに乗りました。
 あたしと後輩の女の子が後部座席で
 かしましかったですね。
 助手席に居る貴男のことを
 「アクの強いじゃが芋」だなんて
 茶化して笑いま ....
リリー(452)
タイトル カテゴリ Point 日付
地域猫自由詩6*23/3/6 15:20
春霞自由詩5*23/3/3 10:35
三度目の小径自由詩4*23/3/1 12:27
木屋町にて自由詩3*23/2/25 15:09
祝日自由詩6*23/2/24 10:15
自由詩3*23/2/21 18:35
幸せのテンポ自由詩5*23/2/16 20:43
片恋自由詩3*23/2/14 16:37
短歌五首短歌2*23/2/12 15:55
氷雨自由詩4*23/2/11 18:33
澱み自由詩4*23/2/10 17:28
女の子たち自由詩5+*23/2/7 17:06
ある幻影自由詩9*23/2/4 11:56
モノローグ自由詩3*23/2/3 16:58
レンガ道自由詩5*23/2/1 23:01
雪舞短歌3*23/1/31 16:49
君の宇宙(そら)自由詩12*23/1/28 19:49
雪山短歌4*23/1/27 17:59
街とんぼ自由詩4*23/1/26 8:26
大事件自由詩2*23/1/25 21:55
大寒短歌1*23/1/25 12:47
曇天自由詩7*23/1/24 16:17
寒夜短歌1*23/1/23 17:45
散歩道自由詩5*23/1/22 15:15
弥生湯自由詩3*23/1/21 20:51
自由詩7*23/1/20 19:48
森の中の女の子自由詩2*23/1/19 20:09
 虹短歌5*23/1/18 20:28
危機一髪自由詩1*23/1/18 17:15
ステージ男自由詩123/1/17 21:51

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