かばんを一つだけ持って
やって来たのはさびれたバー
水を恵んでもらおうと
立ち寄ってからもう7日
クツはとっくに無くなったし
国もとっくに無くなった
埃が風で集まるように
なぜかこの ....
海の中にいる夢をみた
凍えていたのか
そうでなかったかは
夢だったのでわからない
光に包まれる夢をみた
暖かかったか
幸せだったかは
夢だったのでわからない
でも海の中でも光の ....
もし生まれ変わるのなら
今度は男がいい
だってみんな言うでしょ
男がいいって
なんかそういえばそんな気がする
男になったら
あの子を犯したい
めちゃくちゃに犯すの
あの子が
大好き
....
彼女は彼女
泣きもするし笑いもする
それは彼女の涙で
彼女の笑顔
彼女は素敵な惑星
白いシャツがまぶしくて
目を逸らしてたんだけど
やめた
真っ直ぐ見よう
それは彼女の光
風が ....
その時開いた異空への扉は
やすやすとやすやすと
ベッドから抜け出すように
(あまりに楽しみでいつもより
ずっとはやく抜け出してしまった)
やすやすと少女を引き込む
少女は慌て ....
風が乾いて
産み落とされる憂鬱
港では帰って来ぬ船が
噂からも消えてしまう
金色だった太陽の
錆がサドルに積もって
抜け出せない
足も絡めとられ
抜け出せない
叶うわけのない幻 ....
外灯がちかちかと
貧乏くさくて
でも別に何の支障もない
三歩進んだら忘れた
ふらふらと歩く
あの歌のあのフレーズだけが
今日一日鳴っている
どこまでも
ついてく ....
夕日に照らされた川の向こうの観覧車は
ゆっくりゆっくりおんなじ所を巡る
そして鉄の箱の中では幾万の恋が
おんなじように回ってるんだろう
川辺は静かで夜を待つばかり
この水だっていつかの水 ....
夜のプールで
水音だけ響かせ
泳いでいたのだ
足がつって
息苦しさに気が遠くなる
魚になりたかった
暗い水底どこまでも落ち
全ての境界があやふやになる
開放は絶望のかわいい双子
....
いくつも詩を読んでくうちに
詩なんてくそくらえと思う
飾っちゃってさ
君をもっと知るために君の陰部を見せてくれないか
君は呆れ身構えるが
そうしないと僕には君が見えないんだ
....
俺は犬になりたくない
誰かに仕えたくないんだ
たとえそれが幸せなのだとしても
なりたくない
振る尻尾が無くってよかった
俺は電柱になりたくない
立ち尽くせば宇宙のように包めるのだろ ....
あるところに王様がいて
誰もが幸せになるよう祈ってた
高いところで右手を振って
誰もが幸せになるよう祈ってた
この世はスープ皿の中
そこに浮かんだニンジンに
全てがあると思ってた
こ ....
何年かぶりに奴と二人で酒を飲んだ
奴に二人目の子が生まれ俺は大事な人を失った
ということは話さなくてもわかっている
からんとタンブラーが鳴いて
ターキーが空いて
みんなおんなじ時間を生きてい ....
あなたがまたやって来た。
やって来たっていうのはちょっと違う。わたしはいつもあなたの側にいるもの。
わたしの顔のレリーフが彫られた石があるこの場所、かつてわたしの肉体があった場所にあなたは今年も訪 ....
黒須さん
焼き肉食べよう
炭火のいいとこ知ってるよ肉はすきかい?
え?サンチュが好き?
黒須さんとならばトマトサラダばかりでもいいよ
え?他のやつも誘う?
他のやつなんていいよ
二人で行 ....
僕のうちにおいでよと誘う
酔い醒ましのコーヒーでも
でも女は2分の1の確率で断る
2分の1の確率で遠慮なさるのさ
明日早いんだろう
でも僕は僕のうちにおいでよと
蒼い目でじっと見つめ誘 ....
涙の分だけ人は強くなるだなんていいます
どうも僕は例外のようだ
どんどん浸食されるかのようにぼろぼろになるのです
涙の塩分が錆びさせていくようです
そして今や海綿のように穴だらけで涙を吸ってぶ ....
愚か者が乗っている
彼は陽気に笛を吹く
”なんて素敵な船旅だ”
頭には赤い尖がった帽子
足踏みして笛を吹く
左側にはご老人
ブツブツとなにかつぶやいてる
波の間に間に消え隠れ
よく ....
ラストチャンスだ
神はいった
これはおまえにやるラストチャンスだ
お手上げですだ
右や左の旦那様
おいらにゃ信じるものがねえ
右往左往の道程でさぁ
もう痛い目はあいたくねえんだ旦那様 ....
?
言葉を信じることが出来なかった
”ダイジョウブ”といったその裏で悲しみが蝕んでいたり
”ズット”の言葉のすぐ後にお別れが待っていたり
ではなんで言葉を紡ぐんだろう
言葉に縋るんだろう ....
彼女は知らない国へ行きたがった
そこは常夏でこんな梅雨などなく
フルーツを食べて踊るんだそうだ
だけど僕は太陽の下
彼女が小麦色に輝きながら
踊る姿が想像できない
しばらく彼女はそ ....
河の上の花びらが知らない街に引っ掛かっている
海を見ずにその美しい清純さは汚れてゆくんだろう
死んだ女が通りを歩いている
雑踏はいつもと同じ取り立て騒ぐ事はない
恋人達が誇らしげな顔で ....
背の高い男が岩の上に立っている
月明かりに照らされて
ただの棒っきれのように
男は口がきけなかった
なぜなら他に誰もいないから
この星に彼一人きり
花も咲かないこの星に
....
バスにゆらゆら夢をみたの
バスはぬくぬくだから夢をみたのよ
誰もが幸せで誰もが不幸せ
誰もが幸せでとっても不幸せ
青空一面のジグソーパズル
一生懸命取り組んだけどピースが足りない
ピースが ....
その時開いた花を
真紅の花を
アスファルトに咲いた
咽るような花を
僕の網膜は
初夏の映像と
永遠に刻み込んだのだ
熱はやがて失うものだと
理解したのだ
かげろうが揺らいでい ....
にこにこコスモス
木枯らしに揺れ
ピンクの笑顔で
お日様見やる
にこにこお日様
別れを惜しみ
赤く赤くなりゆきて
山並みに沈む
にこにこフクロウ
音も立てず飛ぶ
夜長の季節 ....
12月の寒空の下、ハンモックを並べて二人で凍えながら見えない星の話をする
そんなお伽話を書こうとした小説家は、師走の新宿東口の路上で酔い潰れ
体温を徐々に無くしていく間
何千ものパンプスやスニー ....
お前が転がりこんできて2ヵ月がたつ。俺達は毎日やってるんだ。
表を行く人達は寒そうに白い息。俺達はこの部屋ではだかで過ごすのさ。
それこそ息も出来ないくらい、やってやりまくる毎日さ。
お前は ....
空港までのベイサイドロード
朝から最近一番の天気
雲は僅か端っこにだけ
海の向こうまで見渡せそう
君は無口
いつもの憎まれ口もない
窓の外
観覧車みながら
いつもの歌を聴いた
例 ....
君は死んだ
理解してる
どこを探してもいないんだ
腕は折れて
穴は大きく
後悔が去ることはないんだ
吐きそうだ
空回りだ
時が癒してくれないんだ
人にあたって
手を抜いて
どんど ....
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