さて、レヴィナスの議論が、「弱肉強食の『生』」ではなく、それとは「別の仕方」を提示しようとするものであることを先に確認した。そして、その「別の仕方」とは、祈り、即ち「幸あれ」という、生への肯定の言葉で ....
「戦争」という過激な言葉に導かれて「存在の彼方へ」というこの本を読んできた。まだ始まったばかりであるが、語り手であるレヴィナスが持ち出してくる諸概念は、余りにも、特殊な、常軌を逸した言葉であるように見 ....
つまりは、たくさんの言葉が、ひとつの言葉を邪魔するのだ。そして、ひとつの感情が、たくさんの感情を邪魔するのだ。現実世界において、行為がそのすべての表象を定義するものであれば、言葉は感情の行為となる。言 ....
・文章を書く基本原理として文法があるのではなく、私達は文法によって書かされているということに自覚的であること。
・明治期からの文法研究は、国学の文法研究をベースとしながら、バックボーンに西洋文法の体 ....
詩の批評って難しいですね。感想なら言えるんですけど、批評となると戸惑ってしまう。
批評されるのは嫌!って思っている人もいるでしょう?そんな人は酷く傷つくんじゃないかと思って。批評って言うのは、上手な ....
私は「存在の彼方へ」という書物は、宗教的な思想内容を、哲学の用語で叙述したもの(即ち神学)の書物だと思っている。「存在に感染せざる神の声を聴くこと」という前書きの言葉は先に引用した。仮にここでいう存在 ....
【シーン1】
舞台は海外。時代は現在。学会の会場のようなところ。会場は満員。夜。カメラはまず会場を俯瞰し、それから屋根に近い高く大きな窓へ。その窓を外側から割って、光り輝くような女性がスローモーショ ....
私が愛読している本の一つに、フランスの哲学者エマニュエル・レヴィナスの「存在の彼方へ」という本(講談社学術文庫、合田正人訳。1999年)がある。
かなり異様な文体で書かれた著作で、明確な言葉の定 ....
再び、言葉へ思考を還そうと思う。
言葉の限界性と、想像性。それはその言葉のみにしか持ちえることはなく、また同時に各人それぞれに持ちえた、物語である。幾多のバリエーションと、それだけでしかない唯一 ....
人間は人間を超えてこそ人間となる。
ニーチェの超人思想だ。超人思想はその思考をとめることなく突き進み、やがて、永遠回帰説へとたどり着く。
すべての物事は、すべての物事そのものであり、それ ....
まれに評論というものを読む。
手元の辞書によると、評論とは「(専門の分野や社会の動向などについて一般読者を啓発するために)自分の意見を加えながら解説すること(したもの)」らしい(三省堂新明解国語辞典 ....
もし、今手元に地図があるなら開いてみてほしい。
そこに書かれたものは、個人的熱を奪われた、僕らの住む地球が描かれている。
それを眺めても、誰も涙を流すことはない。
名前さえ奪われた建物の群れが、 ....
詩とは何か、と考えることは、無限に循環する出口のない問いであるから、しばらく措く。
では、いわゆる「詩の言葉」とはなにか、について考えてみよう。
もちろん、「詩」専用の言葉があるわけではないし、日 ....
「読み」の中に批評行為自体を含み込んで「読み」が実践されている過程を運動としてとらえてみる。
ここには、批評する者、批評される者、そして批評されるべきテクストが存在している。
批評する者はある種の ....
とりあえずここで、書かれた詩作品は、それを書いた作者とは一旦切り離されたものであると考えよう。もちろん、現実にその詩を書いたのはまぎれもなく作者であるし、作者は思いつけばいつでも書いた詩を書き換える・ ....
ゆうなさんは、いつもと同じ道を歩いているはずでした。
だから、いつのまにか、自分が見たことのないところにいるのだと気がついたときには、本当にびっくりしました。
ゆうなさんは困ってしまいました ....
父親は
欲しがった
口答えしない
言う通りに動く、そんなコドモ
僕は
口答えするし
言う通りに動かない
だから「失敗作だ」と言われた
悲しかった
だけど ....
是がまあつひの栖か雪五尺
いつだったかなあ、もうずいぶん昔の話。
ある年の二月頃、私は列車にのり、信越本線をどこかへ向かっていた。
そのときの気持ちを詩にたとえると、
列車よ、俺を ....
負け犬の夢を見ていた。そいつは私で、私はそいつだった。惨めな悪感情が私のうちに渦巻いていた。自己を対象化しきれずに、半端な逃げ道を見出したのだろう。それにしても、まだ覚めないのか、私は。
犬 ....
言葉を綴るのに、少し離れていたので、伝えたいことが伝えきれるかわかりません。だから、思考の順序がバラバラになっちゃうと思うのですが、ちょっとだけ僕に時間をください。
なんという寺だったか ....
黒というよりかは藍色の夜空を羽虫が通過した。深夜のコンビニエンスストアー。壁面ガラスには黒い点が、わさわさしている。ため息をつきながら、私はキンチョールの煙をその点々に振りかけていく、そうして落ちて ....
脳が震える大音量のロックをヘッドホンで聴きながら、通学電車のシートに座っていた。自然に足がリズムをとる。目を閉じると、自分がステージに立って歌っている光景が浮かんでくる。唇を軽く開けて息で歌う。一曲 ....
ちち、ちち。雀の声で目をさました。昨日の悪夢を忘れさせてくれる清々しい朝だ。ベッドの脇のカーテンを開くと、昇ったばかりの太陽が笑顔を振りまいていた。負けじと笑い返す。おかげで唇がすこし裂けた。顔を洗 ....
宇宙はぷつん、と収束するのか、ぽつん、と拡散するのかを考えていた。ところで、私の専攻は心理学である。だからとは言い切れないが、宇宙のこれからを考えてやらねばならない義理はない。なので、地球民の自覚を ....
井の中の蛙は外へ出たかった。しかし、何度跳ねても高い壁を越えることはできなかった。見上げる丸い空を、時々鳥が横切る。あんな羽が欲しいと思った。その気持ちは子供たちに受け継がれ、彼の孫のまた孫の背中に ....
夫と出かけると、いつもこうだ。レストランでバカ笑いをし、電車で大きなゲップをする。昔からまったく変わらない。本人が気にしていない分、横にいる私が余計にはずかしさを感じなければならない。だから復讐して ....
その日本人形は昔から家にある。しかし、それで遊んだ記憶はない。母親になった私は、時おり娘を連れて、母がひとりで暮らす実家へ行く。そのたびに娘はその人形を持って帰りたいという。娘には甘い母だったが、そ ....
三年前、僕は女になりすまして出会い系サイトに登録するという遊びをしていた。暇な女子大生という設定に、何十人もの男がくいついた。適当に相手をしたあとで、「言い忘れてたけど、俺、男なんだよね」と打ち込む ....
小学三年生の僕は、あの日塀の陰からそれを見ていた。近所に人通りのない裏道があり、そこのマンホールの穴に見知らぬおじさんが糸を垂らしていた。時おり引き上げては何かを取り外しているようだが、僕がいたとこ ....
正義の絶対的な意味とはどこへ導かれていくのか。
第二次世界大戦下の日本はひとつの「悪」を形成した。だが、それは「結果」のもたらす「悪」であることに誰もが気がついている。だが、それを口に出すことは ....
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