特にもう、何もしたくはなかった。景色だけが、私の味方なのかもしれないと思った。日が暮れていく。休みの日に満足できることは、ものを買うことだけ。無印良品やIKEAだとかを回りながら、色々なものを見て ....
「あそこのマクドナルド潰れろよと思うんだけど、」
「唐突だね。」
「ファストフードはみんな潰れたらいいよ。」
「嫌いだもんね。」
今夜はトーを誘って宅飲みでもいいからアルコール摂取しようと思っ ....
おはなし?
おはなしをしろってか?
テレビはいいのか、テレビは。
んー、おはなしか
そうか。
おはなししろなんてこども、さいきんみたことねえからな。
いやむかし、おはなしってのを
きいた ....
詩を書いていた、なんて、たいそうなことではない。
詩とも散文ともつかないような、落書きだった。
砂木さんは私を挫折した人だと書いて、確かに私もそういう気持ちだった。
しかし今思えば、挫折 ....
長い間音楽を聴かないようにしていた。朝、満員電車に揺られ、つり革に手のひらを乗せ、片手で本を読んでいる。誰の声も聞こえない。電車の走る音が体中に響いている。車内にアナウンスが流れる。次の停車駅を告げ ....
隣室で眠る友人の寝息と、近くの高速道を走る車両の音がこんな夜更け、他人の家にて混じりあう。
私は妙に目が冴えてしまい、携帯のディスプレイの灯りを頼りにこんな散文を綴ったりしている。
友人の出し ....
ゲームといえば子供のころは将棋だった。学校の昼休みに教室で友達とやっていた。
それから随分と経ってインベダーゲームが始まった。喫茶店の椅子に座って、名古屋撃ちだぜとか言ってキュンキュンキュンと音を ....
最近離人症が治ってきて気づいたことがある。
どういう風に治っているかというと、朝起きて「ああこの身体は俺のものだな」と再認識するといった具合である。
それは別に離人症の治癒過程では無いといわれるか ....
「疲れる薬だと言うと変に思うかもしれませんが、これは正真正銘の医薬品です」
あのとき、高木はそう言った。
「疲労薬」と印刷された赤唐紙が、半透明の茶色い瓶に貼り付けられている。私は彼の説明を聞き ....
他人の詩をたくさん読むようになってから、まだ日は浅い。
詩集というものも、特に自腹を切って買ったことがなく、゛現代詩フォーラム゛が、 僕にとって最初の本格的な読詩経験だと思う。ちょっと気が向 ....
おれには、玄関の鍵を閉める習慣がない。鍵を無くしてしまうからである。これまで何度も不動産屋に迷惑をかけてきた。どうせ安普請のワンルームマンションである。侵入盗に目を付けられる心配よりも、不動産屋の苦 ....
季節のかわりめには、どうしてこうも感傷的になってしまうのだろう。晴れていても、雨が降っていても涙が出てしまう。
あの人はわたしのことを忘れることにしたのだろう。来なくなった連絡と、日々と。忘れる ....
水が流れる。その音がする。水が流れ、暗い。ために水の反射する光の他は川に見えない。時折波の高なりに消され亦つるりとした光が浮いてくる。溺れたようでもあり、肺魚が浮きつ沈みつしているようでもある ....
冬瓜を煮る。すこし青臭い匂いが指に残っている。
夕方、ディスカウントショップへ行ってハロウィンの玩具をいくつか買って、夫と落ち合って帰ってきた。途中、tooth tooth へ寄ってケーキを二つ ....
テディベアのキットセットを打ち破る。
「こんなもの作ってどうするんだどうしたいんだ。」
「殺人したい。」
「なんになるんだ。」
俺は母親らしきものの胎内で灯ったときから嘘だらけの体だった。 ....
翼の羽打つ音がして大きな鳥が空を横切り、鳥が羽打つ度毎に羽が舞いひらひらと空を舞い旋回して舞い道行く人の上に落ち或いは地面に直に落ち空を旋回して舞い空から落ち黒い鳥の黒い羽は黒く人に染み地に染み ....
小さい、砕けた、断面を曝す、岩石の成れの果て。砂。
幾千丈、折り重なり刔られた地を埋め、踏み付ければ微細な振動が靴裏に伝わる。
ここは静かだ。
重くくすんだ砂。掬いあげれば少量毀れゆ ....
毒でもないものかと思って冷蔵庫を見る。窪んだ空間を照らす黄色い光。豚や魚が食われるために殺されるなら、爆弾背負って特攻かける人やイルカも冷蔵庫に入れるべきか。それならば、パンのみに生きるにあらずとは ....
眠ったくじらは夢を見る。眠ったくじらは夢を見て、星の光が点々として美しい宇宙のどこかを泳ぐ。眠ったくじらは夢を見て、宇宙をどこかへ泳ぐ。
宇宙といえども油断せず、夢といえども油断しないでく ....
海に流されたカワウソは、サメでも良いから会いに来てはくれないかと思います。こうして唯々諾々と漂っているよりも、サメの血肉になって他(た)の生命を生かす要因となる方が、まだしも有意義な存在ではな ....
というわけで、これから他愛もないことをつらつら書き連ねていこうと考えています。多くのことは、殆どの人にとって興味のないことになると思いますが、題名の通りですので、何卒ご容赦下さい。
さて、ボクは競馬 ....
ボクが文章を書こうと思う契機は単純なものです。
大概は、ボクの外側に転がっている、ちょうどそこにあるもの、今流れている音楽、たまたま目に入った人や景色といったものが発端になっていて、ボクの内側に長い ....
山ほどCDを買って 本当に気に入ったのは多分、全体の1、2割だろう。
今聞いているのは 老ピアニストが奏でる イマフウのジャズなのだが
Black and White というタイトルの曲 ....
――けたたましいアラームの音にハッとする。
夢の進行状況に関わらず、真っ先に覚醒するのはいつでも聴覚であるらしい。そもそも夢というやつに音は実在しているのだろうかと、ふと思う。聞いたという ....
0.はじめに
例えば外を歩くという行為を考えてみよう。その際私は歩く場所として歩道を選択し、車道は歩かないだろう。そのとき、歩き方は「人間は歩道を歩くべきだ」という一定の社会的な規範に従ってい ....
気づいてきたと思うけれど
とても苦しいよね、ほんとうに。
「倫理」と「倫理でない」
「堕落」と「堕落でない」
とか。
今、仮にしていることが「倫理的でない」として
もし ....
僕は限りなく透明にちかいSFファンでありますが、ビミョーにオカルトよりでもあります。
火星シリーズは僕のバイブルでありました。
スペースオペラは駄文扱いですが僕にとっては散文詩。
ス ....
『聖域なき未来に少女がみた世界』
未来は悪意に満ちていた。この世はグロテスクだった。聖域は幻想だった。憂鬱な雲を糧に煌々と燃える太陽が、一筋の光を伸ばしていた。放課後、一人になるのにうってつ ....
「23億人世界」の人口圧は世界戦争を引起すとともに、核兵器による戦争抑止を生み出した。その抑止力の下、世界は「23億人世界」からその3倍の「69億人世界」へと膨張を遂げた。では今後、その4倍の「92億 ....
髪がのびたね、と彼は言って、鎖骨のうえをさらさらなぜる。ばかだ。会うたびにいつもそうする。髪がのびたと言って鎖骨をなぜる。なぜ気付かないのか。なぜ覚えていないのか。なぜわたしだけが覚えているのか。 ....
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