夜中、眠れないので散歩に出かけた。
とぼとぼ歩き、やがて近所のやや大きめな公園の方へ出た。
すると。
「んっ……」
目の前にあやしい地上絵があった。
「何を意味しているんだろう ....
「今夜は雨が降るでしょう。」
朝のニュースの合間に、予報でお天気キャスターがそう述べていた。
壁掛け時計の短針は七の少し前を指していた。
携帯電話の画面に目を移すと、天気予報アプリも同様、夜に ....
子供が3人(男、女1、女2)がSケンをしている。
男一人がケンケンで敵陣に入るところのようである。
女二人、入口を固くガードしている。
男 「猛獣使いだぞ〜。扉をひらけ〜。ひらかねば ....
最近よく父のことを思い出す。私が現状、ときにしんどいこともあり、でも楽しいことも沢山あり、負けたくないと思うからかもしれない。
このままではおそらく病死、あと一年もつかもわからない父に、私の ....
歯の抜けた老婆が電車の中でなにか言った。わからなかった。雨が降っていた。合成革のシートから、湿気が尻にズボンを張り付かせた。切符の行き先を覚えていなかったので、取り出そうとしたらどこにもなかった。見 ....
わたしとカタツムリの初めての出会いは、わたしが幼稚園児のときだった。
ある日、仲良しのマミちゃんの家に遊びに行くと「なぁなぁ、いいものみせてあげる」と、ぎっしりと土の詰まった虫かごの前に連れ ....
文字や言葉にいつのまにか課せられている枷をはずしてあげると、詩になる。
生きるということの意味を考え、だんだんと自由になってゆくと、それが死であることとは、ちょっと似ているかもしれない。
....
今からちょうど5年前、2008年の4月20日に真美鳥というバンドが『ピラニア』というアルバムを発売していて、それをことあるごとにもうずっと聴き続けて いる。
別にゼロ年代の総評をしようっていうわけ ....
まず必要なことは残量を確認することだ。君はどこへ行くにも制限がかけられている。右(あるいは左)を向けば追い越していくものがある。後ろを向けば続くものもあるだろう。もしかしたら、周りには何もなく、君し ....
「ただいま」
彼と彼女が帰ってきた。
そう今日は待ちに待った退院の日。
昨日わたしは家中を片づけ、彼女に頼まれた買い物をすべて済ませた。
それは一日がかりの作業だった。
....
それは引っ越しが終わり、ようやく新しい家に慣れたころ
突然やってきた。
我が家でなくても、彼じゃなくてもよかったはずだ。
何度そう思ったことだろう。
この時ほど ....
「釣りに行かないか」
彼がそう言いだしたのはめずらしく彼女が午前中に起きだしソファで寝転びながら、
いそいそとインテリアと家具の本を広げた時だった。
彼女はマンション購入が決まっ ....
「風邪をひいたな」
そう感じたのは、くしゃみに加えて咳が止まらなくなった2日目のことだった。
?止まらない?と聞いてどの程度を想像するのが一般的だろうか。
とにもかくにも止まらないのである。
....
それは年明け早々のことだった。
このときほど彼と彼女に驚かされた事はない。
お正月も三が日が過ぎて、ようやくいつもの生活に戻り始めた日曜日。
彼女も仕事が休みで三人揃っての休 ....
「生きてく理由は見つからないが、何故死なないでいるのかが解らない、そういう時に生きる悲しみがラスコオリニコフの胸を締め付けるのである。」という一節が、小林秀雄の「罪と罰?」にある。
僕は自分のく ....
1
流石に、というよりももう幾千幾万も暴れ回って周りの人に迷惑をかけているのかと思うと、とてもではないけれどこれ以上僕は息をすることが出来ない。僕は何回も何回もずっといままで同じことを繰り ....
スープの用意をしていたら玉ねぎと一緒に人差し指の皮を剥いてしまった。
春らしい夜の冷えかた、風の強さ。彼にさいごに会ったのはもう半年以上まえで、そのあいだに会った男のこたちのことはよくわから ....
戯曲(習作つづき9)
屋根裏部屋 奈津、全裸。泣いているようである
父登場、全裸
父 「奈津ー^、ちゃんと見せるんだぞー!(退場)」
せむし登場、全裸。前方の椅子に座る
せ ....
キッチンからいい匂いが漂ってきた。
大掃除の今夜は彼の得意なビーフシチューだ。
「おいしそうだよ」
リビングのソファでふて寝をしている彼女に声をかけてみるが
返事がないところを ....
その日は珍しく彼女の帰りが早かった。
「何食べたい?」
帰って真っ先に冷蔵庫を覗くなりそうわたしに問いかける。
頭をめぐらせ冷蔵庫にありそうな食材でなおかつ ....
何もしない安全策をとっていれば何もおこらない。
リスクを考えながらも何かをはじめる。
何処かへ実際に行ってみる。
たぶん何かを感じ何かがおこったりもする。
それ以外は抽象的な観念にすぎないのか ....
もう冬休みに入り部活へ行く以外は毎日家にいる。
こうして彼女とふたりで休日を過ごすのは夏休みや冬休みの
彼女が休みの平日しかない。
「ねぇ、いい加減起きた ....
俺にも誰かと付き合うという機会はあるもので、大抵相手のその寝顔を見ながら夜を明かした。俺は眠れないことが多かった。
寝たいか。と、問われればイエス。
俺を殺せ。が、アンサー。 ....
やわらかな陽の差す日曜日の午前中、
朝食の片づけをする私の背中に彼の静かな声がかかる。
「そろそろ買い物に行くか?」
彼女は今朝もぎりぎりまで寝ていて、慌て ....
塚、奈津
父全裸、せむし全裸
奈津 「わたしのお父さんは誰ですか?(奈津、自分のパンティーを拾う)お父さんよ。このパンティーをかぶるにふさわしい、わたしのお父さんは誰なのか、おしえてください」 ....
「かあさん、コンビ二で『レシートいりますか?』って言われたら
なんて答える?」
と中学生の娘が聞く。
「ふつーに『いりません』というかなあ」
と私は答えた。
「えっそうなん。私はどう ....
今週の『サザエさん』は一家で福島に旅行する話だったそうだけれど、具体的にはどんな内容だったのだろう? あいにく私はいま異邦人として暮らしているので日本のテレビを見られない。しかし福島第一原発の原子炉 ....
若手漫画家の登竜門としてCOM並びにガロはぼくらの教科書だった。
その女流の中でも異彩を放っていたのがこのやまだ紫氏と岡田史子氏だったと記憶する。
やまだ紫さんはもともと詩人だった ....
「ねぇ、この本の表紙知らない?」
彼女は読み終えた本をわたしに見せる。
その顔にはどうしてないのかわからない、不思議でならないと
いった表情がありありと浮か ....
時々、訳もなく泣きたくなる。
今日がそんな日だった。目に映る何もかもが煩わしくて、それでいて、執拗にそれらに触れたがっている、もう一人の自分がいた。放っておいて欲しいのに、見捨てられたくない ....
64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104
【散文(批評随筆小説等)】散文詩は禁止。散文詩は自由詩のカテゴリへ。
0.5sec.