ある日私のもとにSRと名乗るものがやってきた
あなたにぴったしの職場をご案内にまいりました
男はそう言って名刺を差し出した
SRとだけ書かれている
あんた誰?、怪訝に思った私は尋ねた
....
僕の実家の近くに、一軒の八百屋があった。その八百屋は『杉本青果店』というごくありきたりの名前だった。その八百屋では、おそらくは杉本夫妻であろう中年二人の男女がただ淡々と働いて、野菜を売っていた。僕は登 ....
「モダえよ〜ん」
「どうしたんだいカ〜ビ太くん」
「ギャイアソにいじめられてくやしいよ〜」
「なに〜カ〜ビ太くんをいじめるなんてひどいやつだな〜じゃあこれ〜」
ぴかぴか〜ん!
「洋包丁 ....
駅を出たとき
ビーッ!
鋭い笛の音で呼び止められた
な 何です
なんですじゃないだろう
君の捨てたゴミがボックスの外に落ちたんだ
軽犯罪法違反並びの公衆道徳の県条例違反に該当する
....
哲学者や芸術家の方面へと向かう人はどちらかというと暗い人、無口な人、ネガティブな感じの人が多いのではないかと思う。これは一般的にそう思われている事であり、僕もこの事については一般的にそう ....
現代人が陥っている状況を『可能性の地獄』という概念で説明してみたい。これは僕が作った概念で、誰かのものを盗んだ覚えはないのだが、似たような事を言っている人はおそらく他にもいるだろう。まあ、と ....
同僚の佐伯の様子がなんか変!
受け答えもそつがないし仕事も捗ってるようすだけど
ヤッパリなんか変!他の人の目は誤魔化せても私の眼は誤魔化せない
たとえば、トイレに入ったとき必ず口ずさむミスチルの ....
彼は「ヤマダヒフミ」という名前でネット上に投稿していた。投稿する内容は、詩、小説、批評などであり、彼は自分で文学に対するある程度の造形があるのだと考えてた。彼は日常生活では、桐野龍 ....
小説というのは科学の一種ではないか、という事を以前に書いた。今、もう少しその事を詳しく説明しておきたい。
小説というのが科学の一種というのは、別にふざけて言っているわけでは ....
この本を読み終わった人間は必ずや、辛い苦い思いを味わう事だろう。作者のミシェルウェルベックは、まるで、現実の僕達の醜い部分を僕達に無理やり見せようとしているかのようだ。僕達はこの書物を読んだら、沈黙 ....
浅い眠りの中で鈍い音が響いている
ドーン ガガガ ドーン
わしは夢中で家の外に飛び出した
寝巻き姿で飛び出してきたわしを見つけて
ヘルメットに線の入った責任者が駆け寄ってきた
「いったい何を ....
ジョニー=サンダースは
故意なのか過失なのか、
生後3ヶ月の息子を殺した
彼はその容疑を認め
刑務所に入れられた
7年の刑期を終え、
外に出たジョニーの前には
反感以外の何も無かった
....
あなたの苦労を買います
但し 生きた苦労に限らせていただきます!
こんな広告が新聞に載ったのだ
男は人並み以上に苦労をしてきたと自負している
早速電話で応募してみた
指定された場 ....
あなたは夏のひとだった。雨のない笑顔をしてわたしを不安にさせる。長い手足をなめらかに泳がせて、いつもすがすがしく気持ちをかきまわしてくれたのだ。いつぞやのモーテルは名前だけ変えて、その窓の多くに過 ....
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一般的には、小説の方が詩よりは読むのは簡単である。また、批評よりも小説を読む方が簡単だ。そして、出版量で考えて ....
子供たちはまたぼくの話を聞こうと目を輝かせている
じゃみんな今日は魔法の馬車の話をしょうか
わーい魔法の馬車!魔法の馬車だってさ
その馬車は馬もいないのに乗った人をどこへでも連れてってく ....
※
『六月一日に桐野龍一氏が小説「神切り歩き」で芥川賞を受賞し、七日に受賞会見が ....
植え込みの中から突き出た足
薄汚れたジーンズと穴のあいたスニーカー
ホームレスが倒れてる
覗きこむとひげだらけの男が生きているのか死んでいるのか
眠ったように目を閉じている
額のあたりを蟻が ....
私が各地(といっても3都市だけだが)転勤の末、夫の出身地である広島へ行くことになった時のこと。
それを聞いたある人が言った。
「大丈夫なの? 広島に住んで。ナマ水とかは飲まないようにしたほ ....
その踏切では よく人が轢かれた
警報が鳴りはじめて遮断機が下りても
列車が来るまでには少し時間がある
だのに何故? 人は轢かれるのだろう
その疑問が解けたのは
自分がそんな目にあった ....
困りましたね、担当者は腕組して顔をしかめた
何故、国籍を取得する努力をしなかったんですか
はあ、こんな時がくるとは思わなかったものでつい・・・・
あなたの事はよく知っているので、なんとかし ....
ほんにおおきに すまんかったね
お茶が入りましたけ どうぞここにすわらんね
建具の調整を終えたボクにオババは座布団を勧めた
どうぞ
差し出されたのは先程まで仏壇にお供えしていたおはぎである ....
庭で宝籤が吠えると、赤ん坊はゆるめていたこぶしにすこし力をいれる。両腕をま上にあげたかたちで―頭がおおきくてまだ手がまわらない―眠っている花。
ゴムでできたボールを奥歯のもうすこし向こう側で噛んでい ....
それから三日目の朝
ボクは親父を産んだ
頭が大きいので難産だったけど
なんとか産んだ
親父は産まれるなり
説教を始めた
こんなことなら
母親を先に産めばよかった
後悔しても始ま ....
「あ、はじめまして。君が新人作家の○○かい。あ、どうも。いや、君の作品読んだよ。それでさ、感想だけど・・・・。面白かったよ。・・・・素晴らしかった。これは十年に一人の・・・・・・・・いや、ごめん。こ ....
ブルーシートで囲まれた家はめったに人の来ない遊歩道の脇にあった
カチャカチャカチャという音に誘われて勇気を出して覗いてみた
老人が一人背を丸めて電卓を打っていた
ぶつぶつ何か呟きながら時折 ....
「多分、君は僕の事を知っているだろうし、僕も君を知っているだろう。君の周囲で一番暗い顔をしているのが僕だし、僕の周囲で一番悲しい顔をしているのが君だ。僕達は互いを知っている。でも ....
道の真ん中に鍋のようなものが落ちていました
拾い上げると小さなUFOでした
うちの5歳と3歳の男の子が
二日ほどオモチャがわりに
投げたり叩いたりして遊んでいたんですが
....
塔を建てようというのが誰の発案であるのか不明である。
しかし、建設が始まると人々は、何の疑念もなく塔の建設に熱中した。
全ては塔の建設のため。そこには身分も貧富の差もなかった。
はじめに塔を建 ....
僕はインターネット上で『山田薫』というペンネームで、小説を書いて発表したりしている。もちろん、僕はまだ無名の書き手にすぎない。しかし最近は自分の作品にも少し自信がついてきて、肯定的なコメントなどもも ....
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