わたしのむすめのすごいところのひとつは、ドーナツの穴を食べられるんです。
あるときわたしがおやつのドーナツをかじりながら、「いつだってこの穴が消えちゃうのがせつないよね。」と言ったら彼女は「 ....
オーケストラが好きなので、10月、11月は名古屋フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会に行くことを検討している。
10月のメインプログラムは、シューベルトの交響曲第9番「グレート」。題名のとおり、 ....
一戸建てを買ったのは結婚して五年ぐらい経ってからだった。
独身のままで一生終わったらアパート暮らしで生涯を閉じたに違いなかった。
住宅購入を決断して取り合えず実家の父親に電話で報告したら、いき ....
先週の土曜日は、何の予定もなかったので、午後からワールドカップ ラグビー、大相撲、映画と久し振りにテレビの前で多くの時間を過ごした。
映画は、三谷幸喜監督の清洲会議を観た。僕が現在住んでいる清須 ....
ラグビーワールドカップの日本対ロシアの開幕戦をテレビで観戦した。日本が勝ち喜んだが、試合前に演奏されるロシア国歌が気になってしまい、いろいろ調べた。
以前からオリンピックの表彰式でロシア国歌を良 ....
今月はじめ、10年前からピック病(初老認知症)の義母(72歳)の面倒をみながら二人暮らしていた義父(77歳)が、腰痛で苦しんでいるので様子見の電話をしたら、昼間家で転んで頭を打ったと言っていて、しかも ....
ふと外を見ると駅であった。駅名が何も書かれていない停車駅だが、アナウンスは15分の待ちがあるという。ホームの売店でタバコを買おうと表に出てみた。
駅の近くには小さな家々が立ち並び、老人が自転車にま ....
雨は思索の器のようなものであり、人は雨という器に包まれて思索へといざなわれる。それまで複雑だった外界が雨という器一色になることにより、人は外界から内界へと関心を移し、自らの来し方、これからの展望、様 ....
私にだって17歳は存在した。
当事、私の通学していた高等学校は丘の上にあった。
校舎は周囲を自然樹林にかこまれていたから平坦な場所からその姿を見る事は困難だった。
残念ながら成績優秀な子供らが目 ....
先生方は人を診ないで環境を診ようとする。人はクローンじゃない。人は個性です。内側・外側ひっくるめての個性の総体です。
まず、「人」があります。それは環境やあるいは遺伝と歴史では語ることのできない事実 ....
鍋や木べらはあらかじめだしておくこと。もうだめってくらいにはりつめた茄子やトマトを刻んだそばから鍋に放ってすぐ火にかけてしまうので。近頃の味付けは簡単で、肉を入れるなら塩だけで、野菜だけの煮込みな ....
目的地は海。休日に彼氏の運転でドライブした。
海はいい。いつ行っても広くておおっきいわ。
彼氏もあたしも季節外れの海が好き。でも誰もいない海はなかった。
海にはサーファーが波に乗ったり飲まれたり ....
ある寒い日の午後、幸恵さんがあたしたちの部屋のドアを軽くたたき、それを開けると顔を見せた。
「入ってもいいかしら」「もちろん」初香が答えた。幸恵さんは優雅な足取りで入ってくるとあたし
たちに尋ね ....
愛する由梨絵さんへ
お元気ですか。そこにいるだけでまわりを爽やかな風が吹きはじめるようにしてしまうあなたのこ
とですから、きっと幸せに暮らしていると思います。わたしを養女としてくださった富 ....
愛する由梨絵さんへ
水坂由梨絵さん、今は杉谷由梨絵さんになりましたね。幸恵さんから届いたお手紙で、あなたが幸
せであることを知りました。わたしたちも優しい養親になった蒼太郎様のもとで楽しい ....
親愛なる由梨絵さんへ
心のこもった丁寧なお手紙、有難うございます。
まだ、杉谷家の娘になったばかりで緊張の毎日だと思いますが、あなたはそれを素敵で優しい言葉
にして送ってくださいましたね ....
親愛なる幸恵さんへ、杉谷家から
あたしが施設を出た、そう、幸恵さんと、初香さん、葵衣さん、琴葉さんとお別れした日、不安と
寂しさでいっぱいでしたけれども、それは大違いで、とても気持ちのいい ....
ベッドの柱に小指をぶつけた!さぁ何事もなく椅子に座って読書でもする?…そんなとんでもない!スマホを落としてしまって(ヤバッ)その落下(間に合え!)を追って手の小指をぶつけたわけじゃない。いつも隅っこに ....
あたしは富裕な慈善家の女性にひきとられた。
あたしの住みはじめる館は芝生の薄い波が海の小弯に向かって続いている小高い丘の上に建ち、庭
には美しい幹を見せる白樺とぶなと名前のわからない木々、鯉の ....
初代ネットナビゲーターの某氏が亡くなったらしい。
高校野球・第三試合が終わった後のNHKニュースで知った。
投資家で大学教授・・・著書のタイトルは平成生まれウケを狙ってか、
「僕は君たちに武 ....
台風というやつは不思議なやつである。その風雨の強さは恐怖を感じさせるとともに、何かしら神秘的な力の強大さを感じさせるものがある。
だからなのであろうか、台風は特撮映画や番組においても重要 ....
むかし、むかぁし
ある山に与一郎という木こりが住んでいた。
さびしい森の中に家を建て、家族もなく一人で暮らしていた。
ある日のこと。与一郎が仕事を終えて山を下っていると。一匹の若い狸が道に ....
6p
あなたは頭にてをあてて、「願いましょう、ほしがりましょう」といいます。
それを聞きましたら、「わかりました」というのです。
21p
怪我をしたら、その血がぢめんに落ちる前にするこ ....
もうすぐみんな帰ってくる、わかる、予感よりもすこし確実な、のはなんていうんだろう?お湯をわかさなくてはと思う、べつに、いつもいつもそれをしてはいるけど、しなくては。脳が砂利を噛む音、まえに面白かっ ....
孤独になじむから、すこし壊れかけているような古い町が好きだ。
その古い町の小さな裏通りに子どもの死体一つ入れられるほどの大きさの水槽があった。緑色の藻が内側のガラスに張り付いていてよく見えない。 ....
夏がきましたよ。蝉!(叫ぶむすめ)。
都立高校の窓から吹奏楽の演奏が落ちてくる。七月盆が終わって、売れ残った竜胆と蓮の葉。
水をはじいて光を跳ね返すような色の濃い夏の花たち。一年半とすこし働い ....
周辺の木々が溶け込んでいるせいで、夜の闇は微かなグラデーションを描いていた。かつては堅牢だっただろう鉄の門は、血を被ったみたいに赤く錆びて、左側は門柱に繋がる可動部分のところから壊れて落ちていた ....
エイヴォン川のグレイリング達のことを想うと抑えきれなくなって、私は竹竿を手に取った。フランク・ソーヤーは嫌っていたが、私は彼女たちの妖美な姿に骨抜きになっていた。
いつかバイカモ達が茂る川辺に立 ....
若い夫婦。若い父親と若い母親。
夜中に子供が泣きだした。二人共に睡眠を無理矢理むしり取られた。
寝床から起き出したのは母親の方だ。
明かりをつけるとベビーベッドの上で泣いている我が子の側に行った ....
気まぐれにオカリナを吹く
郊外にある運転免許証センターの駐車場で
これが最後だという妻の免許更新の日だった
ペーパードライバーの妻は
当然、無事故無違反だから
更新は二時間ほどで終わる
....
29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69
【散文(批評随筆小説等)】散文詩は禁止。散文詩は自由詩のカテゴリへ。
0.51sec.