ある夜
金平糖を舐めながら
階段を上っていると
月がけらけら笑うので
気分を損ねた僕は
ふっ!っと金平糖を月にむかって
吐き出した
すると金平糖は鉄砲玉のように
月を貫いた
ぎゃ!っ ....
古本をさがしに
町に出たのですが
足をひねって
歩くのがつらく
花屋の前に
すわりこんでしまい
どこからか来た
蜂の羽音に
彼の目的が
花だと思いながら
か ....
鼻濁音めいた目覚めが蛭のように耳の裏に吸いつくから俺は三時間あまりしかレムを貪れない、ターコイズ・ブルーの遮光カーテンのひだには読み損ねた言葉たちが潜み、「今度は上手くやれよ」と舌なめ ....
{ルビ顎=あご}を上げれば ほら
水面が見える所まで
来てる
蒼い天辺で {ルビ揺蕩=たゆた}う
陽光の揺らぎが
手を犯してゆく 日を夢見て
砂を{ルビ踵=かかと}で慣らしながら
....
かごからあふれ出たものを、ひとつ、ひとつ取り出した。
白と、黒に、わけながら、それらをバッグにしまいこむ。
どちらにも行けないもの。
たとえば、グレーのTシャツ。
黒ほど着ௐ ....
灰色の道を 千切れた
白い線が 刹那に通り過ぎ
目で追っては 疲れた瞼を
こすりもせずに 遥か地上の
景色を見下げる
椅子に座った身体は
いよいよ速度を 上げていき
目まぐるしく ....
ずっと知っている
甘酸っぱい腐葉土に降り立てば
ほら、夏に焼け焦げた体の
もうすぐそこへ含まれてゆく予感
夏はひとつの心臓として脈打っていた
どくどく、樹液の行き渡ってゆく空気へ ....
友が喜んでる
望むものを手に入れた友が
俺の手を握って笑いかける
これほどの憎しみは思い付かない
何もかも
全てあいつに奪われて
俺にはカスすら残さない
友が語り ....
If you are unhappy, I am happy
If you cry, I am happy
If there is you alone, I am happy
Bec ....
「お会計の方が、560円になります。」
私は慣れた手つきでクラフト紙を折り
ていねいに本を包み込む
20代のOL風の女性は
ありがとうといって去っていった
電車に乗る私は
君が ....
 
 
大家族から核家族へ
核家族から核個人へ
人は自由を求めて
分裂を繰り返してきた
原爆のように
大きなものを
小さな核が分裂して壊し
残ったのがこの街だ
....
貴女が逝ってしまい
一ヶ月余り
今でも貴女を思い出さない日はありません
日々弱っていく自分をどう受け入れ
どんな思いを残して旅立っていったのか
貴女の胸のうちを察すると涙がまた一筋
....
北西からの冷たい冬の風
少し青空が覗けているけれど
私の頭上、分厚い雲はまだ去らない
大人だから、辛いときも耐えなくちゃ、ね
誰もなんにも言ってはくれないけれど
守られる前に守ってもらう ....
暑い日の中で
シーツは 眠りにつこうとすると
部屋から ひどく遠いように
とても思える
煙草の煙を見つめながら
色々なことを 考える
自転車を こいで
ギターを弾いている
....
一個の詩を思いながら
何もないのだろう 私の言葉を
日は 知っている
暮れている 私が 私の夜を
そんなため息の中で
ものごとを そして ひとつ描きながら
わからないことに は ....
目の前にいるあなたを見ているようで
私は遥か先の縁をジッと看ている
それは近い先であり
ずっと遠い過去でもある
繋がってしまうから
まだ体が在ったころ
「まったくキリがないよ」
お気に入 ....
ひとめぼれをして買ったお護り代わりのパレッタが
一年程見当たらなかった
こどものゴムや100円ショップのクリップで間に合わせていたけれど
落ち着かないので 誕生日の自分へのお祝いに
昨日 新し ....
壊れた心、臓物のように引きずって
子供たちが地下鉄から降りてくる
例えば
真夏の入道雲や
金平糖の角
モクモク伸びて
ピカピカ光り
妙に尖がっていて
先っぽで転がっている
そ ....
いま、帰って行った女の子は、
高級店の女の子。
いつものお店より、2倍近くも高い。
いったい、そんなお金をかけたら、
どういう女の子がくるのか、
経験として、知りたかった。
ぼ ....
夜が大きく手を伸ばして
落ちかけた太陽を捕まえようとする
呑み込まれそうな藍色に
目の覚めるような橙
空は虹色に染まる
笑っちゃうだろ
もう何千年も
同じこと繰り返してるんだ
「愛をください」
そう張り出して何年も経ち
今やそれは
誰も気にとめない風景となった
年月がたつと色あせる
看板の前に立ち尽くし
皺だらけの手をしばし見つめた
「いいえ、信じない ....
夜の夏に迷って
昨日の夏をたどった
歩きつかれて座る
椅子は今日もある
太陽は沈んで
君を隠してしまった
星の君は優しくみえる
ほんとの君みたいに
過去にもどされてみたかった
....
蛾が舞う
びいどろ焼けた肌
今日は木曜
粘性の雨
水あめ
甘い茎を廻る
二十ニ色の蛾
電信柱の骨
涙浮かぶ川ふたつ
中洲の向こう
ひとさらい
手も足も
舌の ....
きちがいのきれいな歌声が
鞠のように転がる夜明けの街路
途切れた記憶が空気に触れて
朝露となってショーウィンドウでこと切れる
ぼくは眠れなかった
きちがいの歌声 ....
『ビュービューの実』の
俺は風人間
打撃も斬撃も
....
私は砂糖菓子で出来ている
科学者の興味で作られた
私の体は砂糖菓子で出来ている
誘え
誘えと
中から声が聞こえる
あまい身体で男を誘惑しては
愛されることに溺れていっ ....
どうしても欲しい本があったから
適当な理由をつけて仕事を切り上げた
書店の前は長蛇の列ができていて
整理券は僕の少し後ろで配り終わった
それを確認すると並んでいた人達は一気に散らばっていった
....
おばあちゃんは パーマをかけてるの?
少女が触った髪
それは 髪、と言うよりも ごわごわの
大きなタワシのような 感触
昔は あなたみたいに
美しい 髪の毛だったのよ
ごわごわの中 ....
夏休み
坂の途中の煉瓦塀
遊び疲れて帰る途
突然、夕立の中
古いモノクロフィルムの
縦縞ノイズのような雨が降る
崩れかかった煉瓦塀の
裂け目から洋風の庭に
飛び込む
そこは荒 ....
こうやって、
毎日毎日絶えることなく
詩は生み出されているのに
ひとつとして同じものがないことに
人間の心の
多様さと
宇宙のような広さを感じて
驚きを隠 ....
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