胸間からとおくとおく、袍の指先まで
崩れかけた山肌をなぞっているのでしょう
その眦など、乾いては渇いては
照り返したその頬の、なんともはや
かがりくるう、つむじあたりに、かえして
つぶらのか ....
力動、漆黒に碧く
ぽつんとひとり、
取り残され
「これからオレの半径五メートル以内に近づくな!」
いつもの坂道上る登校途中、
手を繋いでいた五歳年上の兄
突然、手を切り離し私に言 ....
加藤さんが五大大会三連覇を達成する
という快挙を成し遂げた
まだ梅雨は明けきらず
朝からの小雨で唸るような湿気の中
お風呂をはじめとする各箇所のカビ取りは
一向に捗らないが
せっかくなので ....
曇天、厚い雲が切れ
ひろがるひろがる
光の青、
降り続いた雨の
雨滴 葉群れに輝き、
もんわり街を覆う熱に
滴り落ち蒸発し
この世、今
光の青に包まれ
地から空へ 光
クレシェ ....
誰にも見えなくなるほど
高く高く投げられたコイン
誰もが一度見上げたことのある
あの星
一度きりの勝負を
僕と君はした
これは僕と君の世界だけの
小さな戦いだ
誰かが時々
....
夜の風 気持ちよくて
外でコーヒーをのんでみた
ええかっこしぃ みたいで
はずかしいけど
正直
かっこいい気分になった
しばらく飲みながら
ご近所をながめる
人気(ひとけ) ....
○「カミさまの声」
山へ登り始めたら
携帯が鳴った
見ると入院中のK君からである
出ると従姉の人からで
「K君が危篤です 会いたいといっています」
ということだった
急いで下山して病院へ ....
ドドドドドドドドドドドドド
ドドド
ドドドドドドドドドドド
ドドドドドドドド
ド
ドドドドドドドドドド
ドドドドドドドドドドドドド、ドド
ドドドドドドド
ドドドド ドン ....
空間のなかの構成されていない物体たち*
言語による意味規定される以前の
ただひたすら在るもの在るもの
その立ち上がる実在感
ばらばらと在り
なのに調和し
全体 ....
かのじょとわたしはいつもいっしょにいる
かのじょのみぎかたには食洗機についてる
みたいなひねるだけのスイッチがついている
わたしがからだをかたむけるとわたしの体はゆうれいみたいにすいーっ ....
荒れる粗い音響の渦、
ひたすら待つことの静かさ、
湾曲する漆黒の力動、
遥かな地平を凝視し
私は知らない、
言語の意味の向こうを
私は躍る、
微睡みの覚醒のなか
抽象を離れ ....
桜が散り 紫陽花が褪せ 沙羅の花がひらいた
ひと息のあいだに
あなたの背中が 広くなる
投げ込まれる目くばせに
くすくす笑いの小波に
あなたたちの髪は 伸びていく
結んで結んで ....
呪われた僕を
ケーキで祝う君が
大事そうにポケットから
どこかで聞いたような
誰かの聖書を取り出す
僕を宗教が導いていくよ
宗教が僕の手を引いて歩くよ
夕暮れがさっき過ぎ去った街 ....
午前、ほんの少し
台風があった
鉛筆を削る時によくやるような
些細な手違いが続き
新しい橋の開通式は
関係者とその親戚とで
執り行われていた
濡れた草むらには
観覧車が乗り捨てられてい ....
「朝顔を咲かせてきたの。」
始業時間のチャイム鳴る前、
いつもより遅れて出勤した私は
理由尋ねる彼女へ答えた
君よ 開け
線路わきの道沿いで
私の手が一輪の花へ伸びた
....
地面に伏した死体は若い女のようだった。なぜそうなったのか、もう判断もつかないほどに腐敗しきっていて、鮮やかな配色だっただろう衣服ももう、全身から溢れ出した体液に塗れて汚物のような色味に変わっていた ....
○「相続」
今相続が大変である
ふだん面倒見ていた子どもであっても
たくさんの書類を書かされて
くわしく審査されるということである
現金であっても
すぐにはおろせないという
危篤となった ....
日本海に春の来た時は
静かに 静かに
目をとじてみると
生命ない小石が激しい息吹をもらす
波 寄せる毎
丸くなり
カラカラ カラカラ と
妙に乾いた音たてて
踊り ....
それは凄くて 彼の胸は貝がらだ
完璧な夏に 投棄された貝がらだ
涸れないことをほめるのは
ただ軽蔑するのと一緒だ
彼は{ルビ薬匙=やくさじ}を咥えさせて
蛇も寝なさそうな夢を明か ....
言いすぎたあとは
待つしかない
すでに言葉は
離れて祈っている
あなたの心が
傷ついていませんように
私とあなたは
違うということ
お酒を飲んで
黙って横になっている
....
僕は生きていることで
知っている 何も夢見ることもなく
そして理解している
僕の思ってはいないことを
遠くに見えた橋に
その向こうにあったはずの 中古本屋を
心の目に思い浮かべている時に
....
つい、さきほどまで
天国と地獄が
綱引きしてましたのよ。
でも
結局のところ
天国側の負けでしたわ。
だって
あの力自慢のサムソンさまが
アダムさまや、アベルさま、 ....
あがらうことが目的のあなたに
月は微笑まない
星々は拍手をおくらない
にちようび、
脱ぎ捨てられた、ブーツ型の安全靴のように、
ただ横たわっているだけの、
草臥れた、
きゅうじつ、
ゲツヨウビがもういっそのこと早起きをして、
ぼくを履いてくれるのを、
ただ ....
ひらひらはらはら
舞うように余韻響かせ
形態から色彩 逃れ出る
うっすら薄い絹糸のループ
基点失い漂う色彩達の輪舞
夢の奥に横たう
もう一つの現実に
私たち達するならば
色 ....
誰のことも好きじゃなかった
ずっと誰のことも好きじゃなかった
自分のことはすこし、好きだった
みんな、この世の人はみんな2人になって
愛しあうのがいいんだって
い ....
口の中の赤
歯の黄色っぽい白
べろの白っぽいピンク
ぐちゃぐちゃな絵が描きたい。
ぐちゃぐちゃの中に何かがいる。
ぐちゃぐちゃだけどいいねって話しかけたらボールが遠くへ飛 ....
嘗て
青 増す紫陽花の
今
青一色 濃密に
曇天の許、
雨に濡れ 静か在り。
自分の人生をいきればいいのだと
私が受け入れられたのは かなり後のこと
そしてまた きっとまた
見失うこともあるだろう
だから 心に
心に小さな灯火を
....
雨滴、落ち続ける
軒先から
規則正しく
リズミカルに
この部屋の、向かいの家の、
取り壊されたまぼろ実家の、
軒先から 重なり次々
透明な音響かせ
そうしていつか
それら、
....
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【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
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