『お兄ちゃん
世界ってなあに?』
こちらを真摯に見つめる
つぶらな瞳
その瞳を見つめ返し
私は答えた
「ごめんね私は知らないよ」
『じゃあお兄ちゃんは
なにを知っているの? ....
疲れた眼を開けると
目の前の街路にわさわさと
夥しい数の奴凧が
尻尾を引き摺ったまま
蠢いている。
大きいのやら小さいの
赤いのやら黒いのや
斑模様やら縞模様の
真丸のやら楕円 ....
猫の死体につづく道は下水道
たいせつな宝物たちはぜんぶ捨てて歩いていくことにした
わたしとても自由だわ
愛するあの人も今じゃもう思い出せない星屑
人のいない水族館みたい
うろこの冷たさや動物 ....
「泣き腫らした家」
その家は号泣する
時間を失った丘陵にたたずみ
家主の帰りを待ちわびながら
その家はときどき夢想する
彼女が門扉を開き
飛び石伝いにやって来るさ ....
涼しい風に乗って
赤トンボが行く
僕たちを見つめながら
スイスイと行く
何となく僕は照れて
紅い夕日を眺めてみたり
夕暮れどきの君は
ほんのり朱くて
可愛くて
心の病に泣く君の
病とはなにで
どんなことで取り除けるの
震える肩を
前にしてなす術のない
自分が小さくて
生まれる前の
私たちにならきっと
この朝は素敵だろう
それほど ....
逃げ出していった幸福は
例えるなら手の平ですくった水
いつまでもそばに
いてくれる幸福が欲しい
幸福は自らの手でつかむものだ
ありもしない幻想に
洗脳されて這い回る人たちが
とて ....
わからない。
何がわからないのかわからない。
周囲の目に困惑し、ただ震えている。
涙が出てきて笑おうとしたが上手く笑えなかった。
周囲にさらされないように被り慣れない帽子などを被ってみる。似合 ....
成田へあれも
弧を描き
うつむき加減に
落ちてって
果肉むさぼる
木々や
倉庫や
薄暗い濁りが
街路まで
漂っては灯火を運ぶ
星を食う
彼は
季節外 ....
屋根の上から
青い靴が
滑って
滑り落ちていく 青い海のなかに
なにも 見えなくなったって
いいジャないですか
シャツも
ざぶざぶ濡れて
泳いでいく
薬指は
気取って
....
溺れかけたのですか
ありもしない愛
などと/暗く
底のないつぶやきを
ぶくぶくと、泡と海藻だけが纏わりついて
よく見れば
そこに近づいてきたのは海蛇で
あなたは必死に藻掻 ....
浮浪者: 「俺は今日に至ってもひどく酔いつぶれている路上暮らしで、あんたにどうすればいいのかを教えてもらいたいのだけれど。」
おじさん:「そんなことお前自身の問題だと思うけれどな。」
浮浪者: 「 ....
俺は 今夜もひどく
酔いつぶれた 路上で
希望も 夢も ないのだと
歌えや 歌えと
時代の中を 走り回り
歌い 飛び 泣き 笑い
今日も一体私はどこに行くべきなのかと
思う そん ....
生まれた家をさがしに
旅をしていると
雨が降ってきた
私は寂れた商店街の
農業用品店に
傘を買うために立ち寄った
ごめんください
というと
見覚えのある人が
店に ....
白いアパートメントが、町の大通りとはいえない、
中くらいな通りに面して建っている。5階建ての上に
は、無人駅のような空があって、雲はあまりなくって
陽射しが眩しくて、時刻は午後の2時を少し過ぎ ....
あなたを、きみを、好きな甘ったれで、弱くて、かわいいわたし。
大好きなきみを。
きづつけていきてゴメンね。
さゃなら。
本当に終わってしまったのか
少しだけ残った期待の欠片が
私を惑わす
右に行けば正解?
左にい ....
じぶんが
やさしいのかつめたいのか
わからない
でも あたしは
ひと をののしる
ことばは もちあわせていない
なぜなら
それは
じぶんにもどってきて
けっきょく
じぶんを ....
古ぼけた
駅の路線図にある
黄 赤 青 緑のライン
一番先っぽのほうは
背伸びをしても
よく見えないが
「とりまる」
と書いてあるように思えたから
「とりまる」「とりまる ....
延髄の隙間に滑落した俺の意識
頭頂から降りてくる存在の微かな明かりを
頼りに
七つの難敵をクライミングした
考えていたより途方もない…
時間を、費やした
頑丈な窓が伝達 ....
ピンクサロンで大祓
フリーでハズレの遊行女婦が付いて
....
さようならは
あまりにもありふれて
どこそこにも行われております
今の時にも
今の風にも
一瞬の星の光りも変われば
さようなら
特別な想いも
流れるような君への想いもまた
....
「生」
有限のもの。
熱を放ちながら、絶え間なく動き続けるもの。
「命」
無限のもの。
形や色を変え、どこまでも広がる時空に在り続けるもの。
「宙」
青空のずっとずっと上 ....
遥か遠くへ帰る人
つかの間ここに生きた人
いつか新たな太陽が
瀕死の地球を照らす時
あなたのいないこの星に
私はぽつんと立ち尽くす
足を引っ張ることでしか
引き止めるすべを知らぬ ....
大きな電気自動車に轢かれそうになりました。
凶暴な蛇に丸呑みされそうになりました。
太陽に炙られ干からびそうにもなりました。
昔物知りなトノサマじーちゃんが言ってたように
外の世界は危険が ....
人生の
のこり二十年くらいのところに
臍がある
むかし
へその緒と
つながっていた
臍
かつて
命を
食べていた
臍
いま
生を
食べている
臍
私には
....
食卓の{ルビ笊=ざる}の上に置かれた
柔らかい柿達は
それぞれに傾きながら
ひそひそと、会話をしている
( 厨房では蛇口から
ぽとん、ぽとん、と水が鳴る )
初老の ....
満月の宵、何処からか琴の音のする温泉で
畳の寝台に横たわり、いちめんの夜空を仰いでいた
霞がかった雲の向こうに灯るいくつかの星は
遠くから、僕に何かを{ルビ云=い}っている。
....
デイサービスの送迎車で
君のお父さんを迎えに行き
玄関のドアを開く
お父さんに続いて君が
猫を抱きながら、顔を出した。
「 これ、うちの美人猫 」
お父さんの伸ばし ....
昼下がり 鴉の群れ 憂鬱な音楽
物云わぬ黒猫
「君はどこへ行くの?」
黄色い眼球 音もなく 瞬いて
消えてしまったんだ
踏切りの喚き声
煩い警告
”僕 ....
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