先生、ハグしてもいいですか?
あたしは 部屋に入って
口を開くなり言った
E先生は 少しとまどいながらも
椅子から立ち上がり
あたしのハグに
やさしく腕をまわしてくれた
....
ひとりばらまきながら、
立ちつくした、ばらまいている、
鳥は私たちにそれらを、夕暮れは
私たちに、聞くだろう。ばらまいている立ちつくしたそれらにしている、
手のようなそれらを。
....
さいごに何か言いたいことは
と
神父に言われた死刑囚は
「おれは
手品師になりたかった」
と言って
舌を噛んだ
そのとき
神父の持っていた
聖書は
白紙だったことを
だれ ....
僕はケータイで
ニルヴァーナの
「十七歳の娘の匂いにむんむんむらむら」
を聴いていた
そうしながら
いつの間にか
旦過市場の異次元に迷い込んでいた
魚屋で一匹の
真っ赤な
鯛が
「 ....
ジャックジャックジャックと引いてファイブカードで上がりたい
....
三十九度の熱にうなされ
一リットルの点滴を打ち
体温だけは平常に戻しつつ
うなされた夢の底で願った
助けてください
翌朝に漢方薬と解熱剤を流し込み
空元気に満ち溢れた苦笑い浮かべ
....
寒くなってくると幸せが細く薄くなっていく
すこしずつ、少しずつ
朝と夜の冷え込みが幸せをすかすかにして
ちょっとした風や接触で
うすく、薄くなってしまう
何かの弾みに急に寒さが押し寄せて ....
長シャリばっかりじゃ身がもたねえぜ
といいながら
七味唐辛子をかけて
この麻の実を百個まいたら
その中のひとつくらいは発芽するのではないか
と考えている
鳥の歌 鳥の歌
ファリッド ....
1962年の足をかじったらイブ・クラインの青
生まれたてだから味なんか臆えてないのに蘇る人体測定
「生きていてよかった」
わたしのかげはぐれてしまったのに
新幹線にキモチを乗せて
かつての少女がマスクをして
黒いフェルト帽をかぶって
青色のヒートテックを着て
ブランケットも連れてきて
50分発の新幹線に乗り込む
新幹線 ....
夷をもって夷を制す
いまの中国のデモは
そんな知恵なのではないだろうか
革命が頓挫するたびに
既存の権力はリミッターを外してしまう
統制の度合いをより強めてしまう
....
中国共産党はあちこちに
この国を舞台とした日本人による戦争の
モニュメントや史料館をつくっている
中国共産党の正統性は
日本軍を中国から追い出したことに尽きるから
た ....
ペットサウンズのおしまいに、
去り行く電車をぼくを置いて追いかけてゆく、
犬には五匹の子犬がいて、
そのうち一匹の雄犬の名前がトンといい、
引き取られた先のメルボルンでは、
映画「渚にて」で ....
ぼんたん飴をすりつぶしたように
雲がうじゃうじゃ
あとは青
みんなみんな神宮橋を渡る
横から波と風、羽、工場からのガス
大きな風車がいくつもいくつも見える
車はまっすぐに走れ
....
みんなのなかでゴハンを食べると
孤独になるから食べたくない
みんなのなかでゴハンを食べても
話すことが無いから黙ってる
みんなのなかでゴハンを食べても
みんなも話すことがないから静か ....
.
さわさわゆれる
きみとゆれる
なにもかもわすれ
きみとゆれる
.
おれたち仲わるいんだぜ
ぶつかるとゆれるんだ
もつれるとゆれるんだ
せまい座席に2センチあけて
く ....
うしろをついてくるわたしは
いつかの母のような顔で
わざとらしくとても傷ついている
そのつめたい手を
振り払って歩く
後ろでぬるい呼吸をするわたし
いそいで呼吸をしているわたし
....
その食堂はうらぶれた路地裏にあったが、薄暗い路地にその食堂の入り口だけ煌々と灯りが点っていた。いつでも結婚式が行われている。食堂の食材は何処で調達したか、随分と脂分の多い肉と水ッ気のない葉野菜と萎びた ....
青い空がどこまでも抜けてゆく。
街路樹の銀杏が仄かに色付いている。
所々が赤茶けた緑の窓枠の大きな窓からぼんやりと外を見てる。
錆び付いた感受性が研ぎ澄まされてゆきそうな気がする。
気持ちの良 ....
父のためにメザシを焼いている。
メザシから出てくる
もうもうとした煙
父のためにメザシを焼くなんて
つい最近までは
思いもしなかったなあ
留守中の父が戻ってくるまでに
焼いておいて差 ....
生活という
意味の解らなかったものに
私は浸っている
めいっぱい
空を目指して
夢中で枝をにょきにょきと伸ばしていた
わたしに
生活とは何かを
知らされることはなかった。
社会科 ....
数字
数字を祝うことはばからしいことだと思っていた
東九条でもよおされたある晩の鍋会のこと
とつぜん友達が少しはにかみながら
今日は数字の日なんですと言った
二十八回めの数字の日なの ....
ああどうしよう
うちの母さんの
消したい過去が父さんのこと
ああどうしよう
うちの父さんの
消したい過去が母さんのこと
恋愛に 生活に
人生につまずいたって
そう言わないで
....
ダイエットに成功したら
風呂場に行って
湯気に曇る鏡を見てごらん
ぼやけて見えるきみは
自分ではない気分だろう
人格を移植された
別人の体つきを目にする思いに
背中がかゆくなる
....
駅で歌をうたってる
人の声を私は知らないよ
そこだけ光っているような
空気のざわめきを
横目でいつも通ってる
今日も確かに
帰ってきたの合図にしてる
ギターと共に
揺れる君の肩 ....
索引にない
言葉をさがしにいく
言葉では
伝えきれない
感情を
日々新しい言葉が
この国では
生まれているというのに
そういえば
略語で父と母を
呼ぶことは ....
お肉
こんばんわナスです
トマトの坂をこっぺり帰る
キュウリギリスは寒さで凍える
お肉は肉でも何肉かわからないが焼けばイケるゾ
ナス祭り
トマトの ....
いま僕の目の前に広がる光景
それは決して
僕にとって喜ばしい光景ではない
思考を止めて
やりすごそうか
何も考えたくない
逃げたいな
そうだ
誰だって
嫌なことは ....
そうして、そうして、
眠ろうとする、そうして、
寒い日ですらないけれど、見えている周りに求め進んで行く。
ぼんやりと何かがあるのを、点をさまよう何かに視線を、
見つめながら、遥か遠くの点の中の ....
ゆさゆさとある日の午後
瞼を閉じれば薫る風
泣いて笑った命のリズムで
まるで道端に植わった
草や花みたいに
君が揺れてる時が好き
ありふれていて
とても透き通っている
一篇の短篇小 ....
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