くろく、くろく、くらい空。
雨の音がきこえる。
天井のうえ、
雨の音がきこえる。
空と屋根との多重唱。
埃積もった机のうえの、
十年遅れの怠惰な時計。
秒針だけが独りできざむ、
十 ....
探し物をしている
今朝の気がかり
思い出せない名前
探し物をしている
ゆっくりそれでいて少し
あせりながら
だって今日がまた
終わってしまうから
見つけ出せずにいるのは
小さ ....
れいぞうこをあけると
いつかのなつの
せみのこえがきこえる
わたしは
トマトをひとつとりだし
つめたいそれにかぶりついた
れいぞうこをしめると
せみのこえはやみ
ト ....
今日もいつも通り
という自覚もなく
今日もいつも通り
という毎日が過ぎ
今日もいつも通り
私の隣には君がいる
だけど突然
底なし沼にハマるように
記憶に足を ....
私が私を見ている
不格好な背中が憎い
お前、なぜそこに居るの
私が私を見ている
丸まった背中が悲しい
お前、どこへ行くの
どこへ帰るの
鬼には非ず
母の背に
握りこぶしを
つくりて仕舞う
台所に行くと小さな深海がある
水圧で食器洗浄機が潰れている
よくあることだね
きみが見たこともない魚を
きれいに包丁でさばいている
時々あることだね
たまにあることだね
....
一足早い中国の秋
人恋しい季節
たどりついた河北の地で
気の早い寂寥が
僕をつかまえる
もう出会えないかも知れない
あのひとの笑顔を
残してきたのは
や ....
分厚いクチビル突き出して
隣のOLの耳元で
「サトウさん、ちょっと今晩付き合って」
「部長とのこと全部知ってんだよ」
一見いい人そうだけど
誰しも薄暗いところはある
だけど
うーうー、だ ....
ある夜
激しい異臭がして
ベッドから飛び起き
電灯を点けて見ると
テーブルの上で
俺のドッペルゲンガーが
ジャージを膝まで下ろし
脱糞していた
蓋の開いたノートパソコン
和式便所と勘 ....
空にポッカリ満月が
月が
月が
月が
幽玄な月が
稜線の上に
屋根の上に
ビルの谷間に
窓の隅に
小さな水たまりにも
澱んだドブにも
無数の月が
ゆらぐ水面 ....
路地裏の縁台に腰掛け
はだけた胸元に
団扇で風を送り
茶請けに水羊羹
冷茶を一服口に含み
にんまり、
路地には打ち水がしてあり、
しおれかけた朝顔の鉢が
そこ ここ
遠く ....
安堵の表情を見せる半角英数字。
あやふやな下線の下心。
断末で響き渡る
Enterの音に合わせ
密かに口を空けながら
呼吸してみるのも
案外
悪くはなかった。
止まる一歩手前か ....
茜の空と群青の海
私は その{ルビ間=はざま}に行きたくなりました
赤紫の{ルビ間=はざま}は 空でも海でも陸でもなく
名の無い存在で
寂しげのような 楽しげのような
{ ....
傘をさせ傘をさせ傘をさせ傘をさせ傘をさせ
このやろう
雨だ雨だ雨だ雨だ雨だ雨だ雨だ
雨よふれ
傘をさせ傘をさせ傘をさせ傘をさせ傘をさせ
傘をさせってんだこのやろう
....
何も応えない貴方は
私にとって死んだも同然。
武器の形をした島
地球上で最も凶暴な住民、ただしあくまで、潜在的に
ありふれてはいるが、空から見下ろせばその島は太平洋に浮かぶ拳銃にみえる、シリンダーのあたりから山となって人工の針葉樹林が ....
液体で生まれる
混ざりながら/ゆっくりと凝固する
凝固したら溶ける
液体になる
蒸発する
液体で生まれる
あいということ
いきること/しぬこと
今日
万の人が
死にました
今日
千の人が
死にました
今日
百の人が
死にました
今日
十の人が
死にました
今日
人が
死にました
....
こねこね
こねこね
小さな手に余る
大きな生地
こねこね
こねこね
非力な手に余る
硬い生地
ママが作った生地
ママが丸めた生地
ママがくれた生地
こねこ ....
ああ
うん、
ちょっと待ってくれ
考えているんだ
ええ
もちろん、
聞いているけれど
考えているんだ
感想を
箇条書きにし ....
シーラカンス
何処にも居場所が 無いっていうことは
何処へだって 行ってしまえるってことなんだ
どんな風になりたいか 望んでないってことは
どんな風にだって なれてしまうってことなんだ
....
咲き忘れたという曖昧が実を結ぼうとしている
ここに月夜の一滴の滴を置いた悪戯が
昨日のように蘇ってきた
悲しみなどという言葉の甘さに
蛍の群れは誘われて死んでいった夏は過ぎた
....
人間蜘蛛 空洞回帰 地球卵
永劫孤独 極上下 ラビリントスの孤児毛布
円形劇場 エディプス口唇期
夢の先端 イドの眼底 逆さに写る反射鏡
コンタクトレンズ
宇宙収束 ....
言葉は槍だ
たった一言で…
人の心を…
傷つけてしまう。
言葉は花だ
たった一言で…
人の心を…
癒す事が出来る。
何気ない一言で…
泣いて笑って…
言葉って…
難し ....
月夜に
クロール
前進は
藍を割って
どこにも
届かない
それでいて
暖かい
指先は
ゆっくり
夜に染まる
110912
祈りたいならば
どこか遠く
だれにも見えないところで
おやりなさい
異教徒の群れの中では
声を立てたり
十字を切ったりしたら
命にかか ....
NHK{ルビ何某=なにがし}局 午前8時12分
気象予報士 {ルビ大菅=おおすげ}伝次郎はハ
いや、照っている 照っている
月並みな予報を伝える人柄の
実直な紳士感がまばゆいね
気象予報士 ....
あの日以来
ぼくらは国家的大義を伴った目標というものを
久しぶりに取り戻せたのではないか
傍観者ではいられない
そのことに感謝していた
夏のあいだずっと
ぼくは ....
童話の蟻とキリギリスのお話は
もともと蟻と蝉だったんだと知った
この童話が発端で
キリギリスってチャラ男の代表だと思っていたけれど
凄い勢いで快楽のみを追求するのが
地上に出て1週間
....
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【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
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