人の心って
考えてわかるもんじゃない
考えれば考えるほど
不信がわいてくるものなのだ
結局
自分が信じるしかないのだ
わからなくても信じる
疑わしくても信じる
人の心って
....
炎天厳しい8月
森の木々はまっすぐと
燃える円球のような日へと
ごつごつした両手を伸ばす
枝が大事そうに抱える緑葉は
ああ 体に新しい力を抱いた
小さいお前そのものだ
それは決し ....
水の
なか
に、
泳ぐ
鳥
記憶のなかを
明滅する光
濾過されて
蒸留する
西へ、
それから再び東へ
ゆく鳥は
籠を抜けて
飛び去った
八月の日 ....
それならばこれで、
というお別れの仕方が
あまりによかったもので
それがそのまま
別れの挨拶になったというわけなのだ
そこには指示語が含まれている
指し示すのは
それまでのかかわりす ....
わたしはポールダンサー。
性の餌食になりがちな、
場末のストリップ劇場のダンサー。
わたしの踊りは、評判は良くない。
「もっと脱げ」などという、
罵詈雑言にさらされるのも幾度。
で ....
暗いバーで
黒い服がよく似合った女が
しわがれた声で私の名をきいた
煙草とウイスキーの琥珀によどんだ目で
笑いもせず何故
私を 見つめるのか
フロアから這い上がっ ....
刻も戯れも心音も手招いて誘う
こころ あちらへ こちらへ
揺るがして手放す
なみだの群れは押し寄せて 弾き 引っ張る
しなだれる砂 きぬずれの脚
よるの はまゆう
....
光の中に在りながら闇を引き摺り、
眩めく暗い情動響かせ
粗くザラツキ激しく
その律動波打ち
赤ん坊のように安らか眠る
夜明け前に誰かが自殺し
光の中に在りながら闇を受け容れ、
....
それは、柔らかな貨幣だった
ともすれば解け崩れそうな輪郭を
丁寧な所作で一口大に切り分けては
どうとも表現のし難い、営みの味を転がして
手垢にまみれたそれを飲み下した
{引用=あなた ....
他者へと導く、
アリアドネの糸 切れ
この熱波の夏、
天空の青 広大に
うねり鳴り響くグルーヴ
己れを自らの手で救えと
(未だ肉の豊潤な黒髪掻き上げ)
私は懐かしい私と一 ....
夜が釣り糸垂らして
月を釣っているよ
風の仕掛けは巧妙で
ぼくの前から消えちゃった
あの日あの娘のサヨナラみたいな
トゲトゲした疑似餌のようだよ
ちょうど煙草屋の屋根の上に
月が昇ったそ ....
○「心おだやかに」
年寄りは
心おだやかに暮らしていくのが
一番である
他人の非難など百害あって一利なし
そんな暇があるなら
自分のことに集中することである
こうしなければいけない
あ ....
計算されたあなたのことばは
きっと0と1からできていて
でも私たちの連座に
きっと馴染む
挨拶はできるわけだから
挨拶したら昼寝しててもいい
なんか好きな本を
こっそりと朗読してもい ....
髪の後れ毛が
もやしのひげのように
蒸れた風とけっ託して
汗と貼りつく
ぽにーているならぬ
わたしのひとつ結びは
ねこのしっぽでありたい
脊髄のさきにあるまでの、感情
あな ....
お腹がすいたら
食べるものがある
飲むものがある
申し訳ない気もちになる
お腹がすいても
食べたくなければ
食べないことがある
申し訳ない気もちになる
食の欲深さ
満 ....
月の夜だった。欠けるところのない、うつくしい月が、雲ひとつない空に、きらきらと輝いていた。また来てしまった。また、ぼくは、ここに来てしまった。もう、よそう、もう、よしてしまおう、と、何度も思ったのだ ....
ああ 満月、真っ正面に輝いて
カーテン開け窓辺に佇めば
白く白く白銀に生き在り、
そして遥か昔から
言祝ぐように
向かいの家に灯った橙の明かり
観てる私は誰?
思考停止し詩想する ....
まどろみの午後、鼻毛を抜いていた
また白いのが一本
何事もなかったように、また鼻毛を抜くことにした
鼻毛
まどろみの午後、鼻毛を抜いていた
おや、白いのが一本
ち ....
キンタマが二つあるのは
何故なのか?
考え出すと
夜も寝られなくなっちゃうんですよ
バランスの問題でしょうか?
世界にひとつだけのキンタマ
一人一人違う種を持つ
この歳になると
....
宙空を見つめていると
無音の内ざわめき刻まれ
意識の奥行き、浮遊する声
沸き立つ力動が私を捕らえる
均衡は保たれ静かさ充ちるこの時、
私はこの力動に導かれ私の内に沈み込む
意識の奥 ....
臨終の時が迫ってきていた
母と娘で長年過ごした
平屋のあばらやで
床に臥せっていた母は娘に言った
今まで苦労を掛けてごめんね
一生貧乏な暮らしで終わった
自分の人生に付き合わせた娘に
....
おれは{ルビ中絶=abortion}を免れた
悪辣の忌仔
数多の咎を{ルビ断頭台=guillotine}の枷に嵌め
十三の階を昇る黑い{ルビ懺悔者=judas iscariot}
giac ....
○「有難い実家」
今度娘が
二人の孫と一匹の犬を連れてきて
10日もいると妹が笑う
実家に泊まれない人たちもいる中で
誠に有難い実家だ
○「中古車不正問題」
急に中古車が
事故車に ....
ふたり分の沈黙を乗せて
笹舟は遠ざかる
意識を過去へ葬るための
ひとつの光の繭となって
むかし使っていた腕時計が
どこかで針を揺らしている
重ねた手が夜の魚のよう
夏の体温に静かに跳 ....
どこいったっておんなじさ
あのまちこのまち
もう少しでなくなる
さわやかな減少の中で
さまざまな現象の中で
大きな音で音楽を聞きながら
泣き言がいつか
尽きるのを期待して歩いているん ....
博士、ふざけているんですか?
電気じゃなくて便器自動車だなんて
まぁ、そう怒るな、説明だけさせてくれ
これは便器に座って走る自動車だ
トイレだから、渋滞をものともしない
今の時代、それく ....
ビックリモーターの報道は
日本車の優秀さに驚く報道だ
百円交換の格安オイルでも走る
更に頼んだオイルや部品の交換を
していないくても壊れない
たとえ部品交換しても
新品ではなく中古品を取り ....
天道虫畑の朝露に
濡れながら
もうすこしできる話が
あったような気がした
痩せ細った夏草の礼儀正しさ
わたしはすっかり
風邪をひいてしまった
少しずつでも構わない
そう思ってい ....
ついにわたしの頭から木こりは離れなかった
そこでわたしは木にいった
「切ってしまうぞ」と
しかしそれはわたしのもっともお気に入りの四季であり
秋だった
....
重なる地層の貝殻は
私がこどもだったときと同じように
だんまってしましまの地層に
連なっている
この貝たちが生きていたとき
夏は夏だったのか
夏と名付ければ
きっと夏であったその季節 ....
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【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
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