受け継がれる遺伝子
五十年前の彼女に 少しずつ似て来る
私の顔立ち そして仕草
出掛けに纏う香水の好みまで 少しずつ少しずつ…
あんなにも憎みあい いがみあっていた私たちなのに
時が ....
ぼくの細胞が裸になった
ストリップもないだろう、と
あわてて上着を被せた
細胞は檸檬のように
ゴルジ体を吐き出し
ミトコンドリアを叩き付け
軒下に吊るされた
今日は誰と
話 ....
どうして好きなのか
そんなのわからない
ただ単に
君だけが好き
何度傷つけられても
何度泣きわめいても
嫌いになんてなれない
なんで?
好きだからだ ....
おなじ背の高さをした建物が
僕をやさしく愛撫するので
当分この街から出ていくことは
出来ないのだ。
さびしい薬指を放り置いて
あなたはどこへ行くの
遠くなる約束は
孤独を知らせる鐘
わたしのことを食べていいわ
だけど 左の薬指だけは
最後のとっておきにしてね
お ....
庶民の香り 聖徳太子の印刷に混ざる 懐かしい庶民の香り
レモンくらいしかなかった庶民の香り 黒電話がリンリンと擦り
思い出す香り
ブラックライトを溶かした ....
去年
被災地カーネーション
母の日に
贈ることも
贈られることもなく
カーネーション
津波にのまれ
それでも咲いた
カーネー ....
さみだれは
あっという間に
食いつくされてしまった
季節の名のつくものは
だいたいひとがむらがって
食いつくしてしまった
けれども
初夏
涼しくわらう目元に
わずかに残さ ....
全てを知りたいと
カプセルの赤子が泣いている
その声の意味は分かるよ
それでも
出逢ったものを信じるしかないんだ
もう泣かないで
世界の写真をあげるから
....
ありがとうというと
あなたはただただわらった
・・・なんてね
それはむかしの話
今は十五夜の月に似た
ありがとうの先にいる
いつもと変わらない部屋
いつもと変わらない学校
いつもと変わらない友達
いつもと変わらない僕
ひとつだけ
いつもと違うこと
君が遠くにいること
....
冬のように冷たい5月の夜
仕方なく暖房をつけた
足りないよ、余りにも。
放り投げておいたセーター
懐かしい香り
ほら、やっぱり寂しくなった
起床から睡眠に至るまでにいくつもの粒子が整列していた。それらは貝や木の実や爪だったりしたが、あちこちを眺め回しては倦怠で門のようなものを開くのだった。年齢という数字が記号でもあり連続でもある、そして ....
倉庫の隅で
ひとつの闇と
もうひとつの闇が
汗をかきながら踊っている
南京錠のこじあけられる
冷徹な音をおそれ
かれらは時折、同時に
....
ジンジャーエールに浮かぶ水色のゼリーをスプーンでつぶしてる。ちいさくてもろい人工氷山。口に運ぶ気はないけど、とてもきれい。ぼんやりながめてた。気がつけばそんなことばかりしてる。いつも。
....
車椅子の母の髪をカットした
チョキチョキ ハサミで切りそろえる
黒い髪より 白髪の方が多くなったね
わたしは 母が年を取って授かった
上には 年の離れた兄弟たちがいて
望まれないまま ....
水面の月が欲しいと泣いた
夜店のだみ声が怖かった
火をつけた理由はそれだけだった
鉄格子に囲まれた部屋は居心地が良かった
僕は外の何者にもなりたくはなかったのだから
今流行りのナントカは君を楽しませるらしいね
でも今流行りのナントカは君を抱きしめてはくれないね
それに今流行りのナントカはみんなが持ってるね
さらに今流行りのナントカはめっぽう熱や水 ....
古本のあいだにみつけた四葉のクローバー
これをはさんだのはどんなひと
幸福をひとつ逃したのかなあ
それならかわりに僕がもらっておこうか
きみの幸福の受信感度は良好かな
太陽にはいま怪物級 ....
あの日空は群青色に染まっていた
空き缶を蹴ると仕度前の飲み屋の看板に当たった
僕は酔わない
胸の合鍵は冷めたままチャリッと鳴った
何処かへ行きたくて何処へも行けなくて今日も都バ ....
槍と鯛が
背中から飛び出している
やっぱりやりたい
可愛い女とやりたい
やっぱり女は魔物だ
やらせてくれるなら
男は従うから
猥雑な女性器の前では
有史 ....
気取らない
月のハンモック
紫のペチュニアの花
そんな夜に
黒い硝子の靴は
何処かしらと
少女は思う
銀色の森を見たかい?
なめらかな手触りの葉を
一枚取ったら
あの子に手 ....
クラブ帰りの渋谷でサンプリングされ尽くした女子高生の残骸を打ち落としてく縦シューでボム抱え落ちして、デスルーラで飛んだ先がベルベットルームでもマサラタウンでもなくボロアパートの自室、いしのなかにいる、 ....
振り切れずにそのままにしていた約20年近くを
2日間で片付けた
どさくさに紛れて様々な思い出も放り込まれて処理されていった
それを横目に見ながらも
もう二度と手に入れることはできないはずである ....
あなたの瞳に写る この瞬間の私
黙って髪を切ったのは 本当のあなたを確かめるためだった
愛し合ってるっていう妄想
うまく行ってるっていう演技
そして明日も一緒にいようねっていう 優しい嘘
....
「もの思う歯車」という
フレーズを考えた事がある
この世では何でも利用されるから
僕はいっそ壊れてやろうと思う
精神病院の奥底で
体がベッドに縛り付けられたままでも
心だけは自由なままだ
....
こんなことをいうのはしのびないけれど私の頭の中にもう私の墓は建っている
仏具は風化し供物は腐蝕し冬の日の乾いた光の受け皿になり憮然と佇む姿を
想像せずにいられない
かつては海に散骨してもらうこと ....
宇宙の果てにある荒れ地
月明かりが唯一の光
微小な動物達が岩にへばりつき
植物達は地をはう
足場が悪いのでこける
体中に絆創膏と湿布
望んでやって来た土地ではないけれど
牢獄から脱け出し ....
緑が風に揺れていた
強い風に揺れていた
雲は風に流れていた
夕方が青空になった
風が冷たくなる前に
散歩に出掛けようか
ふたりでいると
ぼくらはひとりにな ....
さくらんぼの花が咲いている
うっすら目を閉じ微笑んでいる
ソメイヨシノのような艶やかな色香はない
浮世を忘れようとその下で酒宴を張る者もいない
白く清楚なその花は
....
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