時間は存在しない
空間は存在しない
物があって
人がある
コンピューターは一秒に
四億三千万手先を見通し
人の遥かな直感は
古代人の心性を想起するに足る
....
世界の
まんなかにいたのに
すみっこにいた
すみっこにいたのに
まんなかにいた
風向きひとつ
陽射しの強弱
空腹感
あいまいで ただ
わたしにすっと落ちてくるもの
巣のない ....
蛇口へとめぐる途中の
おだやかな息遣い
逆光の月が見たかった
色気のない一面の灰色には
歴史的なあかりは見えない
湧くのは水だけではない
木の根になって支えたい ....
ささくれた丸太でこしらえた筏ひとつで
たったひとつの新天地へと船出する
ここに方位はないから磁石などつかえない
ここに時間はないから時計など意味がない
せめてカモメかウミネコがいたならば、とは ....
どこもかしこも駅なのです。通過点で、とどまれない。
数瞬、隣の人の肩とふれ、見知らぬ生活の匂いと、わたしの皮膚細胞とが、ほのかに混じる。それは、一個体として存在する孤独の、群れへの譲歩。
わたしの ....
うつ伏せに寝ていると
今日はたまたま息子さんが居て
こっちへやってきて髪をさわる
中国語の心地良い抑揚
髪の匂いがいいよとお母さんに言ったらしい
色々なマッサージや整体を経てここにやって ....
あたしの
肛門の吸引力は
そんじょそこらの
掃除機とは
わけがちがう
普通の掃除機は
ハウスダストやダニを
吸い取るだけなのに
あたしの肛門は
あの悪名高い
マダニを吸い込んで
....
職場に行くと
体臭が匂うと言われる
みなマスクをしている
それほど匂うらしい
家に帰ると
息子が帰りを迎えてくれる
お父さん、臭いか
と尋ねる
息子は
う ....
街を歩いていると
まるで宝物のように
我が子を抱く母親を
見かけることがある。
いや、きっと母親にとって
我が子とは宝物なのだろう。
そういえば僕はいったい
どうだったのだろう
ど ....
さよならを言えば
全てが終わりになるのなら
世界はもっと淡く出来ている
何も選ばないのは悪ですか
何も残さないのは罪ですか
けぶるような空が少しずつ
それでも紺碧に光るので
未だ ....
「ラフ」と「うつ」は似ている 字面が
ミュージカル調で怒られている
初富士を拝む背中がガラ空き
地上の灯りが胸を刺し魂は飛翔を続けて
まるで未知の惑星系を探索するように浮かんでいる
永劫の時の打痕と蓄熱された空間
斜めに切り取られた過去の累積をトリミングしてみる
太陽が眼に焼きつ ....
言葉の紡ぎ方をしばし忘れておりました
あまりにも喪失が大きくて
なくした なくした なくした と
途方にくれておりました
私には あれが全てなのだと
泣いて わめいたけれど
誰 ....
あなたと会話をする
迷路にまよいこむ
歩いても
ふいに道があわられきえる
言葉が
ひゅるひゅるとうねって
あなたをかすめてながれてゆく
わかってない
互いがしぼりだしている
....
ハッ、ハッ、ハッ
ああ〜、ああ〜、あ?
だ、誰か覗いているわ
ええ、またアイツだな!
おい、おまえ
何度言ったら分かるんだ
覗くんじゃない!
ピーポーピー
嘘つけ、明らかに故意だろ
....
かぼちゃのスープ
あったかい
しみるねえ
ほんとしみます
垂らしたものが
世界を侵食していく
産み落とされたものが
世界へ踏み出す
僕と別離しない僕
いちばんの他者
今度君 ....
朝
あっちとこっちの
境い目をうとうとしているとき
聞こえてくる鳥たちのさえずりに感情を撫でられる
透き通った優しい手
昨夜の波立ったわたしが嘘のように
帰って来たわたしが
少し ....
千年の恋を織る
記憶の斑
泣いてこんにちは
そして笑い合って
「さようなら」
百年の愛を知る
秒単位の海馬
争い殺し奪ったあとで
守った者たちへ
「ただいま」
ねえ神様
....
バスの中はおばあさんだらけだ
おじいさんは何処に行ったのだろうか
小さな小さなおばあさんは飴玉みたいな瞳で
少し高い場所から外を眺めている
歩く人を通り過ごし
自転車の人 ....
空気いれが必要なんだぺしゃんこのぼくのために
君はうしろに乗って流行り歌でも歌ってていいよ
僕もすっかり日暮れてしまったさ
目抜き通りをフラフラ歩く
ぼくは探し物なんてしてない ....
どこかに鳥はいますか?
空にいないことはわかっています。
ああそうか
だからみんな
空をとぶんだ
夕暮れを見た
新宿でパンツを買った
その色は何ともいえず
優しくはない街だ
英語をあきらめ
日本語の教科書を
川から放り投げる時
自分を見つけたい
希望とは明るい絶望のことです
不安げに明るい道を歩いて
渦の中の待合室
そして本当は夜だった
六十分で世界が変わると信じたんだよ
行為に名前をつけなかった
大人は不都合から目をそらすから
美化される予備軍たちの ....
真っ白な空に飛び込むと
記憶がだんだん失われていき
気がつくと白い部屋にいる
外を眺めるとレモン色の月が輝いている
手を伸ばすとすっぽりと明かりが降りてきて包まれる
目をうっすら開け ....
老齢の愛犬のお散歩も
寒さの和らぎで
幾分面倒な気分が薄らいで
そんな私の心持ちなんて構わずに
草花はより色濃く鮮やかで
老齢の愛犬も
いままで入ろうとしなかった
....
毒がない花
目を閉じて
匂いを嗅ぐ
頭にまでは毒がまわらない
さすがにそこまではいかない
女子は毒を好む
毒に蝕まれた身体で山を登る
残りの酸素を調整する
毒がない花
棘 ....
さっきまで声をはっていた
街角のサンプリングアルバイトの女は
帰りの電車で蝋人形のように固まっている
何かに疲れて
心が怯えている
簡単で
単純で
気兼ねのない言葉で
明日の予定を ....
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