蟹は
前を向きながら横へ進むのか
横を向きながら前へ進むのか
蟹のからだの構造上
顔のある方が前だから
蟹は前を向きながら横へ進んでいるのだ
が しかし
蟹も何か目的を持って進んでいる
....
息を詰めてTVを見た
息を詰めて
TVを見るなんて
子供の頃のアニメ以来
演技は完璧だった
涙がぽろぽろ零れた
深夜のソファの上に
ティッシュの山ができた
TVの画面から
....
なじめない街に
あたらしい図書館ができて
あたしはうれしくって
ちいさい頃から本だけはいつも傍にいてくれたと
はたと気がついて
そういえば
だれもいない 一人部屋
まだまだお ....
目がさめたら
やけに喉が渇いていた
水を飲もうと
池のふちで
身をかがめると
なぜか
バランスを崩し
水の中に落ちてしまった
泳ごうとしても
体は重く
水の底へ沈んでいく
....
「いらっしゃいませ」
「いらっしゃいました」
そんな会話を してみたい
聞いて みたいから
自ら 発する 言葉です
幾ら ハッスル してみても
軽く スルー される時
断られ ....
透明な
冷蔵庫の中で
君が冷やされている
寒くはないのだろうか
君は楽しそうに歌を歌っている
ひんやりとした歌声が
暖房の効いた部屋に広がる
このまま冷やされ続ければ
その歌声も失 ....
140221
目からではなく
眼から
なんでだようと神様が口を尖らせる
漢字変換機能が眼を選んだのです
私の恣意的な意図ではありません
神様の思し召しと思っ ....
何だかわからないけど不安だ
夜あまり眠れない
食欲がない
性欲がない
何にも興味が持てない
生きる気力が湧かない
とお嘆きのあなた
そんなあなたに朗報です
飲むあるいは射つあるいは炙る ....
年端月は午後四時ともなると
淡いガーネットのかげをつくる
部屋隅で孤独な回転椅子のうえに
ことしの寒波は
むかしの三寒四温どころではない
二十日と二十一泊になりそう ....
殻の煮え
爪先立ち
ケレン味
夜には
一斉に開かれて
“みんなエビフライだよ!”
どよめく心筋
押し寄せる十指
感覚が
五臓六腑をうろつき廻り
首が調理師の
涙で濡れていました
....
あてもなく夜空をさすと
ぼくはきまって
指をしまい忘れるから
わらっていたね
きみは
わらっていたね
続くのだと思った
ぼくらは
ずっと許されて
....
一日の仕事を終え
重たい瞼を閉じると
学生だった頃に
顕微鏡で見たことのある
輪切りにした脳の細胞
・・のような原野に
無数のプラナリアが蠢いていた
その隙間を油の泡が
虹色に発酵して ....
足跡を辿れば母に着くのか。
胸を捜す赤子。消えた記憶。
影が声出す前に身消え行く。
私は十三年間
薄暗い工場の中で
機械の一部になって働いてきました
小さな子どもを連れて離婚した
若くもない女には3Kの仕事しかなかった
子どもを保育園に預けて働いた
毎日々
ベルトコ ....
そむけた言葉がつなぎとめた
このゆびとまれLet It Bleed
うわのそらに溺れる
白い骨は美しい。
赤い肉が裂けると花が咲く。
覗く白は眩しい。
石は佇む時間。
永遠な巨大さは時間に殺されてしまった。
何か大きなものは砂になってしまった。
しかしまだ失われてはい ....
目を閉じている心が
夜明けを待っている
楽園のためか戦争のためか
多分それはどちらでもなくて
脳裏に焼き付く景色を消した
裏切りなんて簡単に言わないで
傷を付 ....
あなたがいないさみしさを
甘美なものに変えました
ふしぎです
あんなに涙をながしていたのに
変なのです
さみしさがよろこびになってしまったさみしさ
というようなものが
今度はおと ....
鏨(たがね)を打ち込む
光沢のある表面に
一閃の傷をつける
堅固な光沢のある表面に
鏨(たがね)を打ち込む
切断する術は腕一つ
振り下ろす鉄槌の微妙な躊躇は
表面を滑り鏨(た ....
夏の暑い午後
ぼくを見下ろす太陽
日傘もささずに
火傷したアスファルト
行き先の縄張りを
我が物顔で主張する陽炎
流れ落ちる汗がぼくのこころから想いのかけらを
奪 ....
Vの発音 Vの発音 Vの発音 Vの発音
言語聴覚士に何度も発音を矯正される
だけどまだできない
標準的なVの発音
ボールを投げて キャッチして
ボールを投げて キャッチして
作業療法士 ....
おはよう
今日も生きている私へ
重い身体を起こし
薬を飲んだら
また眠る私だけど
私もちゃんと
明日のために生きている
銀盤の周囲には
金や策略やら
得体の知れない黒いどろどろが
埋まっているとかいないとか
それと比べたら
ライバルのスケート靴に
画鋲をいれちゃうなんて
(そういう少女漫画があった)
わ ....
――G.J.へ
誕生と死との間に、もうひとつ誕生と死とがあるとすれば、それは君たちが今成し遂げようとしていることだ。二人だけの孤独が誕生し、一人だけの孤 ....
生まれる事のできなかった命や
存在するはずだった天才達
今はもう消えた遺跡に腰掛けていた
二千年前の妖精や
また、
人間には決して発見する事のできないもう一つ ....
木下くんちの子がよる、きゅうに中耳炎になって
頭の中で(虫耳炎)と思って
耳で虫が燃えて
耳で虫が燃えて
ダニみたいな虫がいっぱいいっぱい
耳で燃えてて
耳が熱くて熱くて
焼けてこ ....
誰もいなかった
自分がいるときに伸びる影を
見ていない路地で
動物のそばにはいるけれど
遠くに沈んだ船のある風景
鉄はそこにさび付いた色を残して
カモメの集まる空に
次の季節を知 ....
鳥が羽ばたく空は
線が引かれたように
広がっている
誰かが死んだなんて
信じられない青さで
ゆるやかに広がっている
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