子供の頃 叶えたい夢があった
いつかなれると信じて
時が経ち 子供と呼ばれなくなった頃
まだ子供の時の夢見続けた
大人になれないまま
もう叶える事は出来ないのに
今でもずっと見続け ....
死語の道徳を囀る一羽の小鳥が
超高層ビルからヒラリと飛んだ
喪失した記憶 飛び方を思い出すための荒療治
ところが思い出したのは
自分が本当は魚だったということ
《しまった早まった! 》
だ ....
しびれるように今日は
明日を失い
昨日を失い
昼夜を失った
羊の目をもつ鳥が落ち
布を裂く音が縦に響き
誰かは誰かを失った
ぎりぎりの分別に
長くのばした爪を引っ掛けて
....
道ばたに
若いビジネスマンが
うずくまっている
心配して声をかけると
苦しそうな顔をして
ほとんど象になりかけていた
大丈夫です
と、忙しそうに立ち上がり
がんばっ ....
上手に人を騙せるようになったら
嘘をつくのは止めようと思う
(佐村小路実篤)
一見意味深げだが
冷静に考えると何だか
サッパリ分からない
そんな言葉をつなぎあわせれば
いいんじゃない ....
べつのことを考えながら
言うときのセリフは
「きみだけを愛してるよ」
このあいだ
そのセリフを口にしたとき
電話のむこうにあやしい気配
サファイアのピアス
あなたは気付かない
....
開き箪笥の蝶番がこわれたの
そう言えば10年前にもこわれたな
今度は違う蝶番
貧しかった頃に買った
安価な開き箪笥の蝶番は
僕たち家族の生活を
ささやかながら支えて ....
つまんないもので塀を築いて
おもろいものには目もくれず
いったいなにが楽しいのと聞いたら
「これが人生よ」と言われた
安いものを至上と信じて
ありきたりの色を重ねて
どのへんに君のこだ ....
恋の予感がビビッとしたの
ええ、仮想世界の話だって
自分に言い聞かせたわ
でもダメだった
だって
走り出したら止まらないのが
恋じゃない
いい夫婦の日に別れている
隣の家の目覚まし時計に起こされた
社交辞令の「大丈夫?」もない
沼のほとりにあなたは立って
覗き込む
濁る水底
揺らぐ藻の影
素早くよぎる魚の気配に
煌めく泡が
まっすぐに
昇ってくるのを待ちながら
言葉の淵にあなたは立って
覗き込む
尾び ....
穏やかな目をした医者は
「あなたの血液はどれくらいあぶくが立ちますか?」
と尋ねた
壁にアンコール・ワットの写真が飾られた診察室
この医者は修羅場をくぐってきていると直感した
肺や喉の貫 ....
歯垢を怒突いています
歯間ブラシの先っちょが─
カルマのあいだでさ迷っています
加湿器のゆげが─
縮んだ背中を舐めています
瓦斯ヒーターのファンが─
無人駅で泳いでいます ....
<肉食獣>
私があなたに耳にかみつくと
あなたは私の腕にかみつく
私があなたの眼にかみつくと
あなたは私の手のひらにかみつく
私が食い込むたびに
あなたは遠ざかっていく
....
嗅ぎおぼえのある匂い
唾液か、汗か
誓いか、衝きか
嗅ぎおぼえのある匂いが
馴れ馴れしくて
腹立たしい
それなのに
後押しするものがある
割り切 ....
あの草原のうえに浮かんだ雲はいまもかわらない
風はやわらかな吐息とともに春をはこんでくる
春待ち鳥は歌声を整えてこぼれる季節にそなえる
翻弄されながらもまた花びらとなって流れてゆく
ひとの ....
理由がわからないままに
自分で自分を守れなくなる時
居てくれるひとがいる
しあわせなことだと思う
稀有なほどの
尊いやさしさをいつも
ありがとう
ケータイ越しに伝えて
切れても大切に抱 ....
かあさんのしんぞうはけいたいでんわだ
いつでもどこでも
だいじにもっていて
いつでもどこでも
ひらいてみてる
かあさんのものは
たいていさわらせてもらえるけれど
けいたいでんわだ ....
そうです 私は妥協しません
私はイケメンでお金を持っていて
若くて、良い大学を出ていて
将来有望な男性と結婚します
そうです 私は妥協しません
だから、そこらの男 ....
左腕に
浮き出た内出血の痣
八年前に受けた
ハーセプチンの点滴は
あたしの血管までもぼろぼろにして
以来 採血は
看護士泣かせの儀式となった
その痕を
老いた母は
かわいそうにと
....
いわないけど、ないしょだけど
けさ、前髪切って
おさなくなったの、わたし
せかいの見通しよくなり
切り揃えたまっすぐな視覚
ぴかぴかの鉄砲水がさらってく。
きみとあえるうれしさが
心 ....
だれも知らない思い出は
知られたくはない思い出とは違うけど
知らせたくはない思い出だと
ぼんやりと、
でも熱心に誓う自分は強いのだろうか
あらゆるやせ我慢でにんげん時間を
やり過ごしてつい ....
確かなことに偽りはない
浅はかな人が
なんとなく決め付けた
たった一秒足らずの疑問符で
隙間風が吹く確固なんてたかが知れているのさ
問われることを怯む正しさなんて
砂漠に建つ砂 ....
こんな朝から大好きです
あなたと連絡が取れた1ヶ月前から
わたしの気持ちはふわふわしてます
片想い なんだけど
メールしたら 返ってきて
しかも 柔らかい内容で
ナイ ....
夕ごはんの買い物帰りにママンが仔猫を拾ってきた
パッパは余計なもの拾ってくるなよと言った
ぼくはびっくりして、触ったりした
今日から兄弟だよって
ママンが言った
少し震えながら
鳴 ....
思い出ははるかな昔
若い日の夏のひと時
あなたの瞳さやかな髪
緑の山はわたしたちを
つつみわたしは歌った
あなたは銀笛を吹く
その後ろ姿のさやけさ
声ひとつなく別れ
記憶はついに絶えず ....
海で眠っていれば
起こされるんだよ
水平線が
空にあるのは
海が
銀河に流れていくから
船の上で
そう思ったとき
ぼくは
信号機の音を
聞いた
片隅に花
飾られた花
精一杯咲いていても
根なし草
命短し
赤い花
愛でて綺麗だとは
儚すぎる
明日
色褪せれば
色鮮やかな
新しい赤い花 ....
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