神様に見落とされている
無い物ねだりのあのこは一人
いつだってカフェオレを飲んでいる
カップの内側についた泡は
小さなおうちが並んだみたいな形
その隣には尻尾の短い犬
また隣ではキリンが首を伸ばしてる
時計の ....
女は二人目の子どもを男の手に渡すと
彼岸に渡った子を追ってすーっと消えた
こちらに残した子は
父も祖父母も伯母もいて
大勢の大人に囲まれて
春も夏も秋もあって
冬も暖かい部屋
十分な食 ....
うぐいすが
空の窓をひらいていく
小さな口で
ホーっと息を吸って
ホケキョっと息を吐いて
春はため息ばかり
風を明るくする
てんてんと影のあいだを
ちるひかりたち
わたしの視線はいまちょうど
角の眼鏡屋を抜けて
温泉街のまっすぐを下りてくる
あたたかく笑っている
あなたがいるのがわかるけれど
この足をどう ....
あんまりとやかく言わないでください
わたしはこの女というもののなかで
ぼこぼこと時間がたって行くのが恐ろしいのです
いつまでしても不自由で
片目を貝で塞いだように暗い
砂糖菓子の脆い沈黙 ....
――M.S.へ
あなたは私という小さなひずんだ円形を、余すことなく包みこむ大きな完璧な円形だった。ふたつの円の中心は、二人の性格の針によって異なる点を指していたが、私が囲っていな ....
日曜日の街は凪いだ海のように静かだった
わたしは子連れの夫婦や
恋人たちや老人の集団が
誰も彼も一様に楽しげであることや
そのような人々の賑々しさの中にいるにもかかわらず
これほど自分だ ....
あなたがわたしの中から消えてくれない
きっと、愛の言葉より 後悔が多かったから
きっと、愛の言葉より 口づけが多かったから
世の中とうまくやれなかったあの頃のほうが
純粋で気高くてずっとまっすぐだった
神様でもないのにもう大人なのに
信じることや
信じてもらうことぐらいしかぼくは出来ていない
....
朝おきたら
すべて
なかったことになってますようにって
いのりながら
ねむるんです
なかったことになんか
なったことないんですけど
書き置きにしては長いメモ
一度くしゃくしゃにして ....
だーれも知らない小さな国の
とっても優秀なお医者さん
ある男の病を治してやろうと
とっても強い薬を送った
というのは嘘で
その差出人不明の小包には
毒針が仕掛けられていた
差出人 ....
匿名でなきゃ言えないことなら
言っちゃいけないと思うよ
こんな小さな世界では
なおさら
匿名でなきゃ言えないのは
そこに仕掛けた毒針を
自覚してるからで
自分が怪我したくないからで
....
つばきの花が
ぽとりぽとりと落ちている
鮮やかな色
まわりの空気がしんとしている
ひとつ大事に掌に乗せ
匂いを吸い込むと
ふと綺麗なうなじが
日傘をさして横切ったような
滲む掌から消え ....
光の格子と格子が重なり
水のように空へ昇る
光を内に持つものが
ひとつまたひとつ消えてゆく
空より早く目は翳り
屋根の滴を欲しがっている
幻でしかないふたりは終わり ....
上を見上げたその目は何を見ているのだろう
もう私を見なくなったその目で
すっきりと広がった青の空か
目を焼き尽くすほど明るい太陽か
あなたを微笑ませているものは何だろうか
私ではでき ....
夜は暗くて寒くてこわいのに
月は明るくて暖かくてやさしい
でも夜にならないと月がみえないから
夜がこわくても月がやさしくしてくれる
月だけがやさしくしてくれる
もし月になれたらやさしくしてあ ....
わたしと彼は
必要以上に
相手を干渉しないことで
バランスを保っている
言いたいことを言わない
訊きたいことも訊かない
分かっていても黙っている
そんな風に
相手に対して深入りしな ....
君の笑顔の反射率
と
僕の視線の屈折率
君のあどけない未知数
と
僕のくたびれた無理数
君の心への直線距離
と
僕の言葉の射程距離
....
型にはめられるのが嫌だとか
そんな理由だったはずなのに
こうして不貞腐れる誰かを
俺はどこかで見たことある
教科書にないことが答えだと
わけもなく確信していたよ
体の良い言い訳だろう? ....
俄詩人1.
私以外の
人間は
狡くて
嘘つきで
冷酷で、残忍だから
大嫌いだけれど
怖いから
心の中で密かに
みんな流されてしまえ!
と思っていたら
本当に流されてしまった
....
なめくじは あなたの頸に似ていた
固い紙袋から ぶどうパンをかじって
わたしは こっそり あなたの頸をみつめた
どこにも ふってはいない 雨の音
どこにも たどり着 ....
暗い河原に言い交わす
初めて触る画材なら、多少質を落としても色数をそろえた方がよい。祐子さんはそう言う。
その康子も夏が来ればおとなしくなった。
日本語に不明
描かなければ
不明
....
「おかーたん、
やねのうえのねこたんは
こんなじかんになにをないてるの?」
「黒猫はね、
本当のことを知っているのよ。」
「ほんとうのことって、なあに?」
「それはね、
私たちに ....
わたしたち
どうぶつの
さいぼう
しょくぶつとちがい
よわいまく
さいぼうへきをうらやむ
みとこんどりあさんと
きょうせいしたけれど
かたくはなれませんでした
たいようと ....
若松の義母の墓参りに行った。
墓は、高塔山の尾根の奥の墓苑にあり、
左眼下には洞海湾が広がり、その向こうには皿倉山が見えた。
義母の墓域の雑草をとった後、妻は持ってきた花を飾り
....
雪月花を
あつめましても
わかれし人に
逢うことはできず
花時が嶺を越えても
朋(ともがら)は
儚い影
つたう涙は如月
それでも
石をしるべに
郷をいのり
健気に
心の襟を ....
自分の女性器を
指で広げる行為を
身体を洗うとき以外
行ったことがない人は
至急連絡下さい
連絡がなかった場合
その人はベッドの上で
毎日広げていると
見なします
そして、想像します ....
上瞼を垂れて
何をおもい
下瞼を釣り上げて
何をかんがえるのか
卒寿となったおひとりさまよ
リグレットは薪となって
カルマも束となって
空の一角から火柱が立ちのぼる
「弥 ....
一人の人間の中には収まらない
大きな悲しみがある
あるいは地球の地表を覆い
あるいは宇宙をすべて満たす
大きな悲しみがある
だがこの悲しみは
僕という一人の人間から生まれたのだ ....
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