府中の霊園の芝生に、僕は坐る
目の前の ✝遠藤家 の墓前に
炎と燃えるポインセチアの植木鉢と
グラスに日の射すワインを、置いて
初めて訪れた十五年前の夕暮れ
左右に生けた紅白の薔薇は
....
生きたつもりはなかった。この連鎖に組み込まれたのは硝子
を割らないかぎり抜け出せないとあなたが教えてくれたから
で、パリン、パリンと時折響くその音が誰かの脱落を知らせ
て、そのことに安堵している ....
なんの肥料にもなれず
ただの炭酸カルシウムと化す
ヒト
水に溶けは
すこしは土壌改良剤にでもなるのか
死してなお
何も残さなかったと言われるのは
嫌だ
せめて
何かの爪痕 ....
沈潜
水流から飛び立つ鳥達
冷えて透明に波打つ大気に
勢いよく流れ込み同化して
鳴いては耳を澄まし
耳を澄ましては鳴く
大気のコトバ、律動しながら響き
鳥達は従う、向かうべき方角 ....
ひらり はらり 浮かび上がる
白い ワンピース
あなたが 思い浮かべたのは
きっと そちらなのでしょう
残念ながら 枝の先に とまるのは
白い鳥ならぬ さるすべり
桃色 ....
キミのハナウタを聞く
石鹸の香りがする
キミの手料理を食べ
何気ないことをしゃべり
キミの笑顔に癒やされる。
あって当たり前のことだけど
....
死んでないよね
生きてるよね
返さなくていいから
生きていることだけ
知っていけたらいいのに
幸せだよね
笑っているよね
傍に居られなくてもいいから
あなた ....
わたしは通わない方の血液
生なら何度か受けた
赦されていない言葉を並べるための流れ
滞ってはよく沈んでいる
室内の透明な瓶にプールされている
照らさない方の光が加速してはいなくなる
わ ....
生まれました
もうずいぶん前のことです
そして、それを思い出す日です
そんな日は
誰かの死ぬ日でもあります
また、だれかが殺されたりもします
そして、それを思い出す日です
命 ....
たぶんもうすぐあかりがきえる
世界中のあちこちで いや 世界中で
ひつじはもう眠っている
きりんもとうに休んでいる
あかりがきえる
あかりは消される
祈ると祈らざるに関わらず
あ ....
と壁の隙間から真っ白な腕が伸びて
画鋲を全部引き抜こうとしている。
顔を出さないのが唯一の救い。
輪郭は憎しみの対象になる。その様子を
ソファに腰掛けながら僕ら二人は眺めていた。
そして ....
ダバダ
ダバダ
ダバダダバダ
ダバダ
ダバダ
ダバダダバダ
体かくして
顔隠せず
白い世界に
赤い頬
ダストがかすめる
鼻の先
一瞬
シュ ....
邪悪な自分が
恐ろしい
闇に埋もれた暮らしがイヤで
太陽の下に
憧れたのに
普通がいいって
普通を選び
普通だなって がっかりしてる
行きたい場所がある
フェンスの多分向こう
標識は黄色か赤
越えてはいけない場所だった
死んだトモダチが
みんなそこにいて
おまえもか
って笑ってる
警告はみんな受けた
でもみんな境界 ....
一等星か
人工衛星か
わからないから
嫌なんだ
この時代は
虚像が眩しすぎて
たどり着きたい未来を間違える
俺達は
まるで
月に向かって飛ぶ
命知らずの虫みたい
例えば、それは記念日の夕食の
テーブルにある蝋燭が照らす淡い瞬間
ワインで少し赤くなった顔が綻ぶ瞬間
例えば、それは久しぶりに家族で行く海外旅行の
澄み渡る天の青を仰ぎみる瞬間
遠くに見える ....
誰に会うということもなく
桜並木を歩いて行く
そして私はすぐに散ってしまった葉の上だった
私は 寂しい色をした 枯葉の道を踏みしめる
枯葉の散る公園
月を越えていく
誰かが放った ....
風邪なんだから体にやさしいもの食べなさいって
思うのだけれど冷蔵庫のなかのちよこれいとに手
が伸びるのはビョーキなのでしょうかカルバドス
入りの甘いあまい四角は死角そういやボジョレー
が解禁さ ....
君と僕は
別々に立てていた
旅行計画は
海を越えて
出会うはずだった
あの時まで
海峡は荒れ
橋は失われてしまった
いつか自転車は錆びれ
互いを知らないままに
紫陽花は ....
歩き、走り、止まり、戻り
止まり、走り、歩き、戻り
走り、歩き、戻り、止まり
歩き、戻り、止まり、走る
28歳のマユミ先生が
今日は川に行って
写生をしましょうと言ったので
スケッチブックに
先生の顔写真と
宇都宮しをんの裸で
コラージュを作って
河原で自慰行為をしていたら
マユミ先生に ....
空きの無い羅列の椅子に
また今日も
嘆息する
狭い踊り場は
且つ
斜(しゃ)に構えて視ると
歪に歪に
人影惑う
陽に降れる日もあれば
曇天に疼き
稲光に泪する陰りもあり
....
風呂場の排水溝に
退散する泡たちにまぎれて
私の恋が吸われていく
私は両手で恋
恋
と叫ぶが
お前が遠くで
あまりに 手を振るものだから
窓枠も ワイシャツも
追い付けないく ....
萌えあがっては散る桜の色や匂いは相対的に嫌悪の対象で、春の僕の中心は虚しい空洞だ。
君のくちびるを表現する言葉を知らず、ただ凝視するため延々と会話する。
そのはかなさの散る刹那を君自身は知らな ....
ゾウさんのお鼻は
不思議な鼻だ
バナナをつまんでお口に入れる
水を吸い上げシャワーする
敵をひっぱたく武器になり
ああ きょうは
少年ゾウのまたの間から
鼻を入れおちんちんをいらって ....
墓地と背
鎖を手に
見えない声
遠い灰の音
雨が
雨のための径を通り
去ってゆく
傘の無い街を
照らす幻日
呑まれゆくものに
小さなものらに ....
10分後、私たちは {ルビ思=おも}い{ルビ出=で} される
10分前に見た映画はもうまるで嘘のようだ、と
いまどき流行らない、よくある2Dの映画だったが
持ち合わせた感想は特になく
....
狡猾であり
幼稚でもある
すべては悲しく美しい
そう
狡猾であり
幼稚なのだ
幾日も
幾年もかけて
日が沈む
その終末の真っ赤な空を
眺めては小さな飴を頬張るように
感慨に ....
きみの右目から1センチ
ちょこんと座るちいさなほくろ
きみの瞳はまぶしすぎて
見つめ合うことなんてできそうにない
いつも逸らした視線の先で
そっと目が合うちいさなほくろ
ぼくを ....
とある白夜に
白い車に乗って
消失点を探しに出かける
君は白いコート
僕は白いスーツ
サングラスだけ真っ黒い
カラスのアルビノ
不吉なことばかり話そう
どうせいつかは世界が終わる
美 ....
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