風にゆれる暖簾をくぐれば
そこにお前がいた
退屈そうに
新聞を開いたお前は
俺をみてただ頷く
斜め前の席に座り
婆様が注文を聴きにくる
戸惑いながら
カレーうどん
今日の ....
何代も受け継がれたレコードプレイヤーからのノイズが心地良い。
今夜はクラシックでもジャズでもない。
忘れ去られようとしている昔のレゲエのレコードが深く響く。
今夜私は二十年前にタイム ....
公園の銀杏も散ってしまい
樹々の枝だけが
空を刺している
広場のベンチの陽だまりに
うたたねしているお爺さんの
寝息はとても安らかで
ぼくも欠伸をしたくなった
冬の情景はブリュー ....
救済するために、
骨を食いちぎらなくてはならない。
救済するために、
歯をもぎとらなくてはならない。
救済するために、
皮膚を剥きとらなくてはならない。
救済するために、
肉をかみちぎら ....
脳髄が止まっている。薬を一口飲んだだけ
尖った、働きすぎた神経が
もう二度と動かなくなるような錯覚
ネガティヴだとかポジティブだとかそんな感情さえ消えた
悲しみも喜びも消えた
吐き気がするけ ....
たった今は、すぐさっきになる
だから、明日もすぐくるんだ。
明日はめちゃくちゃ楽しいかもよ。
もし自信がなければ、なんでもいいから楽しそうな事を考える。
例え ....
部屋には楽器
戸棚に食器
心に故郷
晴れ時々猫
一生の中の一日
異教徒みたいに迷い
信者のように眠る
湖のある街で
坂の多い街で
そして
思いがけない知らせ
一生の中の ....
一頁をめくると
また新しい世界が広がる
知らないことの多さに慄き
悦楽に浸る
デジタル化できない
五万の文字を
ぼくはどう反芻したらよいのか
途方にくれる
今となっては
使わ ....
かあさんがいる。
それだけで
心が心底落ち着く。
ねぇかあさんがいるだけで
心が穏やかなる。
どんな薬もいらない
深い特効薬。
私は安堵の眠りにつく。 ....
泣きじゃくる年頃でもなくて
もがき苦しむ精神でもなくて
だから余計に
わざわざ もがきたくなって
わざわざ 泣きじゃくったりしたくて
そこにいてくれ ....
ひとときのやすらぎ
おとなえば、一人の女人ありて
吾ら夫婦温かくもてなす
いつも、折にふれ
訪ねゆきて慰めらる
自動車の事故も
息子のふしまつも
その方の温情に、慰めらる
今日 ....
余命と寿命のあいだを
日々往復している
卒寿となったおひとりさま
にとって
それはありがたいことなのだ
往復切符の
砂時 ....
あなたの真冬の冷え切った裸の手を
わたしはしっかりと抱きとめてあげたい
みれば指が崩れている
肉はぐちゃぐちゃ 骨が視えているよ
、わたし信頼できる薬局を知っているから
良いお薬を買って手当 ....
青い青い大空を見上げるのは
人を恨むためじゃない
広い広い大海原を見るのは
人を憎むためじゃない
大きな大きな樹を見上げるのは
人を裏切るためじゃない
人が生きているのは
苦しむためじゃ ....
サンタへの御願いは
「あったかいポエム」がほしいってことのいま
思い出すのは、ポエム売りの少女は
ほんとに居たはずだってこと
「あったかいポエムはいりませんか」
って云って聖誕祭前でにぎわう ....
「死ぬために生きる
それだったら もう少し
生き続けられるかもしれない…」
となりに乗り込んだ ピンクのかたまりが
内部分裂 暴発を くりかえしているのにも気づかず
ほ ....
夢は、憧れは
それはわたし自身が
父さんに決して恥じないでいられること
神さまにやっぱほめてもらえること
父さんには あとで 聞いてみる
神さまにはいますぐに降りてきてもらって
どこか ....
陽が昇るのを待って 僕らはあてもなく電車に乗った
まだ人気はなく静かで ただやわらかい朝陽だけが車内を包み込んでいた
僕らは互いに黙って 流れていく景色を呆然と眺めていた
この景色の中に ....
私には
“かる”
が足りない
{引用=狩る}
死に物狂いで
欲しいものを追い求める
信念が足りない
{引用=枯る}
本当に参ってしまって
乾涸びるほどの
絶望が足りない ....
クリスマスは赤い色
想う人から「クリスマスを一緒に過ごしたい」と誘われて
私の頬は赤くなる
純白の音響
広がり続ける 水底の
更なる深淵
蠢き渦巻く粉砕 無機
あなたが好きなその絵に
いまはもう 何も付け足さないこと
あなたが好きなその絵を
いつも ありのままで受けいれる心
あなたが好きなその絵が
いつかかならず 色褪せていく瞬間に
....
あなたの大きく開いた口が、
ちいさな海を吸い込んでいく。
あなたの脳裏を走る列車が、
いくつもの駅を追い越していく。
駅には、
誰もいない人で、
あふれている。
あなたは、
誰もいない ....
昔ながらの中華そばは
最近あまり見なくて少し寂しいのだ
魚介豚骨は頼もしく
心に勇気を与えてくれる
横浜家系にタマネギとニンニクを
たっぷり入れると
客先訪問は不可能になる
少し ....
鴉の声が窓ガラスをすり抜け
ベッドに潜り込んでくる
戸外では新しい世界が始まったらしい
部屋の中には
昨夜
掘り返した青春が
アルコールに萎えて床に散らばり
描き上げた明る ....
東南アジアの親子連れ
女の子が大切そうに
紅葉を手のひらにティッシュ
そっとのせている
とても嬉しそうだ
持ち帰って宝箱にしまいそうな瞳
お母さんに手をひかれて
ひらひらと落ちた紅葉を
....
朝の食卓にのぼるトーストの悲しさは
ベーコンエッグを添えても
香る珈琲を啜っても
どうにもならない眠気のおかげで
家ではどうにも喉が通らない
たとえば大好きなツナサラダを傍らにおいたとし ....
サザエさんの声優が
一人、また一人と
消えて行く
それでもサザエさんは続く
違和感を感じるのは
最初だけ
次第に慣れ
そして忘れる
己の実存が
掛け替えの無いもの
等と ....
世界は回る
くるくる回る
私が悲しみで
打ちひしがれてる時も
お構いなしに
くるくる回る
大切ななにかを
亡くしたとしても
世界は最初(ハナ)から
興味無い、という様な顔で
....
眼が在り眼と映り凝視し続ける眼に
昔の戦場の消えない殺し合いか今の子供らの激しい絡み合いか
展開される焼き付けられるその恐怖
草むらの草熱れも左足にぐるぐる巻かれた包帯の中で腐乱していく肉も置き ....
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